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大ヒット「君の名は。」から分かるキリスト教的世界観

2016年9月20日23時39分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:青木保憲
大ヒット「君の名は。」から分かるキリスト教的世界観+
©2016「君の名は。」製作委員会

「君の名は。」が大ヒットしている。8月下旬の公開という「ぎりぎり夏休み映画」にもかかわらず、本命と言われていたハリウッド大作やメイドインジャパン怪獣映画を押しのけ、どんどんと興行収益を上げている。

公開からわずか10日間で38億円を稼ぎ、原作小説は72万部を突破。劇中音楽と主題歌を担当したRADWIMPSの映画サントラもヒットチャートを賑わしている。これほどまでに日本人の心をつかむ「君の名は。」とは何なのか? キリスト教牧師の視点からこのブームを検証し、映画を評してみたい。

まず何といっても、監督の新海誠の絵がきれいであることが万人受けする魅力だ。実写かCGか?と思わせる緻密な絵は、スタジオジブリとは異なるアニメーションの魅力を存分に発揮している。そして音楽。主題歌というと普通は1曲だが、この映画には4曲の主題歌があり、それがとても効果的に使われている。スピード感あふれるイントロに乗った演出に、こちらのテンションも上がっていく。

それ以上に人々の心をつかんだのはストーリーであろう。大林宣彦の『転校生』と、1952年の『君の名は』(こちらが元祖)が見事にミックスされ、震災後の日本人の心情をからめることで思いもよらぬ相乗効果を生み出している。後半の急な展開にはみんなびっくりさせられるだろうし、都会と田舎の生活の対比や高校生男子と女子の日常の相違など、見る者をひきつけて離さない魅力に溢れている。

これほどの大ヒットとなった一要因として、昨今の少女マンガ映画化ブームは外せないと思われる(これについては稿を改めて述べたいと思う)。ポスターといい予告編といい、明らかに一連の少女マンガ映画を意識している。

では、中身についてキリスト教牧師の立場から幾つか挙げてみたい。第一に、やはり男女のすれ違うドラマというのは、それだけでもどかしく、甘酸っぱく、そしてエキサイティングなのだなと思わされたこと。

かつてとあるキリスト教団体主催の中高生キャンプに参加したことがある。そのキャンプの講師が、中高生にこんな質問をしていた。「みんな思春期になると、異性のことが気になるでしょう。そこで質問ですが、イエス様も恋をしたんでしょうか?」

さて。皆さんだったらこの質問にどう答えるだろうか?

この映画がヒットしたことで示されること、それは男女の恋愛がいつの時代にも増して若い世代の心を捉えているということである。加えて、その恋愛がほとんどキスどまりで(ちなみに『君の名は。』では手を握る程度)、極端にプラトニックだということも見過ごせない。

現実の恋愛事情が大人と変わらない体たらくだから、フィクションの中に理想を求めるのか、それとも単に奥手で疑似恋愛ごっこが精いっぱいなのか・・・。いずれにせよ、この現実離れした「プラトニック・ラブ」を求める若者が多くなっていることを、キリスト教界は知っておくべきであろう。

第二に、ストーリーの要所で、観客に想像させる演出をしているな、ということ。見終わって一番気になったのは、この主人公たちには、お互いに惹(ひ)かれる直接的な描写がほとんどないことである。そもそも2人は劇中一度も顔を合わせていない。しかし2人はいつしか相手を恋愛対象として求め始めることになる・・・。このぽっかり空いた空間をおのおのの想像で埋めてください、という作りになっているように感じた。

大ヒット「君の名は。」から分かるキリスト教的世界観
©2016「君の名は。」製作委員会

「一度も会ったことがない相手を好きになる」という現代的な問いと「ケノーシス」(!?)

この映画には、「一度も会ったことがない相手を好きになれるのだろうか?」という現代的な問いが提示されている。SNSが一般的になり、「世界のだれとでもつながれる」と同時に「誰かも分からずにつながってしまう」時代に生きている私たちは、本当に相手を理解し、好きになるとはどういうことなのかをあらためて考える必要がある。

ここに(多少、我田引水的だが)神学的な想像(創造?)を挿入させ、物語に補助線を引いてみたい。「キリストのケノーシス(自己無化)」という考え方に当てはめて物語を理解するなら、とても納得のいく展開となる。ケノーシスとは、ピリピ書2章6、7節の言葉から導き出された神学的概念である。

 「キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました」(ピリピ2:6、7)

これは、キリストが神の特権を捨てた(=人として生きることを選択した)ことを意味している。つまり、キリストは「全き人」としてこの地上で生活することを決めたのである。自らの本当の姿ではないものを「本当」として生きたということである。

劇中、2人は心が入れ替わる。最初はとまどっていたが、次第に相手の生活を理解し、相手の願っていることを実現してやろうと心を動かしていく。三葉は、頼まれてもいないのにタキがあこがれる先輩とデートの約束を取り付けるし、タキは、三葉のお父さんのことでクラスメートが悪口を言っているのを聞き、激怒し相手をやっつける。ここに共通するのは、本来の姿ではない姿でお互いの人生を生きる、ということである。

これを現代のケノーシスだ、と言い切ることには語弊があるが、自分ではなく相手のために生きようと願う気持ちは、キリストが人間として生きようと決心した思いと通じるところがあるのではないか?

聖書では、キリストが十字架で命を捨てるほどに人々を愛した、と書いてある。それはケノーシスによって明らかになる「キリストの愛」である。ではこの愛はどこから始まっているのか? それは、キリストが「人として」生き始めたときからである。神である方が別の存在として生きたとき、愛が明らかになったのである。この図式は、そのまま映画の2人にも当てはまる。

本来の自分とは異なる相手の人生を生きる。これ以上に相手を知り、理解し、共感できる体験はない。タキは、三葉がどんな子で何に悩み、どんなことに興味を持っているか、身を持って知ることで、彼女に惹かれていった。このことは三葉のタキに対する関わりにも言える。

そうなると、先ほどの抜け落ちた空間を埋めることができる。どうしてお互いに惹かれあったのか? きっかけは何か? それは、自分を無にして相手の人生を生きたからである。

こう考えると、聖書が語る「キリストが人となられた」という言葉は、とんでもない衝撃を私たちに与えることになる。ウルトラマンや仮面ライダーのように、単に変身したのではない。そのものとなって生き、動き、考え、呻く人生を33年間送ったということだから。そんなイエスの「愛」は、いかに大きなものであったろうことを推し量ることができる。

そういった意味で、「一度も会ったことない相手を好きになれるか」という問いは、このような「キリストのケノーシス論」を前提にするなら、「それもあり」と自信を持って言い切ることができる。

そして、さきほどの中高生キャンプの問いにも答えが出せるだろう。

イエス様は恋をしたのか? 全き人となったのであれば、当然「恋する人間のもどかしさ、苛立ち、焦り、落ち込み」を理解することはできたはずである。

この映画がヒットしているということは、キリスト教界が考えるべきことがあると同時に、神学的フィルターを通して鑑賞することで、キリスト教的面白さをつかみ取ることができる。それほど滋味豊かな気付きを与えてくれる「君の名は。」。ぜひ教会でユースのみんなで鑑賞し、感想を語り合ってはいかがだろうか? 今、必見の一本です!

■ 映画「君の名は。」予告編

■ 映画「君の名は。」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会研修牧師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

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