Skip to main content
2025年8月20日11時06分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(9)故郷への贈り物

2020年6月3日15時31分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷

1867年。弟のトムが友人のウィリアム・コールマンの令嬢と結婚することになった。事業が拡大して本社をニューヨークに構える必要ができたため、アンドリューは「セント・ニコラス・ホテル」に移ることにした。ここで新しい知り合いができると、たちまちこのホテルは社交場となった。

ここのホテルの経営者が山の中に「ウィンザー・ホテル」を開くと、アンドリューは母親と共にここに移り、「19世紀クラブ」という社交クラブを立ち上げた。ここにさまざまな分野の人が自由に集まり、いろいろな問題を議論したり、本の朗読をしたりしてお互いに教養を高め合った。彼は仕事に忙殺されて今まであまり本を読んだことがなかったが、少ない時間をさいて文学書や哲学書なども読み、人格を円満にし、高めるよう努力した。

ニューヨークに居を構えてからの最初の仕事は、ケオックという場所からミシシッピー川に鉄橋をかけることだった。ペンシルバニア鉄道の社長エドガー・トムソン氏と手を結び、基礎から工事を全部請け負うことにした。その仕事は、あらゆる点で右に出るものがないほど立派なものであった。この事業の評判が良かったので、今後はセントルイス市からミシシッピー川に橋をかける仕事が持ち込まれた。

1869年のある日のこと。マックファーソンという人がニューヨークの事務所を訪れ、新設する事業のための資金を獲得したいのだが——と相談を持ちかけた。アンドリューは、これだけの大事業をするためには、金融の取引をしなくてはならないと考え、橋を建設する会社の抵当債権400万ドルを引き受け、金融業者と交渉するためロンドンに向かった。そして有名な銀行家ジュニアス・モルガンに近づきになっていたので、ある朝彼を訪問し、交渉することに成功した。こうしてめでたくセントルイス橋を建設する費用ができ、工事を「キーストン橋梁製作所」が請け負うことになった。

また、この頃有名な「ユニオン・パシフィック鉄道会社」が危機に陥っていたので、この会社の重役が尋ねてきて、倒産をまぬがれるにはどうしても60万ドルが必要なのだが——と訴えた。そこでアンドリューは、ペンシルバニア鉄道会社が指名する人を数人重役に加えるなら、ただちに援助に乗り出そうと約束した。

そして話がまとまり、ペンシルバニア鉄道会社のトムソン社長にわけを話した。彼は、自分は承諾しなかったが、代わりにトマス・A・スコット氏を推した。そしてスコット氏、プルマン氏、アンドリューの3人が「ユニオン・パシフィック鉄道会社」の重役となり、会社を立て直すことに成功した。

もう一つ。アンドリューはこの時期、画期的な事業に手を出した。かねがね鉄道による太平洋岸との連絡ということが強く望まれていて、大陸横断鉄道は考えているよりも早く実現できるといわれていた。アンドリューは、自分の考えをスコット氏に打ち明けてみた。すると、「いかにもきみらしい考えです」と、承諾の返事が来た。

そこで彼は、すでに寝台車というものに着眼していたプルマン氏と会い、この案を煮詰めた。そして、「ユニオン・パシフィック鉄道会社」に2人の合同案を出し、会社を設立することになった。「名前は何とします?」「プルマン寝台会社」。アンドリューは即座に答えた。

たちまち話はまとまり、新しく登場した寝台会社はシカゴで数台の寝台車を作って鉄道路線に入れる契約を取ったところ、あっという間に米国中に普及したのだった。

こうして数々の事業が成功したので、彼はかねてから考えていたように故郷のダムファームリンに贈り物をしたいと考えた。彼は、まず数カ所に公衆浴場を寄贈し、スターリングの丘にウォーレスの記念碑を建てることにした。彼は故郷の町を歩き、鐘の音に耳を傾けた。「ああ、ダムファームリン、私を育ててくれた町よ、どうかこの贈り物をお受けください」。彼は心の中で言った。

「あっ、カーネギーさんだ!」彼が町を通ると、町の人たちは手を振って出迎えた。彼もにこにこしながら町の人たちにあいさつをした。子どもたちも彼を慕って駆け寄ってきた。ウォーレスの像を建てた人のことを親たちから聞いたのだろう。

「みんな、よく勉強して、ウォーレスやブルース国王のように立派な人になるんだよ」。彼は子どもたち一人一人の頭をなでながら言った。鐘は昔と変わらず澄んだ音を響かせていた。

*

<あとがき>

ニューヨークに住居を構えてから、アンドリューはめざましい働きをします。ケオックの地点からミシシッピー川に鉄橋をかける事業を請け負ってこれを成功させ、続いてセントルイス市からミシシッピー川に鉄橋をかける事業をも成功させたのです。さらに彼は、経営危機に陥っていた「ユニオン・パシフィック鉄道会社」を立て直すことに成功して、この会社の重役になり、またプルマンという実業家と手を組んで、当時は夢のような話でしたが、大陸を横断するため、寝台車を開発。「プルマン寝台会社」を作りました。

こうして数々の事業を成功させた後、アンドリューは自分の故郷ダムファームリンに恩返しをしたいと考え、自分を育ててくれたこの町の数カ所に公衆浴場を寄贈し、スターリングの丘にウォーレスの記念碑を建てることにしたのでした。彼の思いは、自分がそうであったように、この町で育った子どもたちが、ウォーレス将軍やブルース国王から真の勇気と誠実さを学んでほしかったのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • 太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯(1)稲穂のように

  • ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

  • 戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(1)叫び求める声

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 福音派増えるベネズエラ、大統領が「マーチ・フォー・ジーザスの日」制定 全国で行進

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 世界福音同盟、新総主事にアラブ系イスラエル人弁護士を選出

  • ワールドミッションレポート(8月20日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(3)

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(240)聖書と考える「レプリカ 元妻の復讐」

  • ワールドミッションレポート(8月17日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(1)

  • ワールドミッションレポート(8月18日):オランダ ペルシャ語教会の静かなるリバイバル(2)

  • 米韓政府の政策で対北朝鮮ラジオ放送が80%減少、キリスト教迫害監視団体が懸念

  • いのちの書に名を記される幸い 万代栄嗣

  • 嫌いと無関心 菅野直基

  • 福音派増えるベネズエラ、大統領が「マーチ・フォー・ジーザスの日」制定 全国で行進

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 世界福音同盟、新総主事にアラブ系イスラエル人弁護士を選出

  • 米韓政府の政策で対北朝鮮ラジオ放送が80%減少、キリスト教迫害監視団体が懸念

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • いのちの書に名を記される幸い 万代栄嗣

  • 嫌いと無関心 菅野直基

  • シリア語の世界(30)シリア語新約聖書の和訳(1)マタイ福音書からテサロニケ人への手紙第二まで 川口一彦

  • 主は生きておられる(240)黒い雨 平林けい子

  • ドイツで神学生が大幅に減少、5年前の3分の2に

  • 根田祥一氏の敗訴確定、最高裁が上告棄却 本紙に対する名誉毀損で賠償命令

  • 新約聖書学者の田川建三氏死去、89歳 新約聖書の個人全訳を出版

  • キリスト教徒が人口の過半数を占める国・地域、この10年で減少 米ピュー研究所

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • N・T・ライト著『わたしの聖書物語』が大賞 キリスト教書店大賞2025

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(10)「苦しみ」から「苦しみ」へ 三谷和司

  • 日本キリスト教協議会、戦後80年の平和メッセージ キリスト者の戦争加担にも言及

  • 日本基督教団、戦後80年で「平和を求める祈り」 在日大韓基督教会と平和メッセージも

  • コンゴで教会襲撃、子ども含む43人死亡 徹夜の祈祷会中に

  • ドイツで神学生が大幅に減少、5年前の3分の2に

編集部のおすすめ

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.