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鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの生涯(10)鋼鉄レール会社を作る

2020年6月17日17時34分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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ピッツバーグのある地点のカーブは、そのレールを6週間か、長くても2カ月ごとに取り替えなくてはならなかった。これは大変な手間がかかってしまうので、何とかならないだろうか——と考えられていた。そんな時、たまたま英国でドッズという人がレールの頭部を炭化することによって長くもつレールを作ったことを聞いたアンドリューは、すぐに英国に渡り、「ドッズ特許」を買い、ピッツバーグで実験することにした。

会社内の敷地の中に高炉を作り、ペンシルバニア鉄道の数百トンのレールを炭素処理したところ、鉄のレールよりもはるかに硬いものを作ることに成功した。これが硬頭(こうとう)レールと呼ばれるものだった。これをカーブの所で使用し、その耐久力を試してみたところ大成功だった。

英国ではこの頃からベッセマー製鋼法というものが注目を集めるようになったので、アンドリューの友人ジョン・A・ライトが視察のために英国に赴いた。そして専門家の話をいろいろ聞き、意見をまとめて帰ってきた。すると、別の友人ウィリアム・コールマンは、ピッツバーグ市でも鋼鉄レールを作ろうと言い出した。これは今まで作られたものよりもさらに堅くて丈夫なものであるはずだった。アンドリューはこのベッセマー法を取り入れることを検討した。

1873年1月6日。ペンシルバニア鉄道会社社長のエドガー・トムソン氏、コールマン氏、それにデーヴィッド・マッカンドレス氏を加えてついに鋼鉄レール会社が出来上がったのだった(あのスコット氏は、別の事業を興すためにアンドリューたちと別れた)。

早速新しい工場をどこかに作らなくてはならない。そんなある朝。アンドリューは弟のトムの所に泊まっていたのだが、ある場所が目の前に浮かんだので弟を呼んだ。「ねえ、トム。ペンシルバニア鉄道とボルティモア・オハイオ鉄道の間にあるプラドック——あそこはどうだろう」

トムは賛成した。しかし、その土地の所有者マッキネー氏はなかなか譲りたがらなかったので、1エーカーを2千ドルという高値で買い取り、工場とした。この会社は「エドガー・トムソン鋼鉄会社」と名づけられ、各地にベッセマー法による製鉄所が建てられ、たちまち伸びていったのだった。1873年9月に米国全土は金融恐慌に襲われたが、アンドリューたちの会社は何とか危機を切り抜けることができたのだった。

ところで、アンドリューは従業員の「人間教育」をことのほか重んじ、仕事を与える前に講座を開き、じっくり勉強させることから始めていた。彼が試みた人間教育というのは「仕事が面白いと感じさせる方法」「才能の引き出し方」「個性に応じた指導の仕方」などがあった。いくら上から命令を下し、さあやれとせき立ててみても人は動くものではない。それよりも仕事に興味を持たせ、その才能を引き出しながら指導をしていったほうがはるかに人を働かせることができる——と彼は考えていたのである。

当時としては、まだ人間個人の才能を引き出すとか、個性に応じた仕事の与え方というものに着目する者はいなかったので大変珍しい考え方とされた。しかし、アンドリューは少年の頃から人との信頼関係の中で仕事を成功させ、人脈を築いてきたので、それが彼の他者に対する「人間理解」につながり、「事業は人なり」という一生を貫く信念が作られていたのである。

こんなエピソードがある。鉄工所に新しく入った一人の作業員がいたが、彼は落ち着きがなく、ものの10分と仕事に集中できなかった。彼の役目は「鉄の焼き入れ」であり、これは細かな神経と忍耐力を必要とする大切な作業だった。

彼は持ち場に就いたかと思うとそわそわし始め、鼻歌を歌いながらあちこち歩き回った。一緒に働く仲間たちは大変に迷惑をし、彼をやめさせてほしいと主任に申し出た。そこで主任はアンドリューの所に相談に来て、この青年を解雇していいかどうか伺いを立てた。聞いてみると、彼は休むこともないし、遅刻することもないという。

(分かった。彼には集中力がないだけの話なんだ。)アンドリューは膝を叩いた。そして、今しばらく彼を解雇することは見合わせ、自分に任せてほしいと言った。それから、彼が持ち場を離れてふらふら歩き出したとき、そっと後をつけてみた。すると彼は、レールの積んである場所に歩いて行く。そこには大勢の人が苦労しながら重い製品をトロッコに積んでいた。「そうやっちゃだめだ! 重いものを運ぶときは、こうするんだよ、いいかい」。彼は重い荷を運ぶ者に号令をかけ始めた。

アンドリューは翌日、彼を「運搬部」の現場監督に任命した。

*

<あとがき>

アンドリューが実業家としてその才能を惜しみなく発揮できたその原因の一つに、彼が常にアンテナを張って、仕事に役立つ情報を吸収し、絶えず学んでいたことにあります。

当時米国で使われていたレールは弱くて伸びやすく、6週間か2カ月ごとに取り替えねばならなかったので、大変な労力を要しました。そんなとき、英国で「ベッセマー製鋼法」が開発され、より堅い鉄を作ることに成功したことを知り、これを取り入れて新しいレールを製造し、事業はさらに発展したのでした。

また、アンドリューは事業に力を注ぐ傍ら、従業員の人間教育をことさら重んじ、「事業は人なり」ということを実際の行動をもって教えました。そして落ち着きがなく、仕事に集中できない者を周囲の者がもてあまし、彼を辞めさせるよう提言したときも、アンドリューはこの作業員の長所をうまく引き出し、別の部署に配属させることでトラブルを解決したのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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