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鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(最終回)世界に響く愛の鐘

2020年9月23日13時53分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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「カーネギー協会」を作ったその年のことであるが、アンドリューは健康を害し、静養のためにロンドンに来ていた。その時、主治医のロス博士からピッテンクリフ(ダムファームリン寺院のある区域)をめぐる騒動について聞かされた。それは、この区域の土地を所有する地主があの寺院の庭を進歩の時代にふさわしく観光のために改造しようと言い出し、地元の人たちと争いが絶えないのだという。

「それじゃあ、あの鐘はどうするんでしょう?」「そうですねえ。寺院が改造されるのだから、鐘は溶かされてしまうでしょう」。とんでもないことだった。思わずアンドリューは立ち上がった。あの幼い頃からの大の仲良しをそんな目に遭わせるものか。

彼は老いた身を奮い立たせるようにして、ロス医師を通じてエディンバラに住むショーという人を紹介してもらった。そしてこの人を通して話をつけてもらうことにしたのである。先方では4万5千ポンド出せば譲り渡すと言った。決して安くない値だが、アンドリューは決められた金額を地主に払い譲渡証書を書いてもらった。かくしてこの区域は市の財産として永久に保護されることになったのである。アンドリューは仲良しに恩返しをしたのだった。

同じ年の1902年のある日。ダムファームリンの友人トマス・ショーという人物が一冊の雑誌を送ってきた。その評論の中には「スコットランドの貧しい人の多くは子どもを何とかして大学にやりたいと自分たちの生活を極度に切りつめているにもかかわらず、授業料が払えない」という彼自身の悲痛な一文が載せられており、彼はそれに手紙を添えて送ってきたのだった。

アンドリューはすぐに返信を彼に送り、力の及ぶ限り援助しようと約束した。そして、スコットランド大学に1千万ドルを寄付し、それから出る利子を貧しい子弟の授業料に充て、残りの分をこの大学の改善のために使ってもらうようにした。これは「スコットランド大学カーネギー基金」と呼ばれている。

それから間もなく、アンドリューは「セント・アンドリュース大学」の名誉教授に選ばれた。彼は初めて教授会に出席し、今まで知らなかった彼らの苦労を見たのだった。彼は大学相互の連絡を取り合う必要性を痛感し、早速対策を考えた。スコットランドにある4つの大学の4人の総長とその家族を1週間自宅に招き、食事をしながら楽しく語り合うときを持った。この時の愛妻ルイーズの心のこもった接客ぶりは素晴らしいものであった。これがきっかけで「総長週間」というものができ、親しく交流する機会が設けられて大学相互の連絡もうまくいくようになった。

これを機会に、アンドリューは世界中の援助を必要とする小さな大学や専門学校を救済する事業に乗り出した。オハイオ州のケンヨン大学、黒人の教育機関であるタスキギー学院などがこの恩恵にあずかったのだった。

1905年6月。アンドリューは老齢の大学教授の生活を支えるために1500万ドルの年金を設けた。これは「カーネギー教育振興財団」と呼ばれ、合衆国のあらゆる教育機関の総長たちの中から25人の委員を選んで運営に当たるもので、それによって多くの教授たちがその老後の生活を保障され、また未亡人や遺児たちの生活が助けられたのだった。

これに続く大きな基金として、アンドリューは「鉄道恩給基金」を設定した。彼は自分が初めてペンシルバニア鉄道に入社したとき、目上の人から親切にされ、助けられたことを忘れなかった。それで、いつの日にかそれに報いたいと思っていたのである。彼は400万ドルを「鉄鋼業従業員年金」のためにこの社に送ったのだった。

1906年はアンドリューにとって多忙な年となった。彼は6つの都市の名誉市民に挙げられ、連日その式典や歓迎会に出なくてはならなかった。また、各市長や市議や各界の有力者に招かれてスピーチをし、市政の向上について話し合った。彼はまた政治家や文学者、芸術家との交流も続けていたので「カーネギー古参者会」というクラブを作り定期的に晩餐会を催して親睦を深めた。同じく「文学晩餐会」を設けて文人たちや文学に興味のある人を招いて大いに文学について語り合うのを楽しみとしていた。

1907年。数人の友人がアンドリューのもとを訪れ、ニューヨークに「平和協会」を組織したいので会長になってほしいと依頼してきたのでこれを承諾した。そしてこの年の4月に「平和協会」の全国大会が開催され、35州の代表が参加し、世界平和のために働くことを誓い合ったのだった。

アンドリュー・カーネギーはその後も福祉事業のために全力を注いで活動したが、1914年8月4日、インフルエンザにかかりその生涯を閉じたのだった。

*

<あとがき>

ダムファームリン寺院のある区域が人手に渡り、寺院が壊されることになったとき、カーネギーが財力のすべてを注いで、焼き溶かされようとした鐘を救い出した話は、大変感動的です。彼は幼い頃からの友達に恩返しをしたのでした。その後も彼は富の分配を続け、貧しい子弟のために「スコットランド大学カーネギー基金」を作り、引退した大学教授の老後を支えるために「カーネギー教育振興財団」を創設しました。また、小さな教育機関や専門学校にも力の及ぶ限り援助を続けました。

さらに自分が初めてペンシルバニア鉄道に入ったとき、多くの人から親切にされ、助けられたことを忘れず、400万ドルを投じて鉄鋼業従事者のために「鉄道恩給基金」を作って報いたのでした。「平和協会」の会長としてさまざまな形で世界平和のために尽くしましたが、1914年8月4日、インフルエンザのために惜しくもその輝かしい生涯を閉じたのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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