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神学書を読む

神学書を読む(31)『ハリウッド映画と聖書』(後編) 「超越の契機」を共有するために

2018年8月1日22時56分 執筆者 : 青木保憲
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著者のアデル・ラインハルツ氏は、聖書的な映画を「映画のかたちをとった聖書(Bible on film)」と「映画の中の聖書(Bible in film)」に二分し、それぞれについて4〜5章かけて詳述している。その筆致は決して小難しいものではなく、むしろ映画や聖書になじみのある者たちにとっては「もっと次を読んでみたい」と思わせるものがある。

一方、終章「映画と超越」では抽象性が高められ、解説が一気に熱を帯びる。本書のまとめであると同時に、映画、聖書、物語という各ジャンルの連関を描き出そうとしているため、異なる種類の熱量(著者のこだわり)を感じる。ここに本書のメッセージが凝縮している。そして、単なる映画好きの方々だけでなく、キリスト者、ひいては米国に少なからず影響を受けている現代人へ向けて、励ましのメッセージがつづられていることに気付かされる。

少し長くなるが、著者の言葉を引用してみたい。

これら古代の文書(聖書)は、超越の契機や永遠の命の可能性、現世を超える人生といった、神的なものとの交流を描いている。ある人々にとって、典礼や式文や聖書そのものがこうした体験を媒介する。別の人々にとって、超越の契機――私たちを力強く変身させるような方法で日常的な経験の領域の外へと連れだす契機――は、私たちの宗教的な確信や習慣と密接には結びついておらず、幸せや愛や同情や謙虚さ、つまり宇宙、宇宙体系、狭い意味での「物事の成り立ち」の中に漠然と不完全な形で体験される。そうした契機は、ただ単に「起こる」こともあるし、美術・音楽・文学、そして映画によっても媒介されることがある。(353ページ)

ラインハルツ氏は、キリスト教が人々に与え続けた影響力を端的に「超越の契機」と表現している。これを引き起こす「ツール」として、古代の文書(神の言葉が記された「聖書」という名の書物)、典礼、式文など、キリスト教圏では伝統的に用いられてきたものをまず挙げる。

ここで彼女は「聖書=神の言葉」と短絡的に結び付けていない。私たちは、手にしている「聖書(という名の書物)」が、ちまたにあふれる書籍の中の1冊であることを否定できない。しかし「神の言葉」を聖書の中から導き出すことは可能である。その証拠として「超越の契機」を得るからである。

しかし、これがすべての人に適用されるわけではない。時代や文化が異なる多様な人々が「神の言葉」を自覚し、聖書をはじめとする伝統的なツール(典礼、式文)からのみ「超越の契機」を得られるわけではない。だから「幸せや愛や同情や謙虚さ」といわれるような人間の感情に影響を与えやすい媒介物(美術・音楽・文学、そして映画)を通して、「超越の契機」、すなわち「神と人格的に触れ合う体験」を得させようとする営みが生み出される。

さらにラインハルツ氏はこうも語る。

とりわけ映画は、人が物語に夢中になることを活用する。私たちは先天的にも後天的にも、自分自身のものではないにせよ、自分が追体験できるような物語に容易に惹(ひ)きつけられる。(357ページ)

ここに、なぜ「聖書と映画」「キリスト教と映画」が関連付けられるかに対する「一つの解」が示されている。それは以下のようにまとめられよう。

●「神の言葉」→「聖書」→「映画(追体験できる物語)」→「超越の契機(神との出会い)」

従来は「聖書」の次に、聖書と最も親和性の高い「説教」が充てられていた。

●「神の言葉」→「聖書」→「説教(追体験できる物語)」→「超越の契機(神との出会い)」

しかし時代を経る中で米国社会は多様化し、キリスト教徒のみで国家を形成することはあり得なくなる。すると「説教」の位置にこれと同等の働きを担うべく「美術・音楽・文学、そして映画」の重要性が増しつつあると捉えることはできないだろうか。キリスト教の伝播(でんぱ)も単線でなく複線的になってきたということである。このように捉えるなら、「聖書・映画・説教・神の言葉」は各々が共鳴し合う中で、時代や文化を越えて「超越の契機」をあらゆる人々に提供することができる。

そういった意味で、映画という媒介物は神と人間(観客)とをつなぐ「聖書」的な働きを果たすことになる。そして「映画評論・解説」とは、関連性が見えない映画と人々との間を有機的につなぐ働きである。これを牧師が担うことの意味は大きい。

一方、日本映画がハリウッドからの影響を受けていないとはいえない。美術・音楽・文学においても、西洋文化からの影響抜きには語れない。そうであるなら、日本産の映画の中にも「超越の契機」となり得る諸要素が織り込まれていると考えることも可能ではないか。私はそう考え、今までさまざまなジャンルの映画を取り上げてきたのである。

私に勇気と希望を与えてくれた本書。骨のある大作だが、映画とキリスト教に興味関心以上の「何か」をつかみ取っていた私にとって、まさに本書が「超越の契機」となったことを申し添えておきたい。

■ アデル・ラインハルツ著、栗原詩子訳『ハリウッド映画と聖書』(みすず書房、2018年2月)

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◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会研修牧師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

関連タグ:青木保憲アメリカ
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