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ヨハネ福音書を読む

ヨハネ福音書を読む(47)「無言の信仰告白と埋葬の準備」―ラザロの復活(7)― 臼田宣弘

2024年3月7日15時46分 コラムニスト : 臼田宣弘
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関連タグ:ヨハネによる福音書臼田宣弘
カルロ・ドルチ「マグダラのマリア」(イタリア・ピッティ宮殿所蔵)
カルロ・ドルチ「マグダラのマリア」(イタリア・ピッティ宮殿所蔵)。ベタニアのマリアは、キリスト教史ではしばしばマグダラのマリアと同一視されてきた。マリアが手にしているのはナルドの香油の入ったつぼ。

今回は、12章1~11節を読みます。

献身としてのマリアの給仕

1 過越祭の六日前に、イエスはベタニアに行かれた。そこには、イエスが死者の中からよみがえらせたラザロがいた。2 イエスのためにそこで夕食が用意され、マルタは給仕をしていた。ラザロは、イエスと共に席に着いた人々の中にいた。

エルサレム近郊のベタニアでラザロを復活させた後、ユダヤ人たちに付け狙われるようになったイエス様は、エフライムという町に避難していましたが、再びベタニアに戻りました。そこで復活したラザロと再会したのです。

そしてラザロの家に招待され、夕食を共にすることになります。12弟子たちも一緒であったことでしょう。ルカ福音書10章38~42節のマルタとマリアの話でも、マルタはもてなしのために働いていましたが(「ルカ福音書を読む」第23回参照)、ラザロの復活後のこの場面でも、マルタは給仕(ギリシャ語はディアコネオーで「弟子として従う」という意味を持つ)をしています。

マルタがラザロの復活後にも給仕をしていたことは、大切なポイントだと思います。マルタは、イエス様に対して口で信仰告白をしていますが(11章27節)、しかしその後、ラザロの復活前には「主よ、もう臭います。四日もたっていますから」(同39節)と言っており、イエス様に対して懐疑的になっています。それが、ラザロの復活後のこの場面では、献身的な姿になっているのです。

このことは、「あなたはメシア、生ける神の子です」(マタイ福音書16章16節)と信仰告白をしたペトロが、イエス様が十字架につけられるときには「あんな人など知らない」(ルカ福音書22章57節)と否認したにもかかわらず、復活後のイエス様にガリラヤ湖畔で会ったときには、「私の小羊を飼いなさい」(ヨハネ福音書21章15節以下)と言われ、献身の態度を示したのと同じ姿勢を感じさせます。

マルタは、墓の場面ではラザロが復活すると姿を消していますが、この食事の場面においては、ラザロを復活させていただいたことに対する応答をしています。そしてこの献身的な姿勢は、イエス様の復活と昇天後にできた初代教会においても、貫かれたことでしょう。

さらに、食卓には復活したラザロも共にいます。それは、死んでいたラザロが、今は「生」を歩んでいることを読者に印象付けていると思います。

マリアによる塗油

3 その時、マリアが純粋で非常に高価なナルドの香油を一リトラ持って来て、イエスの足に塗り、自分の髪でその足を拭った。家は香油の香りでいっぱいになった。

マルタの姉妹であるマリアは、ラザロが復活させられた墓においては登場していませんが、この場面では、最大の感謝を表した者として伝えられています。マリアは、ナルドの香油を1リトラ(約326グラム、聖書巻末参照)持って来たとあります。ナルドは、旧約聖書の雅歌でも伝えられていますが(1章12節など)、大変に高価な香油です。

マリアはその香油を、イエス様の足に塗って、それを自分の髪の毛で拭ったのです。部屋中が香油の香りで満ちあふれました。墓にいたときは、死後4日たって臭っていてもおかしくない状態だったラザロが、今度は最上級の香りに包まれたのです。ラザロが食卓に座っていたことも彼の「生」を印象付けていますが、ナルドの香油の香りに包まれたことも、やはり「生」の象徴でありましょう。

そして何よりも、マリアのこの行為は、イエス様に対する油注ぎでした。旧約聖書のサムエル記上には、サムエルが、サウル(10章1節)とダビデ(16章13節)に油を注いだことが伝えられています。それは、サウルとダビデが王になるための通過儀礼でした。

この「油を注ぐ」のヘブライ語「マーシャー」が、新約聖書では「メシア=キリスト」となり、イエス様に対する称号になっています。つまり、マルタは口で「主よ、あなたが世に来られるはずの神の子、メシアであると私は信じています」(11章27節)と信仰告白しましたが、マリアは無言ではあっても、香油を注ぐという行為によって「あなたはメシアです」と信仰告白したのです。

盗人イスカリオテのユダ

4 弟子の一人で、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った。5 「なぜ、この香油を三百デナリオンで売って、貧しい人々に施さなかったのか。」 6 彼がこう言ったのは、貧しい人々のことを心にかけていたからではない。自分が盗人であり、金入れを預かっていて、その中身をごまかしていたからである。

イスカリオテのユダについては、6章64~71節でも触れられています。そこでは、ユダがイエス様を裏切ることが予告されています。しかし、64節に「ご自分を裏切る者が誰であるかを知っておられた」とありますから、イエス様はユダが裏切ることを分かっていて彼を弟子にしたのです。このことは、福音書を読んでいる私たちもまた、自分自身の中にユダ的なものを持っていて、イエス様はそれを分かって私たちを弟子として招いてくださっていることを意味しているともいえるでしょう。

ところでユダは、弟子たちの中で会計係をしていました。ルカ福音書8章3節には、イエス様に仕えていた女性たちは「自分の持ち物を出し合って、一行に仕えていた」とあります。これらの持ち物は換金されていたでしょうから、その共有資金を管理していたのがユダであったと考えられます。

ところが彼は、そのお金を盗んでいたのです。ですから、その穴埋めをすることを考えていたのかもしれません。マリアが高価な香油をイエス様の足に塗ったのを見て、香油を換金して貧しい人に施すという名目でそれを受け取り、盗んだお金の穴埋めをしたいと思ったのかもしれません。それで「なぜ、この香油を三百デナリオンで売って、貧しい人々に施さなかったのか」という言葉が出たのかもしれません。

ひょっとしたら、イエス様を銀貨30枚で売ったのも、盗んだお金の穴埋めという軽い気持ちからだったのかもしれません。自分の行為によって、イエス様が十字架にかけられるなどとは思っていなかったのではないでしょうか。犯罪心理というものは、案外そんなものではないでしょうか。とっさに悪を行ってしまうこともあるのです。ただ、もしそうだとすると、そこからユダの犯した裏切りの「動機」が明らかにされると思います。

埋葬の準備としての塗油

7 イエスは言われた。「この人のするままにさせておきなさい。私の埋葬の日のために、それを取っておいたのだ。8 貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるが、私はいつも一緒にいるわけではない。」 9 イエスがそこにおられるのを知って、ユダヤ人の大群衆がやって来た。それはイエスだけが目当てではなく、イエスが死者の中からよみがえらせたラザロを見るためでもあった。10 祭司長たちはラザロをも殺そうとたくらんだ。11 多くのユダヤ人がラザロのことで離れて行って、イエスを信じるようになったからである。

しかしイエス様は、「するままにさせておきなさい」と言われました。そして、マリアの行為は「埋葬の準備である」としたのです。イエス様が実際に葬られるときには、ニコデモも香油を持ってきています(19章39節)。当時は、死者に塗油する習慣がありました。マリアの行為は、メシア告白であると同時に埋葬の準備でもあったのです。

9節以下では、イエス様を殺害しようとしている人たちの動機が明らかにされます。それは、多くのユダヤ人がラザロを復活させたのを見てイエス様に付いていったからでした。宗教指導者たちにねたみが生じたのでしょう。イエス様はまさに、埋葬へと歩みを進めていくことになるのです。

そして、イエス様だけでなくラザロも死の脅威にさらされることになります。しかし、ここでのメッセージは、永遠の命を与えられたラザロが、そういった脅威にも立ち向かえているということではないかと思います。(続く)

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◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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