Skip to main content
2025年8月20日11時06分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(16)福祉事業に身をささげて

2020年9月9日15時03分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷

この年に、アンドリューは625万ドルを出してニューヨーク市に64の公共図書館の分館を建てた。苦学しながら働いていたとき、初めてジェームス・アンダーソン大佐の好意により本を読む恩恵を受けたあの時の感謝の気持ちを彼は忘れていなかったのである。

いつぞやダムファームリンに「カーネギー図書館」を建てたとき、第二のふるさとである米国にもいつの日にか図書館を建てようと誓ったのだった。ニューヨーク市の公共図書館長J・S・ビリング博士は出向いてきて深い感謝の気持ちを述べた。「教会と図書館の多い町には立派な市民がいます。そういう町は必ず栄えるのです」。アンドリューはこう答えた。

また彼は、ニューヨーク近くのブルックリンには20の分館を設立した。カーネギー一家が貧困にあえぎつつスコットランドから米国に渡り、最初に居住したのがアリゲニー・シティだった。この町はアンドリューにとって忘れることのできない場所だった。彼はこの地に深い感謝の念を表し、記念として公共図書館と公民館を贈った。この開館式には大統領も出席し、盛大なものとなった。

次に、米国で彼にとってなじみの深い町は言うまでもなくピッツバーグだった。この町でアンドリューは仕事において成功し、多くの知り合いを作ったのだった。この町には感謝の思いを込めて図書館、博物館、絵画陳列館、工業学校、女学校を寄贈した。このために使った金は2400万ドルに上る。

市長は彼を晩餐会に招き、立派な金メダルを贈った。この席にはペンシルバニア鉄道のかつての同僚たちや、すでに引退した仲間、そして電信局の「仲良し三人組」だったボブ・ピットケーレン、デーヴィッド・マッカーゴも姿を見せた。あのスコット氏だけは悲しいことに1881年に死去したのだった。

(スコットさんがいてくれたら、どんなに喜んでくれたことか。)アンドリューはつぶやくのだった。(やったな、アンディ。きみはただの実業家として終わるのではなく、こうして福祉事業を起こしたことは素晴らしいよ。)気のせいか、こう言うスコット氏の言葉が耳もとでささやかれたような気がした。

こうしてピッツバーグ市に返礼してから、次に手をつけるべき仕事は、ワシントン市に「カーネギー協会」を作ることだった。1902年1月28日。彼は2500万ドルを投じてこれを実現させた。この協会は人類の向上、進歩のために調査、研究、発明などを奨励する機構で、特に科学、文学、芸術などの部門において調査を行い、それを財政的に補助し、政府、大学、工業学校、学界などと協力しつつ研究を進めるものであった。多くの実業家、学者、政治家が協力を示し、国務長官ジョン・ヘイ氏は会長を引き受けてくれた。そして1904年4月28日、合衆国連邦議会の決議によって法人組織として発足したのだった。この協会の業績については知らぬ者はいなかった。

一つは、木材と真ちゅうで作ったヨット「カーネギー号」である。これは世界の海を航海し、すでに作製されていた航海地図の誤りを訂正することで大きな業績を残した。また、このヨットは親善の役割をも果たした。アンドリューはいつも不幸な国、他国の侵略を受けたり、支配されたりしている国のことを思っていた。それで自分の祖国や米国がもしこのような政策に加担したことがあったとしたら、何かの形で埋め合わせをしたいと考えていたからである。

もう一つの業績は、海抜5886フィートのカリフォルニア州ウィルソン山に建てられた天文観測所だった。ヘール博士が所長となったこの観測所から新しい星の写真が撮られ、1枚目を現像すると16の新しい星が発見された。さらに2枚目の乾板には60、3枚目には100以上の星が写し出され、その中の幾つかは太陽よりも大きいことが分かった。

3番目の事業は「善行基金」の設定だった。ある時、ピッツバーグ市付近の炭坑で爆発事件が起こり、炭坑支配人のテーラー氏が真っ先に坑内に入り救出活動をしているうちに生命を失うという悲劇が起きた。この事件に心を打たれたアンドリューは、勇敢な行為をして犠牲になった人、友人を救おうとして倒れた人に対し、その善行に報いたいと考えた。そして1904年4月15日。500万ドルを投じて設定したのがこの「善行基金」だったのである。この基金はやがて英国にも設定され、本部をダムファームリンに置いた。その後もこの基金は欧州各国へと広がってゆき、災害救出活動の模範となったのである。

*

<あとがき>

いよいよアンドリューは、全身全霊をもって福祉事業に着手します。すでに故郷ダムファームリンに「カーネギー図書館」を寄贈した彼は、第二のふるさとであるニューヨーク市にも64の公共図書館を建てたのです。かつて苦学をしながら働いていたとき、ジェームス・アンダーソン大佐から本を貸してもらったり、激励されたりしたときのことを彼は忘れておらず、勤労青年が自分のように知識の恩恵にあずかることを願って図書館を各地に寄贈し続けました。

次に彼は自分を実業家として育ててくれた町ピッツバーグにも感謝の気持ちを込めて図書館、博物館、絵画陳列館、学校を建てました。さらに、ワシントン市に人類の進歩のための研究機関「カーネギー協会」を設立し、ヨット「カーネギー号」で世界を巡回させ平和親善に努めました。また、事故で亡くなった労働者の家族を救済するために500万ドルを投じて「善行基金」を設立し、本部をダムファームリンに置いたのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • 太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯(1)稲穂のように

  • ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

  • 戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(1)叫び求める声

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 福音派増えるベネズエラ、大統領が「マーチ・フォー・ジーザスの日」制定 全国で行進

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 世界福音同盟、新総主事にアラブ系イスラエル人弁護士を選出

  • ワールドミッションレポート(8月20日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(3)

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(240)聖書と考える「レプリカ 元妻の復讐」

  • ワールドミッションレポート(8月17日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(1)

  • ワールドミッションレポート(8月18日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(2)

  • 米韓政府の政策で対北朝鮮ラジオ放送が80%減少、キリスト教迫害監視団体が懸念

  • いのちの書に名を記される幸い 万代栄嗣

  • 嫌いと無関心 菅野直基

  • 福音派増えるベネズエラ、大統領が「マーチ・フォー・ジーザスの日」制定 全国で行進

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 世界福音同盟、新総主事にアラブ系イスラエル人弁護士を選出

  • 米韓政府の政策で対北朝鮮ラジオ放送が80%減少、キリスト教迫害監視団体が懸念

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • いのちの書に名を記される幸い 万代栄嗣

  • 嫌いと無関心 菅野直基

  • シリア語の世界(30)シリア語新約聖書の和訳(1)マタイ福音書からテサロニケ人への手紙第二まで 川口一彦

  • 主は生きておられる(240)黒い雨 平林けい子

  • ドイツで神学生が大幅に減少、5年前の3分の2に

  • 根田祥一氏の敗訴確定、最高裁が上告棄却 本紙に対する名誉毀損で賠償命令

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • キリスト教徒が人口の過半数を占める国・地域、この10年で減少 米ピュー研究所

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(10)「苦しみ」から「苦しみ」へ 三谷和司

  • 日本キリスト教協議会、戦後80年の平和メッセージ キリスト者の戦争加担にも言及

  • 日本基督教団、戦後80年で「平和を求める祈り」 在日大韓基督教会と平和メッセージも

  • コンゴで教会襲撃、子ども含む43人死亡 徹夜の祈祷会中に

  • ドイツで神学生が大幅に減少、5年前の3分の2に

編集部のおすすめ

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.