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リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(12)敵を愛しなさい

2021年11月3日11時52分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

マコロロの主都リンヤンティに着くと、セビチュアネの後を継いで息子のセケレトウが首長の座に就いていた。彼は18歳で、大首長の血を受け継いで非常に頭が良く、気持ちも優しい若者だった。しかも、彼はセビチュアネそっくりの高貴な容貌をしていた。彼はすでに住民からリビングストンのうわさを聞いていたらしく、彼の来訪を聞くと、丁寧に礼を尽くして出迎え、贈り物として牛2頭とメロン数個を差し出した。

「セビチュアネが亡くなってとても力を落としていたのですが、あなたを父上の代わりと考え、大切な相談をしたいと思います。協力し合ってこの中央アフリカを立派に開発していこうじゃありませんか」。リビングストンがこう言ってその手を取ると、セケレトウは最高の尊敬を表すため額を地につけ、3度礼をした。そして、リビングストンを心から慕い、何でも相談するようになった。「あなたをお父さんと呼んでいいですか? どうしても父と話をしているような気がしますので」と、彼は言うのだった。

2人は気持ちがしっくり合い、何を計画してもうまく進んだ。1週間もしないうちに、リビングストンはこの町に伝道所を建て、近くの家々を訪問するようになった。リビングストンは、このマコロロの人たちにどうやって神の愛を伝えたらいいかと思ったが、ふと胸に赤子を抱いて座っている女が目に留まった。彼女は赤子に乳をやりながら、うつらうつらと居眠りをしていた。

「いつかマボッサに行ったとき、ライオンが出て、子どもを抱いた母親に襲いかかりました。私たちは皆でライオンを退治しましたが、母親は死んでしまいました。でも、彼女がしっかりと胸に抱きかかえていた子どもは無事でした。愛というものはこのように自分の身をもって相手をかばうものなのです。神の子であるイエス様がこの地上に来られて私たちをそのように愛してくださったのですよ」

そして、リビングストンは、イエス・キリストが人間の罪を代わりに引き受けて十字架で死なれた話をしたが、驚くべきことには彼らは何の疑いもなくそれを信じたのである。

「お父さん」。ある時、セケレトウはリビングストンに言った。「世界中の人が、みんなお互いに兄弟であることを知って愛し合うようになったらどんなにいいでしょう。でも、まさか奴隷商人や、われわれマコロロの人をだましたり、さらっていって売るような白人は違うでしょう? 愛さなくっていいですよね」

リビングストンは答えに詰まった。彼らに敵を愛せというのはいかにも苛酷なことであるような気がした。しかし、イエスは自分を迫害する者をも愛せよと言われたのだ。彼は首を振ると、ゆっくり諭すように言った。

「私たちは誰でも、神様と兄弟の前に返しきれないほどの負債があるのですよ。でも、イエス様はすべての人を愛され、その負債を引き受けてくださるために死なれたのです。だから私たちも、自分にひどいことをしたり、いじめたりした人をも愛さなくてはならないのです」

「嫌だ! そんなことできるわけがないでしょう」。セケレトウは、子どものように叫んだ。「白人がどんなにひどいことをわれわれにしてきたか――だまして奴隷に売ったり、なぶり殺しにしたり。私たちは絶対に白人をゆるさないし、彼らを愛するなんてとんでもない」

「私も白人です」。血を吐くような声でリビングストンは叫んだ。「白人の恐ろしい罪悪を知って以来、どんなに悩んでいるでしょう。何とかしてその償いをしたいと思っているのですよ」

「違う! 白人でもお父さんは違う!」セケレトウは、わっと泣きながらリビングストンの手を握りしめた。そしてその時、わずかではあるがイエス・キリストの十字架の愛ととりなしというものを理解したのであった。

その翌日。セケレトウは従者を15、6人リンヤンティの町と、その周辺の村々に遣わした。「いいか。マコロロの首長の命令を伝えよ。いかなる者も理由なくして白人に発泡してはならない。相手がこちらに危害を加えようとした場合のみ立ち向かえ。また、けがをしたり病気になった者には憐(あわ)れみをかけてやれ」

彼の心には、福音が実を結び始めたのだった。

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

あの幻の湖に住むという大首長セビチュアネ亡き後、息子のセケレトウが後を継いで首長の座に就いていました。彼は聡明で心優しい若者で、立派に領民を治めていました。彼はリビングストンを「お父さん」と呼び慕うのでした。ある時、リビングストンは彼から難題を問い掛けられます。奴隷商人や自分たちをだまして白人に売り渡すような者たちをとても愛することはできないが、それでいいのか――と。

リビングストンは一瞬返事に詰まりますが、みんな神様の前には罪人であり、そのためにこそイエス様は十字架にかかって死んでくださったのだと答えました。すると彼は、ひどいことをした白人をゆるすことも愛することもできないと言います。そこでリビングストンは、自分も白人であるからアフリカの人の前には大きな負債があるのだと言ってゆるしを乞いました。すると、セケレトウは「お父さんは違う!」と泣き出し、この時初めて十字架の愛とゆるしを理解できたのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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