Skip to main content
2025年5月18日14時40分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯

戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(12)いつまでも続く希望

2018年3月8日18時18分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:フランシスコ・ザビエル

一行が豊後に着いたのは、10月初旬のことであった。日出の港には、ポルトガル船が停泊しており、ポルトガル商人メンデス・ピントーと船長ドアルテ・デ・ガマはザヴィエルと抱き合って再会を喜んだ。

一行が何よりうれしく思ったのは、そこにパウロ・ヤジロウの無事な姿を見たことだった。アントニオが釈放されてすぐ自由の身になったのだという。

そこへ、いかめしい顔つきの役人が来て、豊後の城主大友義鎮がザヴィエルに会いたいそうなので、小舟で府内まで行くようにと告げた。そこで、ザヴィエル、パウロ、ジョアン、ベルナルド、マテオが船に乗り込むと、メンデス・ピントーと20人ほどのポルトガル船の乗組員たちが付き添った。

府内に着くと、大砲が打ち上げられ、主だった人々が大友義鎮の館(やかた)まで案内した。「お待ち申し上げておりました」。間もなく義鎮が出てきてあいさつをした。「一度パードレがたにキリシタンの教えを聞いてみたいと思っとりました」

彼は非常に若かったが、さすがは一国を統治する大名の威権が備わっていた。彼はザヴィエルを奥の間に案内した。2人だけで話がしたいと言うのである。「私がキリシタンの教えを聞きたいのにはわけがあります。それは、私は心の中に深い悩みを抱えておりまして、最近はよう眠れん日があるのです」

そして、彼は語り始めた。それによると、彼は3人兄弟の長男で、下に義長と塩市丸という弟がいた。父の義鑑は側室との間に生まれた塩市丸を溺愛し、ある時、4人の腹心の部下を呼び寄せ、塩市丸に家督の権を譲って後継者にする相談をした。

4人の家臣はいずれも反対し、承知せずに退場。すると、怒った義鑑はあとを追わせ、2人を殺させた。残った津久見美作守と田口蔵人佐は反乱を起こし、側室と塩市丸を殺し、義鑑にも重傷を負わせ、やがて死に至らしめた。そして、結局は2人の家臣も討たれ、長男の義鎮は豊後の城主となったのであった。

「この日以来、いかに天下を取ったとて、心の休まる時がありません。直接手を下したわけではないが、自分の中に弟をねたむ思いがずっとあって、結果として弟の血を流すことになったような気がするのです」

そして、この若い城主は目頭を押さえた。ザヴィエルは、しばし瞑目していたが、人間の中には本質的に兄弟殺しの血が流れており、これが罪というものであることを告げた。そして、本来ならば人はその罪を背負って地獄に行くべきであるのに、神の子イエス・キリストが十字架でその罪を清算してくれた福音を語った。

「これこそ喜びの訪れなのです。キリストは今も生きて私たちのためにとりなしをしてくださっているのですよ」。この日初めて義鎮は、長い間心の中に秘めていた氷のようなわだかまりを涙と共に洗い流し、ザヴィエルから洗礼を受けた。そして、彼と同じ名フランシスコという霊名を与えられ、日本初のキリシタン大名となったのである。

10月半ばのこと。山口から使いの者がトルレスの手紙を持ってきた。それは、大内義隆の家老陶隆房が反乱を起こし、追い詰められた義隆は大寧寺で息子の義尊と共に切腹して果てたという悲報だった。

「お許しくだされ。決して自害せんと約束したのに、この義隆守れずにあの世に参る。どうかパードレは健康に留意され、この血生臭い国を逃れて自由な国で幸いな日々を過ごされんことを心からお祈り申す」。ザヴィエルは義隆の遺言状を胸に抱きしめ、熱い涙を注いだのであった。

1551年11月20日。ドアルテ・デ・ガマ船長の船は日出の港を後にし、ゴアに向けて出航した。この時、ザヴィエルと共に日本を後にしたのはベルナルド、マテオ、アントニオ、ジョアン、パウロ、そしてメンデス・ピントー他ポルトガル商人であった。

船はガマ船長のはからいで平戸と鹿児島に寄っていった。平戸では松浦隆信と木村一族をはじめ、大勢の人々が見送った。鹿児島に着くと、パウロ・ヤジロウは下船することになり、ザヴィエルと抱き合って最後のあいさつを交わした。その時である。

「待たれよ!しばし待たれよ」。1人の男が駆けてきて、ザブザブと膝まで海に入ってきた。源信であった。忍室文勝が臨終なので、慰めの言葉を欲しいと言うのである。ザヴィエルが聖書を開いて言葉を探していると、使いが駆けてきて、たった今、忍室が亡くなったことを告げた。

「源信、どうかこれからは、憎しみを捨てて愛を学んでください」。ザヴィエルは、泣き崩れる彼にそう言った。

*

<あとがき>

ザヴィエルは、帰国前に豊後において最後の伝道を行いました。それは、府内の若い城主大友義鎮に福音を語り、洗礼を授けるという働きでした。この若い城主は人知れず大きな苦しみを心に抱いていました。

彼は、自分で直接手を下したわけではないが、義理の弟である塩市丸を死に追いやってしまった自責の念に日夜悩まされていたのです。ザヴィエルは、人間は誰でも本質的に兄弟殺しの血を受け継いでいること、そして、そんな罪人である自分たちのために、イエス・キリストは十字架で血を流し、その罪を贖(あがな)ってくださったことを語り、彼を救いに導いたのでした。この義鎮こそ、後にキリシタン大名となって多くの人々に影響を与えた大友宗麟(そうりん)その人でした。

そして、ザヴィエルの一行はいよいよ帰途に就くために出航します。この時、船は平戸と鹿児島に寄ってゆくことになり、鹿児島でパウロ・ヤジロウは下船します。彼はその地に留まり、伝道を続ける決意をしたのです。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:フランシスコ・ザビエル
  • ツイート

関連記事

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

  • 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(1)暗い出生

  • 非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(1)どうして黒人は差別されるの?

  • 貧民救済に命賭けて―山室軍平の生涯(1) 強さと優しさと

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 聖書普及事業150年記念式典・レセプションの申し込み受け付け始まる

  • ドイツの大聖堂で「世界最大の聖書のページ」展示 グーテンベルク生誕625年記念で

  • 世界では神を信じている人の方が多い 85カ国・地域9万1千人を対象に大規模意識調査

  • カリフォルニア州のビーチで7752人が受洗、米国史上最大規模の合同洗礼式

  • 不公平な愛 菅野直基

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(3)コヘレトの探求 臼田宣弘

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(222)心を癒やす祈りと賛美 広田信也

  • 神の憐れみ 穂森幸一

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • カリフォルニア州のビーチで7752人が受洗、米国史上最大規模の合同洗礼式

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 「司牧と行政の両方に深い知識と経験」 日本司教協議会会長、新教皇誕生でメッセージ

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • 四半世紀ぶりに欧州で大規模伝道会議、今月末にベルリンで 牧師ら約千人が参加

  • 世界では神を信じている人の方が多い 85カ国・地域9万1千人を対象に大規模意識調査

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • ローマ教皇フランシスコの死去に対する日本国内の他教派の反応

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • フランスのカトリック教会、復活祭に成人1万人以上が受洗 昨年比45%増

  • カリフォルニア州のビーチで7752人が受洗、米国史上最大規模の合同洗礼式

編集部のおすすめ

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 後藤健二さん没後10年、追悼イベントで長女が映像メッセージ 「誇りに思っている」

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.