Skip to main content
2025年6月16日23時55分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯

生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(12)生き物は、全て兄弟である

2017年1月10日14時27分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:アルベルト・シュバイツァー

1935年。シュヴァイツァーは、ランバレネに5度目の滞在をする。この頃には、黒人たちは皆、ドクトルや夫人、そして病院で働く医師や看護師たちの献身的な姿の中に「畏敬の念」を感じ取っていた。

彼らは「なぜ殺したり、盗んだり、復讐したりしてはいけないのか」を理解し始めた。女たちは、出産時に母親が亡くなった孤児たちを引き取って育てることを始めた。以前のように、母親が死んだのは呪いだと言って、その子たちを死なせるようなことをしなくなった。「生命への畏敬」は、イエスの愛そのものであったのである。

シュヴァイツァーにとっては、「生命への畏敬」とはあらゆる生命への畏敬を意味していた。彼は乾期に夜空に向かって焔(ほのお)が高く上がるのを見ると、心の中で苦しみを覚えた。黒人たちが新しい農園を作るために倒した樹木を燃やすのである。しかし、その火の中で多くの動物が死ぬことを考えるとたまらなかった。

「でも、ドクトル」。黒人たちは、彼の心中を察しながらも言った。「われわれの農園を作らなくては、われわれが死にます」。確かにそうだった。彼は暗黙のうちにそれを認めた。

「真に人間が偉大であるのは、彼が味方し得る一切の生命を助けるという強い促しに従い、何らかの生命あるものに害を加えることを避けるときにおいてのみである。生そのものが人間にとっては神聖である。1枚の葉も木からもぎ取らず、1本の花も折らず、1匹の昆虫も踏みつぶさないように注意する。真夜中にランプで仕事をするとき、昆虫が1匹、1匹と羽を焼かれて机の上に落ちるのを見るよりは、むしろ窓を閉めて重い空気を吸うのである」。彼は著作の中で述べた。

病院設立以来、彼は自分が責任を持つ区域内ではどんな動物も殺してはならないと命じていた。そして、傷ついたり、孤児になったりした動物を病院につれてきた者には、贈り物で表彰することにしていた。

こうしたことから、病院一帯は野生動物の「動物園」になっていた。これらの動物をシュヴァイツァーは子どものように可愛がったのである。机に向かう彼になでてもらうのを待っているカモシカ。猿、コウノトリ、ペリカン、3匹のヤギ、ゴリラ、ヤマアラシ、白フクロウもいる。ジュローという名のチンパンジー、セブリーヌとジョゼフィーヌという雌イノシシなどで部屋はいっぱいだった。

「でも、人間はどうしても生きるためには時として他の生き物の生命を奪わなくてはならないでしょう? そういう時はどうするのです?」

あるジャーナリストの問いに彼は答えた。

「その時は、本当にそれが必要なのか――人間は絶えず吟味し、決断を下すべきです。這い寄ってくるクモを踏みつぶすとき、正しいことをしていると確信できるか? 動物の生体解剖もそうです。1匹の犬やイルカに加えられる苦痛は、人間に役立てるために本当に必要なのか? 1匹の動物の苦しみによって得られる学問の進歩は、果たして正当化されるだろうか?――そういうことを常にわれわれは神と良心の前に正さねばなりません」

1939年9月。またしても戦争が始まる。治療に必要な物資や食料を節約しなくてはならなかったので、救急患者を除き、病人は全て帰宅させた。郷里で招集を受けた医師、助手たちは汽船で帰国してしまい、看護師のうちの何人かもヨーロッパに帰ったので、ヘレーネ夫人はこの不安な時に夫のそばにいて支えるため、危険を冒してフランスからやって来た。

戦争は近づいてきた。最後の仕入れをした外科材料と薬品を積んだ「プラザ号」は魚雷にかかって沈没し、貴重な宝を海底に持っていってしまった。7カ月後、戦火はジャングルにも押し寄せた。激しい砲火の中、シュヴァイツァーはランバレネに面した家々の壁を厚い波形トタンで補強することによって患者と看護師たちを流れ弾から守った。

やがてフランス部隊が植民地を征服。英国や米国との間に郵便が復活すると、英国の友人たちは自分たちも困窮しているにもかかわらず、再び寄付を寄せ始めた。スウェーデンの救助者たちは、物資をランバレネに運び、米国の友人たちも援助に赴いた。

「ニューヨーク研究科医学校」とその付属病院の院長エドワード・ヒューム博士は、ランバレネ病院が必要とする一切の医療品を提供する約束をし、1942年の春、それが到着した。また、彼の事業を支えるために「シュヴァイツァー会」ができ、会長にスキニング博士が就任したのであった。彼はあらゆる手立てを用いてシュヴァイツァーを援助した。

*

<あとがき>

シュヴァイツァーにとって「生命への畏敬」とは、あらゆる生命への畏敬を意味していました。彼はこれをただ理論として述べたのではなく、彼の生活そのものであったのです。

文献を調べて一番驚いたのは、彼はランプの下で仕事をする際に、ガが入ってきてランプの焔で羽を焼かれて机の上に落ちるのを見るに忍びなく、どんなに暑くても窓を閉め切りにして仕事をしたという話が残っていることです。害虫といわれる虫に対しても、苦しみを与えてはならないという思いを彼が持っていたことが分かります。

地図を見ると、ランバレネの病院近くに「動物園」が表示されていますが、これはかつてシュヴァイツァーが傷ついたり、孤児になったりした動物を病院につれてきた者には贈り物を出すことにしており、多くの動物が病院で保護され、そこが後に動物園になったそうです。まさに、彼にとって生き物は全て神の前において兄弟であったのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:アルベルト・シュバイツァー
  • ツイート

関連記事

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

  • 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(1)暗い出生

  • 非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(1)どうして黒人は差別されるの?

  • 貧民救済に命賭けて―山室軍平の生涯(1) 強さと優しさと

  • 【聖書クイズ】1万タラントンを現在の貨幣に換算すると?

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(6月13日):カメルーンのクワクム族のために祈ろう

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(21)アデオダートスと再会する

  • ワールドミッションレポート(6月10日):アンゴラのクワァビ族のために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • トラウマからの解放と癒やし 菅野直基

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.