戦争が始まって久しいウクライナの戦火の最前線で、教会は、武器ではなく神の愛による希望を届けている。
砲撃音と破壊と恐怖が交錯する厳しい現実、それが、今日のウクライナだ。2022年2月のロシアによる侵攻以来、この国は霊的にも肉体的にも深い痛みに耐えている。がれきと化した家々、引き裂かれた家族、戦場で命を落とした兵士たちの遺族。いつ終わるのか分からないこの戦争で、誰もが疲れ果てている。
ダビド・カルチャ氏は、そのように疲弊し切ったウクライナの大地に立つキリスト伝道者だ。5月29日にベルリンで開催された欧州伝道会議で、彼は欧州中の教会指導者たちに向けて力強く語った。「平和な時、福音は力強い。しかし、戦争の時はどうでしょう。誰も福音を止めることはできないのです」
現に、この言葉通りのことが戦火のウクライナで起きている。今ウクライナで、多くの人々がキリストのもとへ導かれているというのだ。カルチャ氏は、ウクライナの福音派教会からのあいさつを会議の参加者たちに力強く届けた。それは建物の教会ではなく「縛られることも、煙でくすぶることもない」生きた教会からのあいさつだった。
ロシアの侵攻後、ウクライナの福音派信者たちは重大な選択を迫られた。戦禍を恐れ、雲散霧散に逃げるのか、それとも留まり、同胞の苦しみを共に背負うのか。「計画があったからではなく、準備ができていたからでもなく、信仰によってなされる最も小さな行為でさえ、不思議な神の方法で、偉大な何かの一部になることを見たからです」とカルチャ氏は語る。
希望、それは人間存在の一部として探し求められる「何かより偉大なもの、本質的なもの」だ。ウクライナの教会にとってのその希望とは、生けるイエス・キリストの光の中で歩む、共同体としての小さな一歩を踏み出すことを意味した。そうすることで、「それは戦争でも止められない運動となるのです」。
カルチャ氏は、ウクライナのキリスト者に関するニュースでよく取り上げられる宗教的迫害について、記録を正したいと述べた。彼が強調したのは、ウクライナの福音主義における本当の主要ニュースは、大勢の人々がキリストに立ち返っているという事実だ。例えば、2023年だけでも、バプテスト教会では数千人が洗礼を受け、その信仰を公に告白したという。
教会は、国内の霊的飢え渇きに目覚め、肉体的な必要だけでなく、魂の必要に仕える挑戦に立ち上がったのだ。(続く)
■ ウクライナの宗教人口
正教 61・2%
プロテスタント 5・8%
カトリック 10・1%
無神論 19・5%
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