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生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯

生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(12)生き物は、全て兄弟である

2017年1月10日14時27分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:アルベルト・シュバイツァー

1935年。シュヴァイツァーは、ランバレネに5度目の滞在をする。この頃には、黒人たちは皆、ドクトルや夫人、そして病院で働く医師や看護師たちの献身的な姿の中に「畏敬の念」を感じ取っていた。

彼らは「なぜ殺したり、盗んだり、復讐したりしてはいけないのか」を理解し始めた。女たちは、出産時に母親が亡くなった孤児たちを引き取って育てることを始めた。以前のように、母親が死んだのは呪いだと言って、その子たちを死なせるようなことをしなくなった。「生命への畏敬」は、イエスの愛そのものであったのである。

シュヴァイツァーにとっては、「生命への畏敬」とはあらゆる生命への畏敬を意味していた。彼は乾期に夜空に向かって焔(ほのお)が高く上がるのを見ると、心の中で苦しみを覚えた。黒人たちが新しい農園を作るために倒した樹木を燃やすのである。しかし、その火の中で多くの動物が死ぬことを考えるとたまらなかった。

「でも、ドクトル」。黒人たちは、彼の心中を察しながらも言った。「われわれの農園を作らなくては、われわれが死にます」。確かにそうだった。彼は暗黙のうちにそれを認めた。

「真に人間が偉大であるのは、彼が味方し得る一切の生命を助けるという強い促しに従い、何らかの生命あるものに害を加えることを避けるときにおいてのみである。生そのものが人間にとっては神聖である。1枚の葉も木からもぎ取らず、1本の花も折らず、1匹の昆虫も踏みつぶさないように注意する。真夜中にランプで仕事をするとき、昆虫が1匹、1匹と羽を焼かれて机の上に落ちるのを見るよりは、むしろ窓を閉めて重い空気を吸うのである」。彼は著作の中で述べた。

病院設立以来、彼は自分が責任を持つ区域内ではどんな動物も殺してはならないと命じていた。そして、傷ついたり、孤児になったりした動物を病院につれてきた者には、贈り物で表彰することにしていた。

こうしたことから、病院一帯は野生動物の「動物園」になっていた。これらの動物をシュヴァイツァーは子どものように可愛がったのである。机に向かう彼になでてもらうのを待っているカモシカ。猿、コウノトリ、ペリカン、3匹のヤギ、ゴリラ、ヤマアラシ、白フクロウもいる。ジュローという名のチンパンジー、セブリーヌとジョゼフィーヌという雌イノシシなどで部屋はいっぱいだった。

「でも、人間はどうしても生きるためには時として他の生き物の生命を奪わなくてはならないでしょう? そういう時はどうするのです?」

あるジャーナリストの問いに彼は答えた。

「その時は、本当にそれが必要なのか――人間は絶えず吟味し、決断を下すべきです。這い寄ってくるクモを踏みつぶすとき、正しいことをしていると確信できるか? 動物の生体解剖もそうです。1匹の犬やイルカに加えられる苦痛は、人間に役立てるために本当に必要なのか? 1匹の動物の苦しみによって得られる学問の進歩は、果たして正当化されるだろうか?――そういうことを常にわれわれは神と良心の前に正さねばなりません」

1939年9月。またしても戦争が始まる。治療に必要な物資や食料を節約しなくてはならなかったので、救急患者を除き、病人は全て帰宅させた。郷里で招集を受けた医師、助手たちは汽船で帰国してしまい、看護師のうちの何人かもヨーロッパに帰ったので、ヘレーネ夫人はこの不安な時に夫のそばにいて支えるため、危険を冒してフランスからやって来た。

戦争は近づいてきた。最後の仕入れをした外科材料と薬品を積んだ「プラザ号」は魚雷にかかって沈没し、貴重な宝を海底に持っていってしまった。7カ月後、戦火はジャングルにも押し寄せた。激しい砲火の中、シュヴァイツァーはランバレネに面した家々の壁を厚い波形トタンで補強することによって患者と看護師たちを流れ弾から守った。

やがてフランス部隊が植民地を征服。英国や米国との間に郵便が復活すると、英国の友人たちは自分たちも困窮しているにもかかわらず、再び寄付を寄せ始めた。スウェーデンの救助者たちは、物資をランバレネに運び、米国の友人たちも援助に赴いた。

「ニューヨーク研究科医学校」とその付属病院の院長エドワード・ヒューム博士は、ランバレネ病院が必要とする一切の医療品を提供する約束をし、1942年の春、それが到着した。また、彼の事業を支えるために「シュヴァイツァー会」ができ、会長にスキニング博士が就任したのであった。彼はあらゆる手立てを用いてシュヴァイツァーを援助した。

*

<あとがき>

シュヴァイツァーにとって「生命への畏敬」とは、あらゆる生命への畏敬を意味していました。彼はこれをただ理論として述べたのではなく、彼の生活そのものであったのです。

文献を調べて一番驚いたのは、彼はランプの下で仕事をする際に、ガが入ってきてランプの焔で羽を焼かれて机の上に落ちるのを見るに忍びなく、どんなに暑くても窓を閉め切りにして仕事をしたという話が残っていることです。害虫といわれる虫に対しても、苦しみを与えてはならないという思いを彼が持っていたことが分かります。

地図を見ると、ランバレネの病院近くに「動物園」が表示されていますが、これはかつてシュヴァイツァーが傷ついたり、孤児になったりした動物を病院につれてきた者には贈り物を出すことにしており、多くの動物が病院で保護され、そこが後に動物園になったそうです。まさに、彼にとって生き物は全て神の前において兄弟であったのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:アルベルト・シュバイツァー
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