Skip to main content
2025年9月3日23時05分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
リビングストンの生涯

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(12)敵を愛しなさい

2021年11月3日11時52分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説+
リビングストン(1813〜73、写真:Thomas Annan)

マコロロの主都リンヤンティに着くと、セビチュアネの後を継いで息子のセケレトウが首長の座に就いていた。彼は18歳で、大首長の血を受け継いで非常に頭が良く、気持ちも優しい若者だった。しかも、彼はセビチュアネそっくりの高貴な容貌をしていた。彼はすでに住民からリビングストンのうわさを聞いていたらしく、彼の来訪を聞くと、丁寧に礼を尽くして出迎え、贈り物として牛2頭とメロン数個を差し出した。

「セビチュアネが亡くなってとても力を落としていたのですが、あなたを父上の代わりと考え、大切な相談をしたいと思います。協力し合ってこの中央アフリカを立派に開発していこうじゃありませんか」。リビングストンがこう言ってその手を取ると、セケレトウは最高の尊敬を表すため額を地につけ、3度礼をした。そして、リビングストンを心から慕い、何でも相談するようになった。「あなたをお父さんと呼んでいいですか? どうしても父と話をしているような気がしますので」と、彼は言うのだった。

2人は気持ちがしっくり合い、何を計画してもうまく進んだ。1週間もしないうちに、リビングストンはこの町に伝道所を建て、近くの家々を訪問するようになった。リビングストンは、このマコロロの人たちにどうやって神の愛を伝えたらいいかと思ったが、ふと胸に赤子を抱いて座っている女が目に留まった。彼女は赤子に乳をやりながら、うつらうつらと居眠りをしていた。

「いつかマボッサに行ったとき、ライオンが出て、子どもを抱いた母親に襲いかかりました。私たちは皆でライオンを退治しましたが、母親は死んでしまいました。でも、彼女がしっかりと胸に抱きかかえていた子どもは無事でした。愛というものはこのように自分の身をもって相手をかばうものなのです。神の子であるイエス様がこの地上に来られて私たちをそのように愛してくださったのですよ」

そして、リビングストンは、イエス・キリストが人間の罪を代わりに引き受けて十字架で死なれた話をしたが、驚くべきことには彼らは何の疑いもなくそれを信じたのである。

「お父さん」。ある時、セケレトウはリビングストンに言った。「世界中の人が、みんなお互いに兄弟であることを知って愛し合うようになったらどんなにいいでしょう。でも、まさか奴隷商人や、われわれマコロロの人をだましたり、さらっていって売るような白人は違うでしょう? 愛さなくっていいですよね」

リビングストンは答えに詰まった。彼らに敵を愛せというのはいかにも苛酷なことであるような気がした。しかし、イエスは自分を迫害する者をも愛せよと言われたのだ。彼は首を振ると、ゆっくり諭すように言った。

「私たちは誰でも、神様と兄弟の前に返しきれないほどの負債があるのですよ。でも、イエス様はすべての人を愛され、その負債を引き受けてくださるために死なれたのです。だから私たちも、自分にひどいことをしたり、いじめたりした人をも愛さなくてはならないのです」

「嫌だ! そんなことできるわけがないでしょう」。セケレトウは、子どものように叫んだ。「白人がどんなにひどいことをわれわれにしてきたか――だまして奴隷に売ったり、なぶり殺しにしたり。私たちは絶対に白人をゆるさないし、彼らを愛するなんてとんでもない」

「私も白人です」。血を吐くような声でリビングストンは叫んだ。「白人の恐ろしい罪悪を知って以来、どんなに悩んでいるでしょう。何とかしてその償いをしたいと思っているのですよ」

「違う! 白人でもお父さんは違う!」セケレトウは、わっと泣きながらリビングストンの手を握りしめた。そしてその時、わずかではあるがイエス・キリストの十字架の愛ととりなしというものを理解したのであった。

その翌日。セケレトウは従者を15、6人リンヤンティの町と、その周辺の村々に遣わした。「いいか。マコロロの首長の命令を伝えよ。いかなる者も理由なくして白人に発泡してはならない。相手がこちらに危害を加えようとした場合のみ立ち向かえ。また、けがをしたり病気になった者には憐(あわ)れみをかけてやれ」

彼の心には、福音が実を結び始めたのだった。

 

アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(1)悲しい伝説
(画像:栗栖ひろみ著『信仰に生きた人たち 第3巻 リビングストン』[1982年、ニューライフ出版社〕)

*

<あとがき>

あの幻の湖に住むという大首長セビチュアネ亡き後、息子のセケレトウが後を継いで首長の座に就いていました。彼は聡明で心優しい若者で、立派に領民を治めていました。彼はリビングストンを「お父さん」と呼び慕うのでした。ある時、リビングストンは彼から難題を問い掛けられます。奴隷商人や自分たちをだまして白人に売り渡すような者たちをとても愛することはできないが、それでいいのか――と。

リビングストンは一瞬返事に詰まりますが、みんな神様の前には罪人であり、そのためにこそイエス様は十字架にかかって死んでくださったのだと答えました。すると彼は、ひどいことをした白人をゆるすことも愛することもできないと言います。そこでリビングストンは、自分も白人であるからアフリカの人の前には大きな負債があるのだと言ってゆるしを乞いました。すると、セケレトウは「お父さんは違う!」と泣き出し、この時初めて十字架の愛とゆるしを理解できたのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(11)仲間を売る者たち

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(10)不幸な仲間を救ってください

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(9)幻の湖を訪ねて

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(8)みんな一緒に天国に行くのでなければ

  • アフリカ奥地に神の愛を―リビングストンの生涯(7)良き伴侶を与えられて

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • アフガニスタン東部地震、死者1400人超 ワールド・ビジョンが緊急支援募金開始

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • ヨハネの黙示録(7)ペルガモ教会の御使いへ 岡田昌弘

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(2)心が人生を決める 加治太郎

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • ワールドミッションレポート(9月3日):スーダンのリグリ族のために祈ろう

  • チャイルド・ファンド、アフガニスタン東部地震の緊急支援実施へ 寄付の受け付け開始

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(242)聖書と考える「DOCTOR PRICE」

  • ワールドミッションレポート(9月2日):リビア 砂浜に響く殉教者たちの祈り(6)

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • ウクライナ、米大衆伝道者フランクリン・グラハム氏に勲章授与 人道支援を評価

  • DVを受けた人のための礼拝「やすらぎ」 第1回、東京・吉祥寺で9月28日

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

  • アフガニスタン東部地震、死者1400人超 ワールド・ビジョンが緊急支援募金開始

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 米カトリック教会で銃乱射事件 ミサ参加中の付属学校の子どもら2人死亡、17人負傷

  • ウクライナ、米大衆伝道者フランクリン・グラハム氏に勲章授与 人道支援を評価

  • DVを受けた人のための礼拝「やすらぎ」 第1回、東京・吉祥寺で9月28日

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(前半)悪魔の起源 三谷和司

  • アフガニスタン東部地震、死者1400人超 ワールド・ビジョンが緊急支援募金開始

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(11)「苦しみ」が始まるまでの経緯(後半)救いの計画 三谷和司

  • 21世紀の神学(30)伊藤貫氏が提唱する古典教育とセオセントリズムの復権 山崎純二

編集部のおすすめ

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.