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ワールドミッションレポート

ワールドミッションレポート(12月6日):ウクライナ 砲火のとどろく中で、福音は止まらない(2)

2025年12月6日13時38分 執筆者 : 石野博
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関連タグ:ウクライナ

ウクライナでは、2022年2月のロシアの侵攻以来、福音派信者の多くが逃げることなく祖国に留まり、同胞の苦しみを共に背負う選択をした。その結果、2023年だけで数千人がバプテスト教会で洗礼を受けた。教会は物質的な必要とともに、平和な日常を奪われた人々のために、彼らの霊的な必要に応えるという挑戦に立ち上がった。(第1回から読む)

「過去3年間で、数十万の人々がウクライナの教会を通して、神の愛とケアに出会いました」。そう語るのは、欧州伝道会議で講演したウクライナの伝道者カルチャ氏だ。「その多くが、人生で初めてのことでした」と彼は付け加えた。

彼はある物語を語った。教会について何も知らなかった一人のウクライナ人女性が、難民としてドイツへ逃れた。彼女は避難場所として教会を頼った。食べ物と心身のケアを受け、教会の人々は彼女に愛を示し、イエスについて語った。やがて女性は、イエス・キリストに心をささげたのだ。

カルチャ氏は、戦争の続くこの数年間、ウクライナ人への愛に満ちた支援をしてくれた欧州中の教会に感謝を述べた。「キリストの体は一つの国や一つの国境に閉じ込められることはなく、彼の民がいる場所では常に生きて活動しているのです。困難に直面した多くのウクライナ人のために、皆さんが主の手となり心となってくださったことを、心から感謝いたします」

「神は私たちに、聞くこと、そして神が既に働いておられる場所を見ることを促しておられます」と彼は続けた。「ウクライナの教会は最前線にいます。塹壕(ざんごう)や戦場で従軍牧師として仕え、病院で、戦火と絶望の場所にいる兵士たちに、祈りとキリストにある希望を指し示しています」

「私たちは戦死した兵士の未亡人たちのために、そして母親が二度と帰ってこない孤児たちのために、彼らの服を握りしめ、その悲しみを共にしています。全てを失った人々、がれきと化した家、引き裂かれた家族、言葉にできない暴力と拷問によって傷ついた人々、私たちはこれらの人々に仕えているのです」

「これら全ての働きは、まず積極的に耳を傾けることから始まる」とカルチャ氏は語った。「私たちはまず聞きます。そして祈ります。助けます。どのように助けることができるのか、何ができるかを見て、私たちはイエスを語るのです」

ヴィクトルという名の50代半ばの男が、戦闘が激化していたとき、他の多くの人々のように難民としてカルチャ氏の教会に来た。彼は静かな人で、ひどく傷ついており、何か一生涯の重荷を背負っているようだった。

ある日、彼はカルチャ氏に話をしたいと言ってきた。彼は、幼少期から神について知っていたが、何十年もの間、神に背を向け続け、結果的に周囲の人々に痛みを与えてきたことを打ち明けた。しかし、今はキリストに人生を明け渡す準備ができているとカルチャ氏に伝えた。

「彼は泣き出し、激しい認罪のために慟哭(どうこく)しました。そして彼は、十字架の福音にすがったのです。そう、彼は私たちの目の前で、新しく生まれました」。神は今も働き、耳を傾け、贖(あがな)い、ご自身の子どもたちを家に連れ帰っておられると、カルチャ氏は付け加えた。

戦火の中で、魂の収穫が起きている。最も暗い場所で、福音の希望は鮮烈に光を放つのだ。(続く)

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■ ウクライナの宗教人口
正教 61・2%
プロテスタント 5・8%
カトリック 10・1%
無神論 19・5%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。

※ この記事は、石野博牧師の「ワールドミッションレポート」を、若干の編集を加えた上で転載したものです。
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