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戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯

戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(最終回)愛の遺産

2018年3月21日20時00分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:フランシスコ・ザビエル

1552年2月。船はゴアに到着した。マテオとベルナルドは聖パウロ学院でキリスト教教理を学び、マテオはセミナリオ(神学校)の教師となり、ベルナルドはコインブラでさらに高い教育を受けるために出発した。ジョアンはマラッカに行き、貧しい人々を助けるために医学を学び巡回伝道にも従事した。ザヴィエルのもとにはアントニオしかいなくなってしまったが、彼は健康を害していたザヴィエルのそばを片時も離れなかった。

そんなある日。ザヴィエルは祈っているうちに、心から愛するあの日本にキリシタン弾圧の嵐が到来して、教会と信徒を引き裂いてしまう幻を見た。(日本のキリシタンを救うには、中国大陸に渡り、そこで指導者を育てて日本に送るほかに方法がない。日本は中国の影響を受けている国なので、日本の政治的指導者の考えを変えさせる力があるだろう)。そう考えたザヴィエルは、アントニオと共に中国に向けて出航した。

8月下旬。2人の乗った船サンタ・クロス号は上川島(サンチョア)という小さな島に着いた。ここは、ポルトガル人と中国人が貿易をする所のようだった。彼らは海辺に小さな小屋を借り、そこで寝起きしながら少しずつ中国語を勉強し、また島を歩いて回りつつ中国人と交流をするようになった。

アントニオは、貿易商人の間を巡り歩き、ちょっとした労働をさせてもらって日銭を稼いだ。11月になる頃、1人の中国人がやってきて、胡椒200クルザドス分けてくれたら小舟を手配してやってもいいと言った。2人は大喜びで、胡椒はないがそれに相当する料金としてありったけの金をかき集めて男に渡したのだった。しかし、その男はそれっきり姿を消してしまい、二度と戻ってくることはなかった。アントニオはだまされたと気が付いたが、ザヴィエルはきっと彼は約束を守って船に乗って帰ってくると信じて、毎日小屋の窓から眺めていた。

こうしてまた日が過ぎていった。12月に入る頃、ザヴィエルの健康は急に悪化し、高熱のために意識不明となり、呼吸困難に陥った。「誰か医者を知らないか!」。小屋を走り出たアントニオは、助けを求めて近くの農家に駆け込んだ。しかし、そこに住む中国人たちは、この島には医者などおらず、熱病につける薬などない――と冷たく突き放すのだった。

泣きながら小屋に戻ったアントニオを、ザヴィエルは苦しい息の下から優しく慰め、天国での再会を語ってから、予言するように言うのであった。「日本の教会は、キリシタンの手で支えられて成長していくでしょう。まるで若木が育つように。しかし、福音の種がこの国に土着する前に大きな試練がやってきます。でも、彼らは殉教者の屍を乗り越え、教会を守り抜き、やがて福音の種は芽吹き、大木となって葉を茂らせます。これは・・・神様の約束ですから、間違いありません」

その翌日、ザヴィエルはアントニオに見守られて天国へと旅立っていったのであった。

*

ザヴィエルの遺体はマラッカに送られ、多くの人々が嘆き悲しむ中、丘の上の教会で葬儀が行われた。マラッカのみならず、ゴアからもコチンからも、コモリン岬やモルッカ諸島からも、知らせを聞いた人々が駆けつけてきた。そのうち、イエズス会士たちが到着し、その後からポルトガル人、インド人、中国人、コモリン岬の真珠採りや、パラヴェル人の労働者などが続き、幼い子どもたちまでが別れを惜しんで泣き叫んだという。

アントニオが棺に付き従う中、司式はザヴィエルに対して深い理解のあるゴアの司教ジョアン・ダルブケルナの手によって厳かに行われた。「彼はすべてを愛しました。どんな民族も、人種も、異なる文化や風習の中にある人も、本当の兄弟のように愛したのです。その中でも、特に偏愛と言ったほうがふさわしいほどに、すべてをささげ尽くし、生命まで投げ出して愛したのは、あの小さな島国である日本でありました」。ダルブケルナ司教は、最後にこう言った。

*

<あとがき>

帰国したザヴィエルは、日本のために祈り続けていました。そんなある日、彼は愛する日本の国がキリシタン弾圧の炎の中に呑(の)み込まれる幻を見て、再び伝道の旅に出たのです。彼は、日本が文化的にも宗教的にも中国の影響を受けていることを思い、まず中国大陸に渡ってここを教化し、指導者を育て、彼らを日本に送れば、日本はキリスト教国になるだろうと考えました。

アントニオ1人に付き添われ、ザヴィエルは中国に向かって出航します。しかしながら、上川島という小さな島で熱病にかかり、アントニオの必死の介護もむなしく、天に召されたのでした。一見ザヴィエルの日本伝道は実りがないように思われがちですが、実は彼のまいた種は、彼が去った後に芽を出し、花を咲かせ、しっかりと根を大地に下ろしたのです。

その後、キリシタンの迫害が起きたときに、殉教者の数は記録し切れないほどに上り、ザヴィエルの日本伝道の初穂となったのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:フランシスコ・ザビエル
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