Skip to main content
2025年6月16日23時55分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
キリスト教から2016米大統領選を見る米大統領選

キリスト教から米大統領選を見る(22)福音派と米国政治①黎明期:新福音主義とフラー神学校

2016年12月14日11時39分 コラムニスト : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:ドナルド・トランプ福音主義(福音派)米国福音同盟(NAE)アメリカ青木保憲フラー神学校
ホワイトハウス+
米首都ワシントンにあるホワイトハウス

トランプ氏当選の衝撃から約1カ月余り。世界は次第に沈静化へ向かっているようだ。さっそく安倍首相と会談したり台湾の総統と電話で会話したり、とやはり何かと話題となるトランプ氏。その先行きは今のところ歓迎ムードのようである。中国とのやりとりを除けば、だが・・・。日本もTPPのことでは、恐らくトランプ氏に翻意してもらいたいのだろうが、それはSMAPが大みそかに紅白に出演するのと同じくらい難しそうである。

さて、本コラムもその中心的な役割は果たしたように思う。「次期大統領はドナルド・トランプ氏」という結果が出ているため、これ以上新たな要素を付け加えることは蛇足となる。しかし本コラムが「キリスト教から見る」と掲げているように、政治外交の視点とは異なった立場で米国の宗教性を明らかにするという目的については、まだまだ言わなければならないことがある。

特に、宗教的な意味での(本来の)「福音派」がどのようにして政治集団と呼ばれるようになったかについては、あまり多く語る機会が今まではなかった。そこで、数回にわたって、このあたりをつまびらかにしていきたい。

進化論論争については以前の記事でも少し触れたが(関連記事:キリスト教から米大統領選を見る(21)福音派は超現実肯定主義者? 進化論論争の「功」と「罪」(2))、進化論を学校教育で教えることを禁じる「反進化論法」をめぐっての一連の裁判、特に有名な1925年に行われた「スコープス裁判」によって、根本主義者たち(聖書を字義通りに解釈する者たち)は全米の嘲笑を買い、その後相手にされなくなってしまった。

そこから20年余り、世界は第2次世界大戦へ向かう激動の時代へ向かっていたため、彼らの動向を気にする者も、それを記述した資料もほとんど公になっていなかった。しかし、彼らは南部バイブルベルトといわれる地域を中心に、地道に聖書学校を造り、海外宣教を繰り返していたのである。この辺りは、ジョエル・カーペンターという学者が当時の資料から優れた著作をシリーズで発刊している。

「新福音主義」とフラー神学校

しかし、このようなアンダーグランドな在り方と決別し、社会に受け入れられる保守派の在り方を見いだそうとした人々がいた。彼らはかつて南北戦争以前の「プロテスタント時代」に、聖書に基づいた道徳的な生活を行っていたという意味での「福音主義」を新たに現代に復興したいという願いを込めて、「新福音主義」と命名する一派を立ち上げた。彼らが帰属する具体的な集団として、「全米福音派同盟(NAE)」が1942年に生み出されている。

この働きの中心を担った人々は、やがて一般社会でも通用する聖書解釈の必要性を感じ、1947年にカリフォルニア州パサデナに従来の在り方とは一線を画する神学校を立ち上げた。これが「フラー神学校」である。現在はフラー神学大学となり世界60以上の国、108を越す教派から来た4300人以上の学生が学ぶ世界最大級の神学校にまで成長した。

創立者は、莫大(ばくだい)なオレンジ農園の経営者を父に持つチャールズ・フラー。彼は父からの遺産を投じて、フラー神学校を建設する。フラー自身が1930年代後半からラジオ伝道をしていたため、多くの視聴者から献金が寄せられた。そして彼の意志に賛同したのが、フラー神学校の初代学長となるハロルド・オッケンガ、そして後の大衆伝道者の雄、ビリー・グラハムらであった。

彼らを神学的な側面からサポートしたのは、カール・ヘンリーらフラー教授陣であった。フラー神学校には大きく2つの目的があった。

① 一般社会に通じるキリスト教信仰をアピールすること。
② リベラリムズと肩を並べるような学術性を持つこと。

ディスペンセーショナリズムとは?

しかし ① については、大きな弊害があった。それはディスペンセーショナリズムという考え方である。ペンテコステ諸派には今でもおなじみのものだが、世の終わりが間もなくやってきて、その際にテサロニケ第一に書かれてあるような「携挙」が実際に起こり、その後にキリストが「再臨」され、千年王国が生み出されるという教えである。この出来事に向かって、7つの時代区分(ディスペンセーション)が存在し、おのおのの時代の徴(しるし)が啓示として明らかにされる、というものであった。

一見すると永井豪の『デビルマン』やハリウッドSF映画のパクリ(というか彼らの方こそ聖書をパクったのだ)とも受け取られるが、これを当時の根本主義者たちはしっかりと信じていた。特に時代が第2次世界大戦とその後の東西冷戦期でもあったことから、核ミサイルによる世界大戦が「キリスト再臨」の徴であるとささやかれていた時代でもあった。

だが、米国の多くの人々にとって、この考え方はやはり狂信的で受け入れがたいものであった。

そのことを感じていたフラー教授陣は、創立者チャールズに掛け合い、彼の死後にディスペンセーショナリズムを学校の信条として掲げることをやめさせたのである。これによって、多くの保守的なキリスト教家庭からその子弟が学校にやって来る道が開かれた。

もう一つ、② については19世紀末から起こった「ファンダメンタリズム論争」に対する保守派からの回答であった。やはりリベラリズムが主張する学術的知識を自分たちも受け入れ(もちろん受け入れられる限界はある)、そこで対等に議論することができるなら、多くの人々に受け入れられる存在となれるのではないか。そう期待してのことであった。またアカデミズム一色の当時のキリスト教神学界に、きちんと自分たちの居場所を確保したいという願いもあったことであろう。

① と ② を満たすような教授陣をそろえることで、フラー神学校は新福音主義の旗手として立ち上げられたのである。例えば、カール・ヘンリーは1949年にボストン大学から博士号を習得しているし、2代目学長となったエドワード・カーネルはハーバード大学卒であり、ジョージ・ラッドに至ってはハーバードで博士号も取得している。ボストン大学、デューク大学、ハーバード大学など全てリベラリズムであり、セキュラー(世俗世界)でも「高学歴」とみなされる大学の出身者でフラー神学校は固めたのである。

ここに大衆伝道者のビリー・グラハムが加わる。彼はウィートン大学出身ということ以上に、福音主義の超教派宣教団体「ユース・フォー・ザ・ミッション」初の専属宣教者として名をはせていた。彼については、言うまでもないだろう。

このように、社会に対して開かれた福音主義を標榜した新福音主義者たちは、聖書解釈に関する頑迷なこだわりを和らげ、社会の出来事や世界情勢に関してコメントを発するようになった。その発信機関となったのが「クリスチャニティ・トゥディ」誌である。

先日、フラー神学校学長らが大統領選を総括するような声明を発表した、という記事を本紙で拝見したが(関連記事:米フラー神学校学長らが声明、大統領選中の福音派による「憎しみに満ちた言動」を非難)、これなどフラー神学校が発表して然るべきものであると受け止めることができる。新福音主義の名残と伝統が、きちんと受け継がれている。

和合的であると同時に、ある種、迎合的であると言われても仕方のない姿勢であろう。しかし、福音派のアイデンティティーとして1940年代後半から組み込まれた「1つのイズム」と捉えるなら、今回のトランプ・ショックの後に、融和と再団結を促す声明は、米国全体の運営にとっては歓迎すべき発言となるであろう。

次回は、この新福音主義者が次第に分裂していくさまを見ていきたい。そこから、政治的な意味での「福音派」が生み出されてくるからである。

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ドナルド・トランプ福音主義(福音派)米国福音同盟(NAE)アメリカ青木保憲フラー神学校
  • ツイート

関連記事

  • 神学書を読む(6)『クー・クラックス・クラン 白人至上主義結社KKKの正体』

  • 米キリスト教会、トランプ氏の「不法移民の強制送還」公約に抵抗の備え

  • フランクリン・グラハム氏「トランプ氏は変えられた人、彼を信頼する」

  • キリスト教から米大統領選を見る(20)福音派は超現実肯定主義者? 神への絶対信仰の「功」と「罪」(1)

  • 映画「スター・トレック BEYOND」から透けて見える「トランプ現象」!?

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 「もうひとりの助け主」の恵みを受けよう 万代栄嗣

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(6月13日):カメルーンのクワクム族のために祈ろう

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(21)アデオダートスと再会する

  • ワールドミッションレポート(6月10日):アンゴラのクワァビ族のために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • トラウマからの解放と癒やし 菅野直基

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.