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戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯

戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(12)いつまでも続く希望

2018年3月8日18時18分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:フランシスコ・ザビエル

一行が豊後に着いたのは、10月初旬のことであった。日出の港には、ポルトガル船が停泊しており、ポルトガル商人メンデス・ピントーと船長ドアルテ・デ・ガマはザヴィエルと抱き合って再会を喜んだ。

一行が何よりうれしく思ったのは、そこにパウロ・ヤジロウの無事な姿を見たことだった。アントニオが釈放されてすぐ自由の身になったのだという。

そこへ、いかめしい顔つきの役人が来て、豊後の城主大友義鎮がザヴィエルに会いたいそうなので、小舟で府内まで行くようにと告げた。そこで、ザヴィエル、パウロ、ジョアン、ベルナルド、マテオが船に乗り込むと、メンデス・ピントーと20人ほどのポルトガル船の乗組員たちが付き添った。

府内に着くと、大砲が打ち上げられ、主だった人々が大友義鎮の館(やかた)まで案内した。「お待ち申し上げておりました」。間もなく義鎮が出てきてあいさつをした。「一度パードレがたにキリシタンの教えを聞いてみたいと思っとりました」

彼は非常に若かったが、さすがは一国を統治する大名の威権が備わっていた。彼はザヴィエルを奥の間に案内した。2人だけで話がしたいと言うのである。「私がキリシタンの教えを聞きたいのにはわけがあります。それは、私は心の中に深い悩みを抱えておりまして、最近はよう眠れん日があるのです」

そして、彼は語り始めた。それによると、彼は3人兄弟の長男で、下に義長と塩市丸という弟がいた。父の義鑑は側室との間に生まれた塩市丸を溺愛し、ある時、4人の腹心の部下を呼び寄せ、塩市丸に家督の権を譲って後継者にする相談をした。

4人の家臣はいずれも反対し、承知せずに退場。すると、怒った義鑑はあとを追わせ、2人を殺させた。残った津久見美作守と田口蔵人佐は反乱を起こし、側室と塩市丸を殺し、義鑑にも重傷を負わせ、やがて死に至らしめた。そして、結局は2人の家臣も討たれ、長男の義鎮は豊後の城主となったのであった。

「この日以来、いかに天下を取ったとて、心の休まる時がありません。直接手を下したわけではないが、自分の中に弟をねたむ思いがずっとあって、結果として弟の血を流すことになったような気がするのです」

そして、この若い城主は目頭を押さえた。ザヴィエルは、しばし瞑目していたが、人間の中には本質的に兄弟殺しの血が流れており、これが罪というものであることを告げた。そして、本来ならば人はその罪を背負って地獄に行くべきであるのに、神の子イエス・キリストが十字架でその罪を清算してくれた福音を語った。

「これこそ喜びの訪れなのです。キリストは今も生きて私たちのためにとりなしをしてくださっているのですよ」。この日初めて義鎮は、長い間心の中に秘めていた氷のようなわだかまりを涙と共に洗い流し、ザヴィエルから洗礼を受けた。そして、彼と同じ名フランシスコという霊名を与えられ、日本初のキリシタン大名となったのである。

10月半ばのこと。山口から使いの者がトルレスの手紙を持ってきた。それは、大内義隆の家老陶隆房が反乱を起こし、追い詰められた義隆は大寧寺で息子の義尊と共に切腹して果てたという悲報だった。

「お許しくだされ。決して自害せんと約束したのに、この義隆守れずにあの世に参る。どうかパードレは健康に留意され、この血生臭い国を逃れて自由な国で幸いな日々を過ごされんことを心からお祈り申す」。ザヴィエルは義隆の遺言状を胸に抱きしめ、熱い涙を注いだのであった。

1551年11月20日。ドアルテ・デ・ガマ船長の船は日出の港を後にし、ゴアに向けて出航した。この時、ザヴィエルと共に日本を後にしたのはベルナルド、マテオ、アントニオ、ジョアン、パウロ、そしてメンデス・ピントー他ポルトガル商人であった。

船はガマ船長のはからいで平戸と鹿児島に寄っていった。平戸では松浦隆信と木村一族をはじめ、大勢の人々が見送った。鹿児島に着くと、パウロ・ヤジロウは下船することになり、ザヴィエルと抱き合って最後のあいさつを交わした。その時である。

「待たれよ!しばし待たれよ」。1人の男が駆けてきて、ザブザブと膝まで海に入ってきた。源信であった。忍室文勝が臨終なので、慰めの言葉を欲しいと言うのである。ザヴィエルが聖書を開いて言葉を探していると、使いが駆けてきて、たった今、忍室が亡くなったことを告げた。

「源信、どうかこれからは、憎しみを捨てて愛を学んでください」。ザヴィエルは、泣き崩れる彼にそう言った。

*

<あとがき>

ザヴィエルは、帰国前に豊後において最後の伝道を行いました。それは、府内の若い城主大友義鎮に福音を語り、洗礼を授けるという働きでした。この若い城主は人知れず大きな苦しみを心に抱いていました。

彼は、自分で直接手を下したわけではないが、義理の弟である塩市丸を死に追いやってしまった自責の念に日夜悩まされていたのです。ザヴィエルは、人間は誰でも本質的に兄弟殺しの血を受け継いでいること、そして、そんな罪人である自分たちのために、イエス・キリストは十字架で血を流し、その罪を贖(あがな)ってくださったことを語り、彼を救いに導いたのでした。この義鎮こそ、後にキリシタン大名となって多くの人々に影響を与えた大友宗麟(そうりん)その人でした。

そして、ザヴィエルの一行はいよいよ帰途に就くために出航します。この時、船は平戸と鹿児島に寄ってゆくことになり、鹿児島でパウロ・ヤジロウは下船します。彼はその地に留まり、伝道を続ける決意をしたのです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:フランシスコ・ザビエル
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