Skip to main content
2025年6月16日19時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む

神学書を読む(31)『ハリウッド映画と聖書』(前編) 「映画のかたちをとった聖書」と「映画の中の聖書」の素敵な関係

2018年7月29日18時35分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:青木保憲
ハリウッド映画と聖書+
アデル・ラインハルツ著、栗原詩子訳『ハリウッド映画と聖書』(みすず書房、2018年2月)

私はよく映画評を投稿する。中には、キリスト教や聖書とはまったく関係ない作品群(「ちはやふる」シリーズ、「君の名は。」「シン・ゴジラ」など)を取り上げることもある。最近も「ジュラシック・ワールド / 炎の王国」を取り上げた。いかがであったろうか。

一部の方から次のようなお叱りを受ける。

「単なるこじつけだ!」「キリスト教の恵みを薄めている。とんでもない行為だ!」「そもそも、牧師のすべきことではない!」など・・・。コメントには、心から感謝申し上げたい。ひとえに私の筆力の無さ故のご批判と受け止め、今後も精進していきたい。

しかし本書との出会いが、私の目指していることを明確に、そしてよりアカデミックに説明するすべを与えてくれた。単なる映画と聖書のクロスオーバーを楽しむだけではなく、礼拝の大切な部分を担う「説教」の本質と奥深さを図らずも教授してくれた。

神学者や牧師はもちろんのこと、そこまで神学に精通していない「映画好き」な方が読んでも十分面白い1冊だといえよう。本書はハードカバー400ページを超える大作だが、全体の読みやすさという点では新書と変わらない。また、取り上げられている映画を観たことがあるなら、その辺りはより関心を持って読み進めていくことができる。値段は税別4800円と少し割高だが、得るものがそれ以上であることは保証できる。

著者のアデル・ラインハルツ氏はユダヤ教徒であり、1990年代にヘブライ的知見からヨハネによる福音書を解釈し、一躍有名になった女性の新約聖書学者である。旧新両約を「聖書」と捉える視点を持っていることが、聖書と映画との関連をひもとくのに大いに役立っている。

彼女は映画と聖書(およびキリスト教)の関係を大きく2つに大別している。それは「映画のかたちをとった聖書(Bible on film)」と「映画の中の聖書(Bible in film)」である。

前者は、聖書の物語を古代の時代背景の下に語り直すことが明確に定められた映画群のことを指す。有名なところでは「十戒」「キング・オブ・キングス」、最近では「パッション」などがこれに該当する。聖書の物語を「(当時の見地における)そのまま」映像化することが目的とされている。

加えて、聖書物語からすれば傍流だが、むしろ物語の自由度を高め、感動を呼び起こすという意味では「ベン・ハー」や「聖衣」「バラバ」などの古代活劇映画もこちらに含めてよいだろう、と著者は主張する。

訴えたいポイントは「聖書をビジュアライズ(視覚化)すること」である。聖書をよりリアリティーのある形で提示するという意味では、牧師の説教と同列に置くことも可能であり、視聴覚的に追体験できるという意味では、その進化形ともいえる。事実、現在のキリスト教会ではプロジェクターや大型モニターを説教に用いることは当たり前になったし、時には写真や動画を用いる説教者も存在する。説教壇から語られるものだけが説教だと受け止めてしまうと賛否あるだろう。しかし「ビジュアライズ」という点では、「映画のかたちをとった聖書」を各教会で生み出すことが可能になったといえるだろう。

一方後者は、フィクション映画が聖書物語の枠組みで語られていたり、聖書人物をほうふつとさせる主要人物が登場したり、聖書からの明らかな引用・隠喩が物語のカギを握る展開となる作品群である。具体的に本書で取り上げられているのは、「グラン・トリノ」「アバター」「ショーシャンクの空に」「ディープ・インパクト」「フットルース」「3時10分、決断のとき」など、幅広いジャンルに渡る。

聖書をストレートに扱わないため、作品の一部に「聖書的な香り」が漂っている程度になるが、映画のメッセージや主題に奥行きと共感を与える効果は確かにある。聖書およびキリスト教を連想させることで、どうしてこのような効果が得られるのか、については終章で開示される。この点に関しては次回取り上げてみたい。

ハリウッド映画が聖書をモチーフにする最大のポイントは、それが米国民にとって最大の「共通基盤」となり得るからである。つまり教派や教理のこだわりを横に置くなら、米国は全体の4分の3近くが「キリスト教徒」である。そのため、「聖書で描かれる物語=米国(私たち)の物語」という図式を容易に受け入れ得る者たちが、主な観客となっている。

しかし単に売れんがための措置ではない。製作者側もこの基盤を持った者たちが多く存在するため、「こうであってほしい」というエンディング(落としどころ)を無意識のうちに見いだしていることにもなる。製作者と観客が暗黙の了解で循環できることこそ、ハリウッド映画の特色の一つといえるかもしれない。

また、一見聖書とはまったく関係ないようなSFアクション、サスペンス、ホラーであっても、その根底に共通基盤たる聖書的世界観がアプリオリに備えられているなら、そのエッセンスを観客に知覚させる種(ジグソーパズルのピースのようなもの)がそこかしこにちりばめられているともいえよう。

「映画のかたちをとった聖書」と「映画の中の聖書」という区分けは、結果的に「ハリウッド映画」という一ジャンルの特質を浮かび上がらせる最適な方法となる。著者は本書の中で、このことを実際の映画を取り上げながら全9章にわたって解説している。

観たことのある映画の場合は、「なるほど」と膝を打ちたくなるし、観ていない作品であれば、早速ネット視聴かDVDレンタルに走りたくなる。

映画と聖書の連関は、さらに大きな物語論へと発展していく。次回はその辺りを終章から紹介してみたい。(続く)

■ アデル・ラインハルツ著、栗原詩子訳『ハリウッド映画と聖書』(みすず書房、2018年2月)

<<前回へ     後編へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:青木保憲
  • ツイート

関連記事

  • アメリカ映画を貫くキリスト教界の光と影 木谷佳楠著『アメリカ映画とキリスト教』

  • 映画「沈黙」はクリスチャンにとってどんな意味を持つのか

  • ワーナー映画と共に46年半 元製作室長の小川政弘さんが著書『字幕に愛を込めて』出版

  • 教会主催の映画会にこんなのはいかが?(1)「優等生」映画からの脱却を 青木保憲

  • 神学書を読む(30)仲正昌樹著『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.