Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
星のかけら

【童話】星のかけら(3)冒険のはじまり・その3 和泉糸子

2016年9月13日10時50分 コラムニスト : 和泉糸子
  • ツイート
印刷
関連タグ:和泉糸子

「人の子たちよ」と、その不思議な人がよびかけました。その人は小人だったのです。お話の絵本に出てくるような曲がった鼻もしていませんし、赤黒い顔もしていません。白いひげも生えていません。両手の親指を合わせてまっすぐのばしたより少し大きい位の、小さな男の人ですが、きりりとした顔立ちをしています。

小人って本当にいるのだなあ。びっくりした。お話の中に出てくるだけかと思っていたのに。ユキトは、その人になんと言っていいのか分かりません。でも、よびかけられたのだから、返事をしなくては失礼になるかなあと思いました。シュンスケもケンタも声が出ません。

だまったままで子どもたちが顔を見合わせ、どうしようかとなやんでいますと、「人の子たちよ、わたしたちを助けてはくれまいか。正しい心と勇気を持つならば」と、その人が重々しい声で言ったのです。

小人の声は体のわりには大きなひびく声でした。塔のてっぺんは音のひびきがいいのかもしれませんけどね。

正しい心、勇気・・ぼくたちにあるだろうか。お化けがこわくて、悪魔が出てきたらどうしようと思っていたのに、小人に会うなんて。夢(ゆめ)を見ているのだろうかと、子どもたちは思いました。

「なにかおこまりなのですか」。ユキトはせいいっぱいていねいな言葉を使って、勇気を出して、小人にたずねました。「ぼくたちにできることですか」。シュンスケが言うと、「勇気がなくてもいいのかなあ。ぼくはこわがりだし」。ケンタも言いました。「それに正しい心を持っているかどうか、分からないし」。ユキトも心の中でつぶやきました。

鐘の音がだんだん大きくなり、そして、あたりがボオッと明るくなり、一すじの道が見えてきました。にじのように七色ではないけれど、空にかかった橋のようなやわらかい色をした道です。

「人の子たちよ、この道を通って来てください。わたしの後について」

小人が言うと、「行きます。でも、ぼくたちは人の子ではなく、ちゃんと名前があります。ぼくはユキト、そして」と言いかけると、シュンスケもケンタも自分の名前を言いました。

小人は笑って言いました。「ではユキト、シュンスケ、ケンタ。わたしの後について来てください。わたしの名前はビタエと言います」

そして、「いいですか、この道は選ばれた者にしか見えない道です。あなたがたにはこの道が見えますね」と3人に聞きました。

「見えます」「きれいな色の道ですね」「どこまで続いているのですか」。口ぐちに言うと、「それならば、あなたがたは選ばれた者なのです。そして、この道は正しい心と勇気を持った者しか通ることのできない道なのです」と、ビタエと名乗った小人は重々しく言いました。

そうやって、3人は小人の国に来ました。あの道が見えて、通れたのですから、小人のビタエが学校の先生でしたら、君たちは正しい心と勇気を持っていますと二重丸をつけてくれたことでしょう。でも、本当にぼくたちは正しい心を持っていて、勇気もあるのだろうかと3人とも自信がありませんでした。

算数の計算なら答えがあっていると自信を持てても、読書感想文を書くときには、これでいいのだとは思えませんね。それ以上に全然自信がないことでした。

3人は、おそるおそる周りを見回しました。こわい動物が出てきたらどうしよう。お化けが出てきたらどうしよう。でも、ちょっと見たところ、大きな動物はいないようです。犬やねこもいないし、小鳥さえいません。

背の低い木が生えていますし、花も咲いています。ちょうちょが花の上をひらりひらりと飛びまわっているのがただ1つ見かけた生き物でした。空には雲もありました。でも夜のはずなのに月も星もなく、少しも暗くないのです。それに、ほかの小人たちはかくれているのか姿(すがた)を見せません。小さな家はあちこちに見えるのに。

きょろきょろ見回していると、「ここです。この大きな池の水をくみ出してほしいのです。わたしたちには大きすぎて、やっても、やっても無理でした。あなたたちの力が必要なのです。助けてください」というビタエの声がしました。

それは池というよりも、保育園(ほいくえん)の庭に置いて遊ぶ大きめのビニールプールくらいでしたけれど、くみ出し始めると底が深いことが分かりました。

3人はお砂遊びのバケツのような小さなバケツに水を入れては、ビタエに教えられた場所まで運んでせっせと水をまきました。

いつの間にかビタエの姿は見えなくなり、木のかげになんだか動いている姿のようなものが見えかくれしていました。

そうやって、ようやく池の底が見えてきますと、そこにはいろんな絵がかいてある卵(たまご)がぎっしりとつまっていたのです。(つづく)

<<前回へ     次回へ>>

◇

和泉糸子

和泉糸子

(いずみ・いとこ)

1944年生まれ、福岡市出身。65年、福岡バプテスト教会で受洗、後に日本基督教団の教会に転入し、Cコースで補教師試験に合格。96年より我孫子教会担任教師、2005年より主任担任教師となり、20年間在職。現在日本基督教団隠退教師。九州大学文学部卒業。東京都庁に勤務後、1978年より2002年まで、船橋市で夫と共にモンテッソリー教育を取り入れた幼児教育や、小中学生対象の教えない教育という、やや風変わりな私塾(レインボースクール)を運営。(2017年7月17日死去、プロフィールは執筆当時のものです)

【執筆者からのコメント:童話「星のかけら」は、小学生の孫のために書いたものですが、教会学校の子どもたちが少なくなっている今、お話を通して教会や神様に少しでも出会える場が与えられればうれしいです】

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:和泉糸子
  • ツイート

関連記事

  • 【聖書クイズ】1ミリオンをメートル法で換算すると?

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

  • 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(1)暗い出生

  • 非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(1)どうして黒人は差別されるの?

  • 貧民救済に命賭けて―山室軍平の生涯(1) 強さと優しさと

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.