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AIは福音宣教の未来をどのように形づくるか ローザンヌ運動が福音主義の視点で考察

2025年11月14日16時00分
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関連タグ:ローザンヌ運動人工知能(AI)福音主義(福音派)
人工知能/AI+
※ 画像はイメージです。(画像:Photon Photo / Shutterstock)

ローザンヌ運動は、人工知能(AI)が福音宣教の未来をどのように形づくるかについて、考察を進めている。

ローザンヌ運動の新しい研究部門「LIGHT」(Lausanne Insights for Global Horizons and Trends=世界的な展望と動向に関するローザンヌ運動の洞察)は、教会と日常生活におけるAIの急速な台頭がもたらす機会、課題、責任について検証している。その範囲は、コミュニケーション、学習、ミニストリー、神学、牧会ケアにまで及ぶ。

LIGHTは、その最新の報告書「LIGHTブリーフィング」(英語)で、「AIそれ自体は、救世主でもなければ脅威でもありません」と指摘。「むしろ、その価値は、神の民によってどのように識別され、統治され、展開されるかにかかっています」としている。

ローザンヌ運動のこの取り組みは、AIが世界中の社会にますます組み込まれる中で、この技術が大宣教命令を達成するという教会の使命を歪めるのではなく、いかに支えることができるかを理解するために、教会指導者らに指針を提供することを目的としている。

牧師、宣教師、神学者にとって、この議論は単なる倫理の範疇(はんちゅう)をはるかに超えたものといえる。

AIは現在、聖書を翻訳し、コミュニケーションを自動化し、伝道やアウトリーチを支援するツールとなっている。これは、宣教活動を加速させる可能性があるが、誤用されれば人間同士の絆を損なうリスクも伴う。

報告書は「無邪気な楽観主義と麻痺させるような恐怖」の両方に注意を促し、代わりに、信仰を持つ者たちが、神学的深さと倫理的認識をもってAIに取り組むよう促している。

「どのようにすれば、これらのツールが真の人間関係に取って代わるのではなく、それを強化するものとなることができるでしょうか。教会はデジタル時代において、どのようにして透明性、公平性、正義を体現できるでしょうか。そして、どのようにすれば、キリストを中心とし続けながら、AIを活用して大宣教命令を加速できるでしょうか」

宣教団体が賢明に識別できるように、ローザンヌ運動の研究者らは、以下の4つの要素から成る倫理的枠組みを提案している。

  • 宣教との整合性:技術が大宣教命令と一致していることを維持する。
  • 関係性の整合性:真の人間関係と神との関係を強化し、それに取って代わらないようにする。
  • 有用性と公平性の整合性:公平性、持続可能性、脆弱(ぜいじゃく)な人々への配慮を確保する。
  • 道徳性の整合性:全ての技術利用において、透明性、説明責任、道徳的責任を堅持する。

これらの原則は教会に対し、全ての技術利用が、聖書的価値観である正義、真理、憐(あわ)れみ、愛を確実に反映したものとなるようにすることを奨励している。

その上で、報告書は次のように警告している。

「AIが、私たちと神との交わりや他者とのつながりに干渉することを許してはなりません。むしろ、真の人間的な絆を強化するために活用されるべきです」

「神に対して道徳的な説明責任を負う存在として、私たちは機械に倫理的主体性を与えることは決してできません。最終的に私たちは、自分たちが使用し、他者と共有する技術に対して責任を負わなければなりません」

最も議論されている応用の一つが、公への福音の共有である伝道に対するAIの利用である。

AIは聖書を新しい言語に翻訳したり、文化的に適切なコンテンツを生成したりできるが、ローザンヌ運動は、デジタルツールが信者による人間味のある証しに取って代わることはできないと強調している。

報告書の著者らは「福音は不変です」とし、「聖書の命令は技術革新を超越するものであり、媒体にかかわらず、忠実な宣教を要求します」と強調する。

AIは伝道者のコミュニケーションを効率化し、制限された地域で働く人々を保護し、データを分析して新しい聴衆に到達するのを支援するかもしれないが、生身の人間の声と置き換えられるものではないと著者らは述べている。

「『言(ことば)が肉となった』イエスは、生身の人間として御国を宣言されました。御霊に満たされ、内住され、力を与えられた、魂を持つ生身の人間は、機械が決してできない方法で、他の人とつながります。伝道には、イエスとの『生きた体験』の証しが必要です」

「ますます人工的で非実体的になる世界において、失われた人々や孤独な人々にキリストの具体的な愛をもたらすのは、生身の人間です。私たち自身がその場に存在することは、『貧しい人に福音を告げ知らせ』『捕らわれている人に解放を告げる』ために、私たちが対面で伝える配慮をしたことを示します」

報告書は、教会がこれまでにも技術革新に直面しており、今後もそうなることを認めている。その上で、識別力、勇気、そして祈りをもって、信者はこの新しいフロンティアに、恐れではなく希望をもって向き合うことができるとしている。それは、デジタル時代においても、それ以前の時代と同様に、神の使命は神の民を通して継続すると信じているからだ。

結論として、報告書は次のように述べている。

「関係的に見ると、AIは神のデザインの有効性に挑んでいます。神学的に見ると、AIは神の方法の十全性に挑んでいます。これらの挑戦には、祈り深く向き合い、熟慮しなければなりません」

「AIは増大するでしょうが、それは、福音を告げ知らせ、大宣教命令を果たすことにおいて、御霊に満たされた人間の使者に取って代わるものではなく、常に仕えるものでなければなりません」

※ この記事は、英国クリスチャントゥデイの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。
関連タグ:ローザンヌ運動人工知能(AI)福音主義(福音派)
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