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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(6)すべては愛から始まる

2021年8月11日17時34分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

1841年夏。リビングストンは、エドワーズ、トマス・スティール大尉、プリングル氏、そして数人の従者と共にマボッサに出発した。一行は山のふもとを回って歩き、昼は狩猟をして食物となる獲物を得、夜になると大きなたき火の周りに座ってコーヒーを飲みながら冒険談を語り合った。日曜日になると一同はエドワーズが行う礼拝に出席した。彼はクルマン伝道所の執事であるが聖職者の資格も持っていたのである。今日も彼は講壇の上から、このように強調するのだった。

「…そのう、私はたびたび申し上げておりますが、ここに来た目的は、この野蛮で異教徒であるアフリカ人を改宗させることであります」

その時、リビングストンの心の中で何かが否と言った。ここの人たちは決して野蛮でも異教的でもない。彼らは白人よりもずっと素直に自分の心を見つめ、反省することができるではないか。そして、驚くほど的確にイエス・キリストの愛と贖(あがな)いを理解できた。しかしながら、リビングストンはエドワーズに強く反発したものの、あくまで彼を立て、従わざるを得なかった。

いよいよマボッサに着くと、メバルーエが一行を迎えた。「すっかり家ができましたよ、先生!」伝道所の敷地内には縦15メートル、横5メートルの小さな家が建っていた。現地の人々が総出で手伝ってくれたのだという。リビングストンは、早くもここで病院、学校、教会を始める計画を立てていたのだが、建物が少々狭いことに気が付いた。

(これでは病院と教会だけしか建てられないな)彼は明日から後ろに離れを建ててそこで学校を開きたいと皆に話した。しかし、エドワーズはまたしても不機嫌な顔をした。「学校なんか作っても彼らには意味はないでしょう。第一の障害は無知と迷信です。彼らの間に根強く残っている奇妙な習慣はそう簡単に打破できやしません」

「いいえ、そうは思いません」。リビングストンは強く言った。「私はまず彼らを文明の恩恵に浴させたいと思うのです。大切なことは、彼ら自身を愛しておられる方がいるということ。そして、私たちは互いに兄弟であることを示すことです」

「あんたは一番大切なことを忘れている」。エドワーズはかっとしたように荒々しく言った。「生活を便利にしてやるとか、いいものを与えるとかそんなことはどうでもいいことだ。大切なのは彼らをキリスト教徒に改宗させることです」

一同はたき火を囲んでこの問題について話し合った。「すべては愛から出発しなくてはなりません」。リビングストンは星を仰ぎながら言った。「イエス様はいつでも人々と接するとき、彼らが一番望んでいること、切実に要求しているものを満たしてやってから話をなさいました。それは、彼らを心から愛されたからです。私たちも、彼らがもっと衛生的で文化的な生活ができるように助けてやるべきではないでしょうか。私は、ここに貿易の道が開かれるといいと思っているんですよ。そうすれば、彼らは必要なものを手に入れることができるし、白人のために買収されたり奴隷に売られたりすることはなくなると思うんです」

「あんたの考えは非現実的な空想だ」。エドワーズはすっかり腹を立てて、ぷいと席を立ってしまった。

その晩は意見が分かれたままになってしまったが、結局エドワーズはメバルーエが建てた小屋だけでは狭いことを認めないわけにはいかなかった。そこで伝道所の者たちと、近所の住民総出で離れを建て、いよいよ病院、学校、教会を一つ敷地内で開くことになった。

リビングストンは、ここの人たちから「親切なナケ(先生)」と呼ばれ、その名は町々、村々に広まった。病院が始まると、大勢の病人やケガをした人々が押し寄せてきた。彼は愛の心をもって、どんな病人をも診てやった。「本当にここの先生はやさしいよ。どんなに夜遅くても診てくれるし、いい薬を下さるんだ」

純朴な人々はリビングストンを慕い、用事もないのに病院や教会にやってきては彼の顔を見、声を聞きたがった。また学校が始まると、黒人の子どもたちは彼を見るなり駆け寄って抱きついたり、泥足のまま体によじ登ったりするのだった。リビングストンは、イエス・キリストがそうしたように、そんな子どもたちを抱き寄せ、やさしい言葉を掛けたりお話をしてやったりするのだった。

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

リビングストンが首長セチェレの協力のもとにマボッサに初めて黒人のための伝道所を作ったとき、彼のビジョンと執事エドワーズのそれは真っ向から対立しました。エドワーズは何よりも、アフリカの奥地まで自分たちがやってきたのは、野蛮な異教徒であるアフリカ人をキリスト教徒に改宗させることが目的だと主張します。彼は言います。「生活を便利にしてやるとか、欲しいものを与えるなどということは、どうでもいいことで、大切なのは彼らをキリスト教徒にすることだ」と。

これに対し、リビングストンは自分のビジョンを語ります。「私は長い歴史の中で欧州人によって踏みにじられてきた彼らに最高のものを与え、文明の恩恵に浴させたいのです」と。そして彼は、主イエスのやり方はいつでもその人が一番望んでいることを満たしてやることだと相手を諭します。実にキリスト教から愛を取り去ってしまったら、何が残るのでしょうか?

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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