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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(11)仲間を売る者たち

2021年10月20日15時18分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

破れた心を抱いてリンヤンティを去らなくてはならないリビングストンであった。しかし、彼の胸には大首長セビチュアネの悲痛な言葉が残されていた。不幸な仲間を救ってください――という遺言が。自分は何としても彼の悲願をかなえるために残る力を出し切らねばならないのだ。

森の中を12、3キロほど行ったとき、きらびやかなサラサの着物をまとった黒人たちがやってきた。彼らはリビングストンに笑いかけ、「よう!」と手を上げた。「いい服を着ているね。どこで手に入れたんだね?」そう尋ねると、白人の国に住む黒人からだと言う。「いくらで?」彼らは顔を見合わせ、にやりと笑った。「着物だけじゃなく、鉄砲も買ったのさ。引き換えに6人の男の子を連れてってもらったよ」

「君たちは、何てことをするんだ!」リビングストンは怒りに震えながら叫んだ。「自分の仲間を売ったのか。この恥知らず」。「仲間を売ったんじゃないさ」。一人がむきになって言った。「戦争に負けて引っ張ってきた捕虜を売るのさ。俺たちの所には捕虜が有り余っているんだ」

そして、彼らは誇らしげに胸をたたくと、行ってしまった。やはり人身売買が公然と行われていたのだ。まさに、大首長セビチュアネがあれほど悩んでいたアフリカ大陸の病因はここにあった。

もう一つリビングストンが心を痛めていたことがあった。それは、彼の子どもたちが現地の黒人の荒々しい遊びを覚え、その粗野な生活態度をまねるようになったことだった。長男のロバートはひっきりなしに柳のムチを振り回して幼い弟や妹を脅したり悪い言葉を吐き散らしたりした。いくら叱っても駄目であった。

そんなある晩。一同はたき火を囲んでアフリカが抱える問題について話し合った。その時リビングストンは、ずっと心の中で温めてきたある計画を発表した。

「なぜ彼らが自分の家族や友人、仲間を売るのかといえば、彼らはポルトガル人やアラビア人から布や銃を手に入れたいからです。そこで考えたのですが、もしここから大西洋にかけて貿易のための水路を開くことができたら、欧州各国の人たちが船でここへやってきて象牙や皮、油、木材などを買っていくでしょう。そして、ここの原住民が欧州人と産物を交換できたら、アフリカは文化的に開け、白人に搾取されたり、仲間を売ったり買ったりすることはなくなるでしょう」

「いつでもあなたは夢みたいなことをおっしゃるけど、私たちの力で何ができますの?」メアリー夫人は言った。心身共に疲れ切っている彼女は、もう忍耐力も限界であった。「メアリー。今初めて確信したのだよ。私たちは伝道者であるがために――この不幸な国に福音を伝えるためにこそ、探検家であるべきなのだ。何とかして中央アフリカまで水路を開き、貿易を盛んにしてここの人たちに欧州人並みの生活をさせてあげたいのだよ」

そしてその晩、リビングストンは堅く心に誓った。これは最後の賭けである。そのために家族を巻き添えにしてはならないと。彼はメアリーと子どもたちを安全な故郷に帰そうと思った。その1カ月後、メアリーは3番目の男児オースウェルを出産した。

コロバングに着くと、リビングストンはロンドン伝道協会に宛てて手紙を書き、自分はこの先もアフリカに留まり、何とか開発事業を成功させたいので家族の面倒を見てもらえないかと依頼した。すると間もなく返事がきて「家族の世話は引き受けたから安心して計画を進めるように」とロンドン伝道協会は保証してくれたのだった。リビングストンはメアリー夫人と子どもたちを説得し、何とか帰国を受け入れさせた。メバルーエはコロバングに残ることになり、オースウェルはアフリカの窮状を訴え、キャンペーンをするためにケープタウンに向かった。

1852年4月23日。リビングストンは家族とつらい別れをしなくてはならなかった。ケープタウンまで彼らを送っていき、無事に船に乗せてから、彼はいつまでも波止場に立っていた。

「お父さん、元気で頑張ってね」。子どもたちは手を振って叫んだ。メアリー夫人はその腕に赤ん坊のオースウェルを抱き、いつまでも夫の姿を見つめていた。

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

リビングストンは、亡き大首長セビチュアネがなぜ健康を損なうほど心のうちに悩みを抱えていたか、その原因を理解することができました。それは、愛する同胞の中で、人身売買が公然と行われていたことでした。彼はついに、心のうちにずっと抱き続けてきたある計画を一行に話します。それはアフリカ奥地から大西洋にかけて貿易のための水路を開き、欧州各国の貿易商人たちと産物の交換をさせるということでした。こうすることによって、初めてアフリカの原住民は対等な立場で欧州の商人たちと貿易ができるからでありました。

しかしこれは、大変危険な賭けのようなものでした。リビングストンはそれを承知の上で、メアリーを説得して子どもたちと共に祖国に帰らせ、ロンドン伝道協会に、自分がアフリカに留まる間、彼らの世話をしてほしいと手紙で依頼したのでした。この彼の計画は、後に大変な悲劇を呼ぶことになりますが、やがてはアフリカ奥地の人々を目覚めさせるきっかけとなったのです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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