Skip to main content
2025年7月3日23時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む

神学書を読む(31)『ハリウッド映画と聖書』(後編) 「超越の契機」を共有するために

2018年8月1日22時56分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:青木保憲アメリカ

著者のアデル・ラインハルツ氏は、聖書的な映画を「映画のかたちをとった聖書(Bible on film)」と「映画の中の聖書(Bible in film)」に二分し、それぞれについて4〜5章かけて詳述している。その筆致は決して小難しいものではなく、むしろ映画や聖書になじみのある者たちにとっては「もっと次を読んでみたい」と思わせるものがある。

一方、終章「映画と超越」では抽象性が高められ、解説が一気に熱を帯びる。本書のまとめであると同時に、映画、聖書、物語という各ジャンルの連関を描き出そうとしているため、異なる種類の熱量(著者のこだわり)を感じる。ここに本書のメッセージが凝縮している。そして、単なる映画好きの方々だけでなく、キリスト者、ひいては米国に少なからず影響を受けている現代人へ向けて、励ましのメッセージがつづられていることに気付かされる。

少し長くなるが、著者の言葉を引用してみたい。

これら古代の文書(聖書)は、超越の契機や永遠の命の可能性、現世を超える人生といった、神的なものとの交流を描いている。ある人々にとって、典礼や式文や聖書そのものがこうした体験を媒介する。別の人々にとって、超越の契機――私たちを力強く変身させるような方法で日常的な経験の領域の外へと連れだす契機――は、私たちの宗教的な確信や習慣と密接には結びついておらず、幸せや愛や同情や謙虚さ、つまり宇宙、宇宙体系、狭い意味での「物事の成り立ち」の中に漠然と不完全な形で体験される。そうした契機は、ただ単に「起こる」こともあるし、美術・音楽・文学、そして映画によっても媒介されることがある。(353ページ)

ラインハルツ氏は、キリスト教が人々に与え続けた影響力を端的に「超越の契機」と表現している。これを引き起こす「ツール」として、古代の文書(神の言葉が記された「聖書」という名の書物)、典礼、式文など、キリスト教圏では伝統的に用いられてきたものをまず挙げる。

ここで彼女は「聖書=神の言葉」と短絡的に結び付けていない。私たちは、手にしている「聖書(という名の書物)」が、ちまたにあふれる書籍の中の1冊であることを否定できない。しかし「神の言葉」を聖書の中から導き出すことは可能である。その証拠として「超越の契機」を得るからである。

しかし、これがすべての人に適用されるわけではない。時代や文化が異なる多様な人々が「神の言葉」を自覚し、聖書をはじめとする伝統的なツール(典礼、式文)からのみ「超越の契機」を得られるわけではない。だから「幸せや愛や同情や謙虚さ」といわれるような人間の感情に影響を与えやすい媒介物(美術・音楽・文学、そして映画)を通して、「超越の契機」、すなわち「神と人格的に触れ合う体験」を得させようとする営みが生み出される。

さらにラインハルツ氏はこうも語る。

とりわけ映画は、人が物語に夢中になることを活用する。私たちは先天的にも後天的にも、自分自身のものではないにせよ、自分が追体験できるような物語に容易に惹(ひ)きつけられる。(357ページ)

ここに、なぜ「聖書と映画」「キリスト教と映画」が関連付けられるかに対する「一つの解」が示されている。それは以下のようにまとめられよう。

●「神の言葉」→「聖書」→「映画(追体験できる物語)」→「超越の契機(神との出会い)」

従来は「聖書」の次に、聖書と最も親和性の高い「説教」が充てられていた。

●「神の言葉」→「聖書」→「説教(追体験できる物語)」→「超越の契機(神との出会い)」

しかし時代を経る中で米国社会は多様化し、キリスト教徒のみで国家を形成することはあり得なくなる。すると「説教」の位置にこれと同等の働きを担うべく「美術・音楽・文学、そして映画」の重要性が増しつつあると捉えることはできないだろうか。キリスト教の伝播(でんぱ)も単線でなく複線的になってきたということである。このように捉えるなら、「聖書・映画・説教・神の言葉」は各々が共鳴し合う中で、時代や文化を越えて「超越の契機」をあらゆる人々に提供することができる。

そういった意味で、映画という媒介物は神と人間(観客)とをつなぐ「聖書」的な働きを果たすことになる。そして「映画評論・解説」とは、関連性が見えない映画と人々との間を有機的につなぐ働きである。これを牧師が担うことの意味は大きい。

一方、日本映画がハリウッドからの影響を受けていないとはいえない。美術・音楽・文学においても、西洋文化からの影響抜きには語れない。そうであるなら、日本産の映画の中にも「超越の契機」となり得る諸要素が織り込まれていると考えることも可能ではないか。私はそう考え、今までさまざまなジャンルの映画を取り上げてきたのである。

私に勇気と希望を与えてくれた本書。骨のある大作だが、映画とキリスト教に興味関心以上の「何か」をつかみ取っていた私にとって、まさに本書が「超越の契機」となったことを申し添えておきたい。

■ アデル・ラインハルツ著、栗原詩子訳『ハリウッド映画と聖書』(みすず書房、2018年2月)

<<前編へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:青木保憲アメリカ
  • ツイート

関連記事

  • 神学書を読む(31)『ハリウッド映画と聖書』(前編) 「映画のかたちをとった聖書」と「映画の中の聖書」の素敵な関係

  • 神学書を読む(30)仲正昌樹著『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』

  • 神学書を読む(29)宮崎賢太郎著『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』

  • 神学書を読む(28)聖書正典化の歴史がこの1冊でよく分かる! 『聖書の成り立ちを語る都市』

  • 神学書を読む(27)土井健司監修『1冊でわかるキリスト教史 古代から現代まで』

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 同志社女子大学とノートルダム女学院高校、教育連携協定を締結

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • ワールドミッションレポート(7月3日):コンゴ民主共和国 戦火の中、詩篇91篇にすがるキリスト者たち

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア語の世界(27)シリア語旧約聖書の各書名と1章1節の和訳 川口一彦

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(7)人は「単独者」である 三谷和司

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 同志社女子大学とノートルダム女学院高校、教育連携協定を締結

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.