全米で人工知能(AI)を取り入れる教会が増加している一方、牧師は説教の準備などでAIを利用することに消極的であることが、最近の調査で明らかになった。
「教会テックの現状2025」(英語)と名付けられた今回の調査は、非営利団体向けの決済・寄付者管理サービスなどを手がける米プッシュペイ社が、他の2社と協力して作成したもの。調査は2月、約8千人の教会指導者を対象に行った。
調査結果によると、AIを利用している教会の割合は、2024年は25%だったのに対し、25年は45%に増え、前年比で80%の増加となった。その一方、AIの利用は特定の分野に限られている。
「AIの導入が進む一方で、教会指導者は牧会用コンテンツにAIを利用することには消極的です。昨年のレポートでは、AI利用者の4分の1以下しか、ディボーションや説教、牧会的指導のためのアイデアを得るためにAIを運用していないことが明らかになりました。AIの使用例の大半は、電子メール、画像、SNSへの投稿など、コミュニケーション関連のコンテンツの生成と編集に集中しています」
調査結果によると、AIの利用は業務効率を高めることがほとんどだが、教会指導者は圧倒的にAIをコミュニケーションのために活用している。
「これらのパターンは必ずしも驚くべきものではありません。教会指導者として召された人々は、その多くが、AIが脚光を浴びるずっと以前から奉仕を始めており、聖霊によって指導したいという願いから召命を追求しています。そのため、霊的指導におけるAIの役割には、いまだに不安が伴っています。しかし、ひとたびメッセージを共有する準備が整うと、指導者たちはAIを活用して、そのメッセージを広く迅速に広めています」
3月に、キリスト教テクノロジー・プラットフォームを手がける米グルー社の取締役会長兼技術責任者に就任した元インテル最高経営責任者(CEO)のパット・ゲルシンガー氏は、約45万の教会、キリスト教ネットワーク、非営利団体にまたがる米国のキリスト教エコシステムは、デジタル技術の導入が遅れていると話す。
ゲルシンガー氏は、キリスト教コミュニティーが消費者向けのソーシャル・インターネット・プラットフォームに関与する反応が遅かったことを指摘。それは「社会にとってプラスではなかった」とし、急速に進歩するAIの分野でその過ちを繰り返したくないと言う。
「この場合、私たちが向かっているのは、AIを善のための力として形作る能力です。それは非常に大きいものです。信仰とテクノロジーが真に融合する場所となり、教会が最新のテクノロジーをどのように活用できるかを示す影響力となり、AIを善の力として形成することができるのです」
「教会テックの現状2025」はまた、86%というかなりの割合の教会指導者が、テクノロジーが彼らの教会における人々のつながりを活性化させることに同意していることも明らかにした。
プッシュペイ社のケニー・ワイアットCEOは、今回の調査結果に関する声明(英語)で、次のように述べている。
「今年の『教会テックの現状』は、単なる統計やデータ以上のものを提供しています。テクノロジーが宣教において重要な役割を果たすという点で、私たちは圧倒的なコンセンサスを得ています。こうしたツールを、教会の中心である人間関係を置き換える手段ではなく、強化するための手段と見なす指導者が、ますます増えています」