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パウロとフィレモンとオネシモ

パウロとフィレモンとオネシモ(12)「オネシモの送り帰しと迎え入れ」―霊による交わりをもって― 臼田宣弘

2020年3月19日11時10分 コラムニスト : 臼田宣弘
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関連タグ:フィレモンへの手紙臼田宣弘

集中構造分析の対称箇所は、「似ている内容」であることがほとんどですが、「正反対の内容」になっていることもあります。たとえば、創世記4章のカインとアベルの話にもそれが見られます。そのことは拙コラム「コヘレト書を読む(9)」でもお示ししました。

〔主のみ前(に出る・から去る)〕

時を経て、カインは土の実りを主のもとに献(ささ)げ物として持って来た。アベルは羊の群れの中から肥えた初子を持って来た。(創世記4:3)

カインは主の前を去り、エデンの東、ノド(さすらい)の地に住んだ。(同16)

この2つの節は、集中構造分析では対称の箇所になりますが、3節は、カインとアベルが礼拝をするために「主のみ前に出た」という内容の記述であり、16節は、アベルを殺害した後、しるしを付けられたカインが「主のみ前から去った」という内容の記述です。集中構造分析の対称箇所においては、このように正反対の内容になることもあるのです。

今回取り上げるフィレモン書の集中構造分析の対称箇所は、やはり正反対の内容となっています。それではまず、繰り返しになりますが、この書の集中構造分析における全体を示します。

あいさつ文と祝祷 A 1~3節 A´ 23~25節
祈り B 4節~5節 B´ 22節
善い行い C 6節 C´ 21節
牧会 D 7節 D´ 20節
フィレモンへの愛 E 8~9節 E´ 19節b
オネシモの過去と今 F 10~11節 F´ 18~19節a
オネシモの送り帰しと迎え入れ G 12節 G´ 17節
パウロの元からフィレモンの元へ H 13~14節a H´ 15~16節
善いことが自発的になされる I 14節b(中核部)

今回はこの集中構造分析における、「GとG´」の箇所を取り扱うことになります。私はこの部分を「オネシモの送り帰しと迎え入れ」としています。

G 12 わたしの心であるオネシモを、あなたのもとに送り帰します。

G´ 17 だから、わたしを仲間と見なしてくれるのでしたら、オネシモをわたしと思って迎え入れてください。

12節においては、オネシモを「送り帰します」、17節においては、オネシモを「迎え入れてください(直訳すると「受け取ってください、引き取ってください」)」と、反対の概念の記述が見られます。この場合、12節は原文を直訳しますと、「送り帰しました」と過去形(厳密にはアオリストといわれる単純過去形)になっています。これは「手紙のアオリスト」といわれているもので、読み手が手紙を受け取ったときのことを想定して、過去形で書かれているものです。新共同訳はそのことを踏まえた上で、「送り帰す」と現在形に翻訳しているのではないかと思われます。

これは、この手紙をオネシモ自身が持ってフィレモンのところに行くことを暗示しています。オネシモ以外の第三者が、前もって手紙をフィレモンのところに届けているならば、過去形にする必要はありません。「これからオネシモを送り帰す」と書けばよいのです。ですからこの手紙は、オネシモ自身がフィレモンの元に運んだ可能性が高いということはいえると思います。ともあれ、オネシモの「送り帰しと迎え入れ」という、反対概念の記述がなされている対称箇所です。

12節の「わたしの心」と訳されている「心」は、本コラム第6回でお伝えしました「スプランクノン / σπλάγχνον」というギリシャ語で、直訳すれば「内臓・はらわた」です。第6回では、この言葉は牧師と教会の信徒の関係、あるいは牧師と牧師の関係を意味しているとお伝えしました。それは別言するならば、「霊による交わり」という関係のことです。

「霊による交わり」とは何を意味しているのでしょうか。第7回でお伝えさせていただきましたが、フィレモン書は、パウロがエフェソ滞在中に獄中から書いたものと考えられており、同じ獄中からフィリピの教会宛てにフィリピ書が書かれたというのが、今日の聖書学においては幅広く認められている説です。私自身もさまざまな根拠において、この「フィリピ書・フィレモン書エフェソ獄中執筆説」を支持しています。そのようなフィリピ書に、第7回と重複するのですが、以下のような言葉が記されています。

1 そこで、あなたがたに幾らかでも、キリストによる励まし、愛の慰め、"霊" による交わり、それに慈しみや憐(あわ)れみの心があるなら、2 同じ思いとなり、同じ愛を抱き、心を合わせ、思いを一つにして、わたしの喜びを満たしてください。3 何事も利己心や虚栄心からするのではなく、へりくだって、互いに相手を自分よりも優れた者と考え、4 めいめい自分のことだけでなく、他人のことにも注意を払いなさい。(フィリピ2:1~4)

パウロはここでフィリピの教会の信徒たちに、他のこととも並列して、あなたたちのうちに「霊による交わり」があるなら、「へりくだって、互いに相手を自分よりも優れた者と考え」るように説いており、そのことをもって「わたしの喜びを満たしてください」と書いています。そして、フィリピ書2章6節以下では、当時歌われていたと思われる賛歌を引用して、へりくだって十字架の死に至るまで従順であったキリストに倣い、そのようにしなさいと書いています。私は、「霊による交わり」とは、十字架の死に至るまで従順であったキリストに倣い、互いに相手を尊重し合う関係のことではないかと考えています。

12節の「わたしの心であるオネシモを、あなたのもとに送り帰します」によるならば、パウロとオネシモとの間には、「霊による交わり」が成立していることを、この心(スプランクノン / σπλάγχνον)という語は示していると思います。また第6回でもお伝えしましたが、この書の20節によるならば、パウロはフィレモンともすでに、「霊による交わり」と呼べる関係にあります。その関係を、フィレモンとオネシモの間にも成立させようとしているのではないかと思われます。

「オネシモはフィレモンの家の教会に属している者」ということは、本コラムで何度かお伝えしてきましたが、やはりそれでもなお2人は、「牧師と教会の信徒の関係」というよりは、「主人と奴隷の関係」であったわけです。17節で「だから、わたしを仲間と見なしてくれるのでしたら、オネシモをわたしと思って迎え入れてください」と書いているのは、「オネシモを『霊による交わり』の関係の者として、心(スプランクノン / σπλάγχνον)として迎え入れてください」ということではないかと考えます。

集中構造分析における「GとG´」において、このような囲い込みがなされることによって、いよいよこの手紙は、最核心部に入っていきます。これまでの考察から、最核心部では「脱『主人と奴隷』の関係」が求められることを、予感させられるのではないでしょうか。次回以後、この手紙の最核心部に書かれていることをお伝えしてまいります。

今年は4月11日までがレント(四旬節)です。私たちはこの時期、特に「十字架の死に至るまで従順であったキリストに倣い、互いに相手を尊重し合う」歩みをなしていきたいと思います。(続く)

※ フェイスブック・グループ【「パウロとフィレモンとオネシモ」を読む】を作成しました。フェイスブックをご利用の方は、ぜひご参加ください。

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◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:フィレモンへの手紙臼田宣弘
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