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鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(15)『富の福音』

2020年8月26日17時21分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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「なあ、ルウ。一つのお願いがあるのだよ」。ある時、アンドリューは愛妻に言った。「長い間鉄鋼事業に取り組んで、少しは世間のお役に立ってきたつもりだが、そろそろ私は事業を人に譲って、世界の平和と福祉のために、富の分配をしようと思うのだ」

「いつかはそれをなさると思っていました」。ルイーズは言った。「ダムファームリンの町に図書館を作ったとき、あなたはその夢を語ってくださったじゃないですか。いつかも『天に宝を積むべし』という言葉を教えてくださったでしょう?」

そして彼女は『スコティッシュ・アメリカン』という雑誌を出した。それをパラパラめくると、「神は巣を張るために糸を贈ったのである」という箇所が赤鉛筆で囲ってあった。「そう思いません? 神様が私たちにいろいろな才能や健康や力を下さったのは、それを良いことのために使いなさいということではないかしら?」「そうだよ、ルウ」。「では、今すぐにお始めになったら? 私、お手伝いしますわ」

1900年半ば。アンドリューは『富の福音』という書物を出版した。世俗的な富を積むのをやめて、もっと崇高な社会事業のために自分の富を開放する——という彼自身の宣言である。

「せっかく築いてきた財産なのに、ばかなことだ」。実業家の中にはこう言って笑う者もいた。「妻や子どもが貧乏して町をさまようことになったらどうするんだろう?」しかし、彼の考えに共鳴する者はそれ以上いた。「これこそ本当のキリスト教精神だ。カーネギー氏はその手本を見せてくれた」。「彼こそは財産の本当の使い方を知っている人だ。今までこんなことを考えた人はいなかった」。『富の福音』はベストセラーになり、欧州中の人々から注目された。

1901年。アンドリューの事業の収益は年間4千万ドルといわれた。彼は今まで築いてきたすべての事業所を一括して財界の巨匠ジュニアス・モルガン氏に5億ドルで譲り渡した。そして、いよいよ福祉事業に乗り出したのである。

最初の配分は、工場の従業員たちのために行われた。

私は引退するに当たり、余剰の富の中から400万ドルを私の成功に多大な貢献をした従業員に対し深い感謝を込めて返礼として贈る。これは事故などによって苦境に陥っている人々を救済し、老境に入って援助を求めている人々に少額の年金を出すための資産とするものである。これに加えて債券100万ドルを贈り、その利子をもって従業員のための図書館と集会所に充てる。

彼は要綱にこのように記した。これは「アンドリュー・カーネギー救済基金」と名付けられ、従業員の中から選ばれた管理委員会の手によって管理されることになった。

次に、アンドリューはかつて自分を導いてくれたマクミラン牧師に手紙を書いた。

親愛なるマクミラン先生。

今私はかねてから計画していた最後の事業に取りかかっています。まず、青年時代にお世話になったマクミラン先生にお礼をさせていただきたくお手紙をしたためました。ずいぶん牧師館を荒らしましたね。そして、われわれに食い荒らされたお菓子。1年分のお菓子代だけでもずいぶんかかったことでしょう。それだけでなく、測り知れないほどの精神的糧を頂いたことに対する感謝のしるしとして250万ドルを贈らせていただきます。それから、私を導いてくれたピッツバーグ長老教会をはじめとする周囲の教会にオルガンを贈りたいと思います。賛美の歌声は町を清め、多くの青少年を教会に導き、生活にあくせくしている町の人々に安らぎを与えると思います。

いつまでもあなたの良き友
アンドリュー・カーネギー

「覚えているだろう? ほら、いつも4、5人の友達と来ていた銀髪のあの子だよ。こんな立派な実業家になって——」。「覚えていますとも。何でも友達の一人が馬から落ちて死んだと言ってひどく悲しんでいましたわ。あの子は優しい子でしたもの」

牧師夫妻はその場にひざまずき、長いこと感謝の祈りをささげたのだった。

*

<あとがき>

1900年。アンドリュー・カーネギーは『富の福音』と題する書物を出版しました。これは愛妻のルーシーの助言もあって、実業家として成功した今、世俗的な富を積むのをやめて、社会事業のために自分の富を配分せんとする決意を述べたものでした。

これが世に出ると、実業家たちの間に大きな波紋を広げ、ある者は苦労して築いた富をそのようなことのために使うのは何と愚かなことかと彼をあざ笑うのでした。しかし、彼に共感する者はそれ以上いて、カーネギー氏こそキリスト者の鏡であると称賛するのでした。

その翌年、アンドリューは今まで築いてきたすべての事業所を経済界の巨匠であるモルガン氏に譲り、いよいよ富の配分に乗り出しました。最初の配分は、工場労働者たちの年金制度「A・カーネギー救済募金」であり、また、青年時代の導き手であるマクミラン牧師に対する感謝の思いから250万ドルの献金と、教会堂にオルガンを贈ったのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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