Skip to main content
2025年7月3日10時45分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(4)兄弟をばか者と言ってはならない

2021年7月14日18時43分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

「クルマン伝道所」に来て最初の朝。リビングストンは、けたたましい泣き声で眠りを破られた。「痛いよう! おなかが痛いよう!」寝不足の渋い目をこすりながら出てみると、6歳くらいの黒人の子どもが、地べたにしゃがみ込んで泣いていた。「坊や、どうした?」抱き起こすと、子どもは手足を突っ張って呻き声を上げた。

診療室に連れていって診察してみると、どうやら食あたりのようなので、彼は薬瓶から丸い錠剤を2粒出して子どもに飲ませた。「さあ、これを飲むとすぐに良くなるよ」。子どもは素直にうなずいて薬を飲んだ。5、6分そのままにしておくと、腹痛はうそのように治まった。

「もう痛くない! 痛くない!」子どもは大声を上げて診療所の中を駆け回った。そして、スキップしながら帰って行った。

「ああいう子どもたちに、かまっていてはきりがないですよ。中には仮病を使って薬を盗みに来るやつらもいますからね」。早くから起こされた執事のエドワーズは、コーヒーを入れながら渋い顔をして言った。「この現地の人を教化するのは大変に困難なことです。彼らの中にはやはり原始人の血が流れていて、野蛮で無知な習性から抜け切れませんよ」

その時、ふとリビングストンの胸に暗い影がよぎった。一瞬であるが、彼はこのアフリカが暗黒大陸と呼ばれ、多くの宣教師や探検家がやってきたにもかかわらず、少しも開けない、その本当の原因が分かったような気がした。そして、自分とこのエドワーズとの間に、その考えや理想に違いがあることも感じないではいられなかった。

幾日かクルマンに滞在するうちに、リビングストンは北の方に出掛けてみたくなった。そこでロス医師にあとを頼み、一人で何日かジャングルの中を歩いてやがてレペロレという村に着いた。そこはパクワネ族の集落になっており、奇妙な羽飾りや鼻輪を付けた人々が、リビングストンを見るや長いやりや石を持ってジリジリと近寄ってきた。

リビングストンは身振り手振りで、自分は怪しい者ではなく、医者としてここの人たちの生活を助けたくてやってきたのだと訴えた。すると、たちまち彼らは友好的になった。

「それなら、首長の病気も診てもらおうじゃないか」。一人が言うと、彼らはガヤガヤと騒ぎながら彼を首長の屋敷に案内した。しかしながら、ある儀式を踏まないと首長に会えなかったので、彼は一度戻り、エドワーズにわけを話して一緒に来てもらうことにした。エドワーズは細長いプリントの布と、ジュズを使者に渡して言った。「つつしんで首長にお目にかかりたい」

すると使者は、リビングストンとエドワーズを中に入れてくれた。首長のパピは眼病を患っていた。リビングストンはホウ酸を水に溶かして目を洗い、目薬を差した。それから間もなく眼病が治った首長は、よほどうれしかったのか広い屋敷を歩き回り、皆に目を見せたり銅板の鏡に映したりした。

「あんたは恩人だ」。首長はリビングストンの手を握って言った。「あんたに金銀や宝石を差し上げたいのだが、あいにく私はすっかり貧乏になってしまった。白人たちが目を治してやると言ってはくだらない迷信を教え、高額の金を持っていってしまったからだ。それなのにちっとも良くならない。文句を言うと彼らは、あんたがた色の黒い人たちは目も耳も、口も何もかも白人に劣っているから仕方がないのだと言った」

この時、リビングストンの胸には「兄弟をばか者と言う者は地獄の火で焼かれる」という聖書の言葉がひらめいた。

この首長の息子ボーマーは、リビングストンを父と同じように慕っていたが、ある日雨を降らせてほしいとせびったので、リビングストンはこう言った。「私は雨を降らせることはできないが、どうだろう、皆で力を合わせて川の水を畑に引こうじゃないか」。そして、黒人たちを指導し、溝を掘って水の流れる道を掘り始めた。皆大喜びだった。

「先生、皆が雨乞いの奇跡を見たがるのは、前に白人が来て青い紙を薬で赤くする魔法を使ったからなんですよ」。ボーマーの言葉に、リビングストンはすぐに彼らがリトマス試験紙を使って無知な彼らの目を欺いたことに気付いた。そして情けない思いでいっぱいになるのだった。

*

<あとがき>

クルマン伝道所に赴任したリビングストンは、早速現地の人々に医療と伝道の奉仕を始めます。彼の最初の働きはレペロレ村の首長ペピの眼病を癒やしたことでした。喜んだ首長は白人であるリビングストンに心を開き、以来2人は良き友人になりました。しかし、首長の言葉はリビングストンの心を痛めました。彼は言います。

「白人たちは、眼を治してやると言いながら、くだらない迷信を教え高額の金を持っていってしまった。ちっとも治らないので文句を言ったら、彼らは『あんたがた黒人は目も耳も、口も、何もかも白人に劣っているから仕方がないのだ』と言った」

また首長の息子ボーマーからも、いつか白人たちがリトマス試験紙を使って彼らをだまし、魔法を使ったかのように見せた話を聞いたリビングストンは憤りと悲しみを覚え、「兄弟をばか者と言う者は地獄の火で焼かれる」という聖書の言葉を思うのでした。まさに、こうしたやり方で欧州人は黒人を長い間搾取してきたのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(3)アフリカの現状

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(2)不幸な人々への献身

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • シリア語の世界(27)シリア語旧約聖書の各書名と1章1節の和訳 川口一彦

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ワールドミッションレポート(7月2日):バーレーン 湾岸諸国における霊的な戦略拠点

  • 賢い時間の使い方「ゆっくり、今すぐに」 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月29日):北朝鮮 大胆な一歩、北朝鮮で執り行われた秘密の洗礼式(3)

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(6)神の御手の内にある死という運命 臼田宣弘

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(7)人は「単独者」である 三谷和司

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • ワールドミッションレポート(6月29日):北朝鮮 大胆な一歩、北朝鮮で執り行われた秘密の洗礼式(3)

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月30日):インドネシア 静かに進む魂の変革

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.