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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(8)みんな一緒に天国に行くのでなければ

2021年9月8日09時40分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

しばらくの間、リビングストンはセチェレの治めるチョアネで妻メアリーと共に平和に暮らしていた。しかしながら彼は、ここの住民が2つの災害に苦しめられていることを知った。1つは日照り。もう1つは突然襲ってくるボーア人(オランダの農民で残虐性をもった民族)だった。

まず、リビングストンはあのレペロレで成功したように、川から畑まで水を引く事業に取り掛かった。現地の人々に協力を呼び掛け、リンポポ川をせき止め、毎日コツコツと水が流れる溝を掘り続けた。やがて放水された水は住民の畑に勢いよく流れ込み、田畑が少しずつ潤うようになった。そして農作物ができ、人々の暮らしは少しずつ豊かになっていった。

そんなある晩のこと。広場のあたりで凄まじい叫び声が聞こえた。そこへ首長のセチェレ自らがテントに飛び込んできた。「先生、大変だ! 今ボーア人が攻め込んできて住人15、6人が殺された」。広場に行ってみると、目も当てられない惨状だった。そこへ別の男が血相を変えて駆けてきた。「ボーアのやつらは、働き盛りの男30人を奴隷として差し出せ、でなければここの首長と宣教師の家族全員を殺すと言っています」「その人たちは今どこにいます?」「町の入り口にテントを張って、周りをぐるりとボーア人が取り囲み、首領も中にいます」

リビングストンは一人でボーア人の陣地に乗り込んでいった。テントの入り口では見張りが2人、彼を見ると弓に矢をつがえた。彼は手を振って言った。「怪しいものじゃありません。私はあなたがたと話がしたいのでやってきました」。彼らは相手に敵意がないことは分かったようだったが、一人の放った矢が彼の太ももに命中した。しかし、彼は血を流しながら、ありったけの力を振り絞って立ち上がると叫んだ。「どうか殺さないでください! ボーアの人たちよ、これはあなた方にも利益があるから、私に話をさせてください」。彼らはいぶかしそうに顔を合わせたが、首領のポール・クリューガーの所に案内した。リビングストンは血まみれになりながら、彼と向かい合った。

「おまえたちは、なぜチョアネにいるのか?」首領は尋ねた。「私は英国から宣教師として来た者です。ここに住む人たちの生活が少しでも楽になるようにお手伝いしたくて来ました」。その時、リビングストンが英国人と分かるや、たちまち相手の顔に動揺が浮かんだ。「本国にはわれわれのことを報告しないでくれ。その代わり、あんたがたには危害を加えないと約束するから」

「では、ここで取り引きしませんか?」すかさず、リビングストンは言った。「もし適当な土地があったら、町をあげて移ってもいいから、二度と再びこのチョアネの住民と首長一家に危害を加えないでほしい」。ようやくクリューガーとその手下たちはこの条件をのみ、そのまま引き上げていった。

1847年。リビングストンは首長セチェレと共にこの地域の者たち全員を引き連れてコロバングという場所に移動した。ここは肥沃で住みよい土地であった。すぐに住民総出で川から畑に水を引き、穀物を栽培し、牧場で牛や羊を飼って毎日町づくりにいそしむうちに、この地域は開発され、豊かに栄えるようになった。セチェレはこの頃からますます深くキリスト教に帰依し、聖書を学び、信仰的にも人間的にも大成した。この年にリビングストン夫妻に長女アグネスが生まれると、首長は片手にロバートを、もう片方にアグネスを抱いてお守りをしてくれるのだった。そして翌1848年。ついにセチェレは洗礼を受けてクリスチャンとなった。

ある晩、彼はひどく真剣な顔をして言った。「私はクリスチャンになったので、マサベラだけを妻とし、あとの女性を全部親元に帰しました。でも、彼女たちがかわいそうでなりません。マサベラは残されたから洗礼を受けて、イエス様を信じるようになったんですが、親元に帰された彼女たちにその機会はありません。先生! イエス様のことを知らずに死んだ人はどうなるのでしょう?」

そして、子どものように泣き出した。「嫌だ! みんな救われて一緒に天国に行くのでなきゃ嫌だ!」リビングストンは、神様のみこころは一人も滅びることなく、終わりの日によみがえることだと彼に教えた。すると、彼は狂喜した。「じゃあ、みんな救われるんですね」。翌日、彼は従者たちにこう言って歩かせた。「よく聞け。神様は一人も滅びることなく救ってくださるそうだから、悔い改めよ!」

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

セチェレが治めるチョアネで暮らした時期がリビングストン夫妻にとっていちばん平和な時期だったでしょう。しかしながら、リビングストンは愛するこのチョアネの住民がボーア人(オランダ人)のたび重なる襲撃に悩まされていることを知り、単身彼らと話し合うために陣営に乗り込んでいったのです。そして、傷を追いつつも首領と話し合いをします。

彼が挙げた条件というのは、適当な土地があれば町をあげて移住するから、ここの人たちに危害を加えないでほしいということでした。首領はそれを受け入れたので、リビングストンはセチェレと共に住民全員をあげてコロバングに移りました。ここは肥沃な土地で資源が豊富で、人々の生活も豊かなものになりました。セチェレはますますキリスト教を深く学び、信仰的にも成長していきました。しかし、相変わらず子どものように純真な信仰を持っており、妻を一人だけ残し、他の愛人を去らせたが、彼女たちが天国に行けるのだろうか――と心配するのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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