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戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯

戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(11)芽吹いた種

2018年2月24日18時13分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:フランシスコ・ザビエル

鳥羽から淀川を下りながら、ザヴィエルは何度も京都の方角を振り返り、涙を流した。「私は、この都が惜しい」。彼はつぶやくのだった。しかし、彼のまいた種は確実に芽吹き始めた。

一行の後を追ってきた小西隆佐は、その後キリスト教に帰依し、息子の行長はキリシタン大名として領民のために数々の善行を行い、最後は殉教の死に至った。また、十字架をもらった子どもは成長して佐野トマスという洗礼名を頂き、ザヴィエルの後任の宣教師ガスパール・ヴィレラを助けて大いに活躍したのである。

さて、一行は京都から堺に戻ったが、あの豪商日比屋了珪はすでにキリシタンとなっていたので、ザヴィエルは彼に洗礼を施した。一行は山口に行く前に短期間ではあるが平戸に寄った。それは、トルレスとジョアンに会い、慰め合うためと、もう1つは彼らの所に預けてある南蛮の珍しい品々を引き取るためであった。

平戸の城主松浦隆信はすでにキリスト教に帰依し、城内においても多数の信者が生まれていた。家臣の木村という武将も洗礼を受け、アントニオという名を授けられた。孫のセバスチャン木村は司祭に、従弟のレオナルド木村は修道士になった。

一行が山口に戻ると、城主大内義隆は大いに喜び、子どものようにはしゃいだといわれる。「よう戻ってくれた。わしはパードレを喜ばそうとあることを実行したのじゃ。すなわち側室をことごとく去らせ、相当の金と土産を持たせて郷里に帰したのじゃ」

彼は顔をほころばせて言った。「それから、そのほうたちがキリシタンの教えを広めやすいように大道寺という寺を与えよう。まだ住職が入っておったが、金を払って立ち退かせたのじゃ」。ザヴィエルたちはこの好意に感謝し、早速行ってみることにした。

彼らが荷物を中に入れて休んでいると、1人の物乞いの男がやってきて、水を乞うた。骨と皮ばかりに痩せ衰え、熱のために体がぶるぶる震えている。水を差し出すと、男はそれを飲もうとした瞬間倒れてしまった。

奥の座敷に運んでいき、薬を飲ませて介抱するうちに、優れた薬の効き目で男は寝息を立て始めた。そのうち、誰が言い広めたのか、うわさを聞きつけて、この寺に病人やけが人、身寄りのない者、そして、物乞いなどが寄りつくようになった。そして、しまいには孤児を連れてくる者もいて、やがて奥座敷はいっぱいになってしまった。

ベルナルドが大内義隆の住む築山館に行って窮状を訴えると、すぐに布団20枚を載せた荷車が差し向けられた。それを本堂に敷き詰めると、どうにかこれらの人々を収容することができた。

そんなある日、立派な身なりの女性が寺にやってきた。「パードレ、お久しゅうございます。いつぞや助けていただいた多恵でございます」。ザヴィエルは夢かと喜んだ。「おかげさまで、今ではまともな暮らしをさせていただいております。お金も少しは溜まりました。パードレたちがこのお寺で困った人を助けておられることを聞きまして、わずかですがお礼をさせていただきとう存じます」

彼女は裕福な呉服商人の養女となり、その後養子をとって今では夫婦そろって店をやっているのだという。彼女はふろしきに包んだ金を彼の手に押しつけ、逃げるように立ち去った。中を開けると、大金が入っていた。

ザヴィエルたちはこの献金で薬や包帯する布、その他必要なものを買うことができた。また、ベルナルドの知り合いで信頼できる大工がいたので、寺の後ろに病室を増築することにした。この大工はザヴィエルの話を聞いてキリシタンとなり、洗礼を受けてマテオと名乗った。こうしてこの大道寺は日本最初の医療施設となり、後の「聖マリア教会」の母胎となったのである。

1551年9月。豊後(大分)の港にポルトガル船が入港し、使者が彼の帰還を促すゴアの司教ダルブケルナの手紙を携えてきた。ザヴィエルは後をトルレスに任せたいと考え、彼とジョアンを平戸から呼び寄せた。思いがけず彼らの後ろにアントニオの無事な姿を見、一同は喜んだ。

フェルナンデスは、トルレスを助けるため山口に残ることになった。「何だか、これっきりパードレに会えないような気がしてな」。豊後に出発するザヴィエルに、義隆はしんみりと言った。その顔は寂しそうだった。

「いつぞやのパライソ(天国)の話、あれは心に染み入る話じゃった。そこへ早う行きたいために自害したらどうなのじゃ?」。ザヴィエルは首を振ると、その手を取った。そして、その行為は決して許されないことを説き、決して自害などしないことを彼に約束させた。

*

<あとがき>

落胆しつつ京都を離れたザヴィエルたちは、元来た道を引き返すしかありませんでした。彼らは山口に帰る前に、短期間ではありますが平戸に寄ってみました。城主の松浦隆信はすでにキリシタンになっており、城内においても多くの信者が生まれていました。

家臣の木村という武将も洗礼を受け、アントニオという霊名を授けられ、その孫のセバスチャン木村は司祭に、従弟のレオナルド木村は修道士になりました。ザヴィエルの一行が山口に戻ると、城主大内義隆は大喜びでこれを迎え、大道寺という大きな寺を買い与えるのでした。

たまたま、病人が助けを求めてここにやってきたことから、この大道寺は病人やけが人を収容し、手当てを施すとともに、福音を聞かせる医療施設となってゆきました。ここは後の「聖マリア教会」の母胎になったといわれています。そんな時、豊後(大分)の港にポルトガル船が入港し、ゴアの司祭から帰国命令が出たことをザヴィエルに告げたのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:フランシスコ・ザビエル
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