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鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(8)製鉄事業を始める

2020年5月20日16時32分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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鋳鉄より錬鉄のほうがいろいろな点で優れていることを研究結果で知ったアンドリューは、いよいよ製鉄事業に乗り出すことにした。トマス・ミラー、アンドリュー・クローマン、ヘンリー・フィリップス、弟のトムが一つとなって1864年「サイクロップス製鉄所」を立ち上げることになった。

そのうち彼は一つの作業にどのくらい時間がかかるかについて調べたが分からないことが多かった。そこで彼は会社の全従業員に協力を求め、一人一人の作業員が何をしているか、どこで資材を節約し、どこで無駄をしているか詳しく調べることにした。

これについて素晴らしい報告書を出した事務員がいた。ウィリアム・ボーントリンガーというドイツ人だった。彼は命令されないのに誰にも言わず夜コツコツと調べ、この報告書を作成したのである。間もなく彼は工場の主任に昇格し、その後取締役になった。

その頃、ペンシルバニアの油田が注目され始めた。そこでアンドリューは友人のウィリアム・コールマンと一緒に見に行った。油田には高いやぐらが立てられ、旗がひるがえり、それにはおかしなことが書かれてあった。

「命はめいめいが管理すること」「うまく当てれば億万長者。ドカーンといきゃ、地獄落ち」。すぐそばでは、2人の男が油田を掘るためにペダルを踏んでいたが、彼らと冗談口を叩き合ううちに友達になった。

最も当たると言われていたのはストーリー農場のあたりなので、そこを4万ドルで買い占めた。地価はどんどん値上がりして、間もなく500万ドルにもなった。さらに1864年にはオハイオ州のダック・クリークの小川の奥に油田があるらしいのでそこも買い占めた。こうした投資は次第に拡大してゆく会社の資金繰りに有利な方法となった。

会社は発展する一方だった。アンドリューは、米国の鉄道は新しいレールが欠乏していることを知り、1864年にピッツバーグにレール会社を、1866年には機関車製造所を建てたのであった。世の中は不況で、中小企業がバタバタと倒産しているというのに彼が手がける会社はトントン拍子に発展していくのだった。それというのも、彼が買う人の立場に立って本当に良いものを作ること、そして最高の仕事以外は絶対にやらない——という原則を守り通したためであった。

もう一つ。アンドリューの事業が次々と成功したのは、彼が人間関係を絶えず向上させていくことができる珍しい才能を持っていた——ということである。特に彼は部下の扱い方がずば抜けて上手で、上から命令したり、威圧的な態度で臨むことなしに彼らにやる気を起こさせ、その能力を100パーセント活用できたのである。従業員たちは一人残らずアンドリューを慕い、尊敬していた。

「事業は人です。どんな仕事であれ、その仕事は携わる人の性格を反映するものなのです。誠実に、心を込めて仕事をすれば、必ずその成果は返ってきます」。彼は心構えをこう語るのだった。

従業員たちは、アンドリューのそばにいると不思議に勇気づけられ、仕事に対する意欲をかき立てられるのだった。彼は、どんなに忙しくても仕事の合間や終わってからのわずかな間、部下とコーヒーを飲みながら話した。そして、友人のように談笑しながら、仕事に必要な知識、その心構えというものを伝えるのだった。

また彼は、自分が18歳で鉄道会社に入ったときの失敗を決して忘れていなかった。それ故、部下の失敗に対しては厳しい処置をとらないようにした。努力した結果の失敗に対しては寛大な態度で臨んだが、なまけようとしたり、やる気のない者に対しては特に厳しい態度で臨んだ。それであるから、部下たちは何でもアンドリューに相談することができ、失敗したらそのあとどういう処置をとったらいいか教えてもらうことができた。

その後、スコットランドを公用で訪れることになったアンドリューは、なつかしい人物と再会した。彼をかわいがってくれたラウォダー叔父の息子ジョージだった。少年の頃、共にダムファームリン寺院の鐘の音に耳を傾け、ラウォダー叔父が語る英雄伝を聴いて、大きくなったら立派な人になって世の中に貢献しようと誓い合った仲だった。

ジョージはグラスゴー大学で教育を受け、優れた技術者になっていた。彼はアンドリューの事業に協力してくれることになり、アンドリューの友人ウィリアム・コールマンを英国のウィガンに案内し、炭鉱から出るくず炭を洗浄し、コークスにする作業を説明してくれた。

3人は早速資本金を集めて大きな石炭会社と契約を結び、新しい事業に乗り出した。ジョージはピッツバーグに来てロバート・モリソンと共に全責任を負った。

*

<あとがき>

アンドリュー・カーネギーという人は、もともと人とコミュニケーションを上手に取ることのできる天与の才能を持っていました。この賜物は、どんな苦難に出会っても、世の荒波にもまれても失われることがありませんでした。彼は自分の会社を作った後も、同僚であれ部下であれ、一緒に働く者を同労者としてとても大切にしました。特に部下の扱いに関しては右に出る者はいないといわれています。彼は部下に対して上から命令したり、あれこれ指図をすることは一切しませんでした。

「カーネギーのコーヒーブレーク」と後々まで親しみを込めて呼ばれていた習慣がありました。彼は仕事の合間や終わってから部下たちと一緒にコーヒーを飲みながら仕事の話をしたり、相談に乗ったりする時間を持ちました。そのために作業員は一人残らずアンドリューを信頼し、皆立派な腕を持つ職人として育っていったのです。彼の事業が成功したもう一つの要因として、人間関係を大切にしたことが挙げられるでしょう。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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