日本人に寄り添う福音宣教の扉(80)地球温暖化に人類は立ち向かえるか? 広田信也

2019年10月5日18時26分 コラムニスト : 広田信也 印刷
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地球温暖化を食い止めようと、先月の23日、米国ニューヨークにおいて気候行動サミットが開かれた。その中で、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさん(16歳)が、温暖化ガス排出抑制に消極的な各国指導者に対し、激しい怒りを表して演説し、各方面からさまざまな反響があった。

彼女の訴えは、当初、小さな働きとして始まったが、サミット直前には、160カ国以上で400万人を超す若者たちが一斉デモを行うまでの広がりを見せた。彼らの熱い思いに寄り添って、この問題を考えてみたい。

なぜ、対策が難しいのか?

産業革命以降、地球温暖化に寄与する二酸化炭素の排出量は、増加の一途をたどり、止まる兆しはない。実際に大気中の二酸化炭素濃度は顕著に増加し、世界の平均気温は上昇、さらにそれに伴う異常気象が多くの地域で報告されている。

これだけ多くの人々が実感できる課題でありながら、対策が難しい理由を整理すると、以下の3つにあるように思う。

1. 本当の原因は分からない。
他の何らかの原因で地球温暖化が先に進んでも、それが引き金になって二酸化炭素、亜酸化窒素、メタン、水などの温室効果ガス濃度は増加していく。二酸化炭素濃度の増加は、原因ではなく結果なのかもしれない。

2. 顕著な二酸化炭素の排出抑制には、経済活動の縮小を伴う。
現代社会は、経済活動の拡大によって発展してきた歴史がある。この世に生きる私たちは、その恩恵を大いに受けて生活している。ところが、二酸化炭素の排出量を顕著に抑制するには、経済活動を縮小する必要がある。経済の持続的拡大を前提とする現代社会では、受け入れがたい対策を強いることになる。

3. 二酸化炭素排出に対する危機意識が少ない。
二酸化炭素排出量増加を懸念する情報は、確かに増えてきた。しかし、それらに対する危機意識が、個人レベルに浸透するまでは至っていない。依然として、社会構造や企業の問題としてしか考えられない傾向がある。

以上、1については、調査の継続は必要だが、温暖化が進んでいる以上、疑わしい二酸化炭素の存在を放置する理由にするべきではない。2、3については、下記にコメントする。

経済活動の拡大を前提とした社会構造

冒頭に述べたグレタ・トゥンベリさんは、温室効果ガス低減に取り組まない指導者たちを批判したが、実際には、多くの人たちが熱心に取り組み、努力を積み重ねてきたが、功を奏していないのである。

私の関わった自動車技術に関しても、この30年余りの燃費改善(二酸化炭素排出量低減)の成果は非常に大きなものだった。自動車1台当たりの、二酸化炭素排出量は半減している。

また、Well-to-Wheel の考え方は浸透し、燃料の製造、運搬、貯蔵などを含め、トータルで二酸化炭素の排出を抑制する働きが技術分野を超えて実施されるようになってきた。再生可能エネルギーに関しての取り組みも急速に進展している。

しかし、上記のような努力は、結果的に多くの産業を巻き込み、魅力的な商品を世界に普及させることになったため、経済活動は拡大し、二酸化炭素排出量は著しく増加してしまった。今後も、発展途上国を中心に経済の拡大は多くの人々の願いでもあり、二酸化炭素の排出抑制につながる兆しはない。経済活動を基盤とする現代社会の中で、解決の道を見いだすのは容易ではない。

危機意識を個人レベルで向上させることはできる

非常に難しい課題ではあるが、日常的に排出され、一見無害に見える二酸化炭素に対して、危機意識を個人レベルで向上させる工夫はあるように思う。経済活動を優先させたい人間の意識に楔を打つためには、このようなことから始める方が早いかもしれない。

・アイデア1 二酸化炭素に色を付ける。
かつて、ディーゼルエンジンから排出されていた真っ黒なすすは、市場から一掃された。技術的に大変難しい対策が、ここまで徹底できた理由はさまざまだが、このすすが真っ黒であり、大気を汚していることが誰の目にも分かったことが、困難な対策を進めるのに役立ったように思う。

二酸化炭素の排出量は、かつて排出していた真っ黒なすすの数千倍から数万倍もある。排出量に見合った色を付けたら、世の中がその色で染まってしまうが、ある一定の量を超える排出に対し、意図的に無害な色を付けてはどうだろう? 知恵が必要だが技術的には可能だ。

・アイデア2 排出量を個人的に認識できるようにする。
人が排出している二酸化炭素量を個人別に計算することは、それほど難しいわけではない。その際、二酸化炭素は気体なので、体積で表現した方が現実的だ。

1人が呼吸によって排出している二酸化炭素量は、1日当たり1キロ程度、体積にすると標準状態で509リットル、45リットルのゴミ袋で11・3袋程度である。人が排出する二酸化炭素量は、本来このレベルだった。

現代社会では、1人当たりの二酸化炭素排出量は、1日平均12キロ程度、体積にすると6100リットル、45リットルのゴミ袋で136袋もある。ただ、これは世界の平均値であり、日本はその2・1倍の279袋、米国は3・4倍の462袋も排出している。

ゴミステーションにゴミを捨てる人なら、自分が捨てるゴミの量を把握するだろう。毎日何百回もゴミステーションに通う必要があれば、多すぎるゴミの量にウンザリするに違いない。まずは、各個人が排出する二酸化炭素量を正しく認識し、危機意識を持てるようにしたい。

10キロほど離れたショッピングセンターに買い物に行くために車を使うと、往復で燃料を2リットルほど使うので、二酸化炭素2435リットル、45リットルのゴミ袋で54袋分を大気に排出することになる。危機意識が高まると、頻繁な買い物を避けるなど、日常生活にも変化が生まれるだろう。

・アイデア3 個人に対し、ペナルティーを付ける。
個人レベルで二酸化炭素排出量を正確に把握し、ある一定量以上の排出を行う人には、排出量に応じてペナルティーを付けてはどうだろう? 企業や一定の製品に対しては、既にこのような取り組みは始まっているが、個人に向けて行うことで、自ら排出する二酸化炭素量への関心が増し、危機意識は向上する。

個人の二酸化炭素排出量に応じて税率を上げてみてはどうだろう。反対意見が多いと思うが効果はあるだろう。

実は、貧しい者は幸いである。

貧しい者は幸いです。神の国はあなたがたのものだから。(ルカの福音書6章20節)

結局のところ、人は経済活動を縮小して貧しい生活を送りたいと思っていない。しかし、かつて神様は、御心にかなう理想的な人間としてイエス・キリストをこの世に送られた。彼は、天の位を捨て、貧しさの中に神様の栄光を現してくださり、本来あるべき人の歩みを示してくださった。

欲深い私たちが、貧しい生活を自ら選ぶことは不可能だろう。しかし、主に信頼すれば、貧しさの中に本当の幸せを知る道が開かれるに違いない。

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広田信也

広田信也(ひろた・しんや)

1956年兵庫県生まれ。80年名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。81年トヨタ自動車東富士研究所エンジン先行開発部署配属。2011年の定年退職まで、一貫してクリーンディーゼル新技術を先行開発。保有特許件数500件以上。恩賜発明賞、自動車技術会論文賞などを受賞。1985年キリスト教信仰に入信し、現在まで教会学校教師を務める。1988~98年、無認可保育所園長。2011年関西聖書学院入学。14年同卒業。ブレス・ユア・ホーム(株)設立。16年国内宣教師として按手を受ける。現在、富士クリスチャンセンター鷹岡チャペル教会員、六甲アイランド福音ルーテル教会こどもチャペル教師、須磨自由キリスト教会協力牧師。

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