受難週と復活「互いに愛し合う教会」の誕生物語(2)争いが記録された意味 森正行

2016年3月5日19時25分 コラムニスト : 森正行 印刷
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争いが記録された意味

さて時間になって、イエスは食卓に着かれ、使徒たちもイエスといっしょに席に着いた。

イエスは言われた。「わたしは、苦しみを受ける前に、あなたがたといっしょに、この過越の食事をすることをどんなに望んでいたことか。

あなたがたに言いますが、過越が神の国において成就するまでは、わたしはもはや二度と過越の食事をすることはありません。」

そしてイエスは、杯を取り、感謝をささげて後、言われた。「これを取って、互いに分けて飲みなさい。

あなたがたに言いますが、今から、神の国が来る時までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。」

それから、パンを取り、感謝をささげてから、裂いて、弟子たちに与えて言われた。「これは、あなたがたのために与える、わたしのからだです。わたしを覚えてこれを行いなさい。」

食事の後、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流されるわたしの血による新しい契約です。

しかし、見なさい。わたしを裏切る者の手が、わたしとともに食卓にあります。

人の子は、定められたとおりに去って行きます。しかし、人の子を裏切るような人間はわざわいです。」

そこで弟子たちは、そんなことをしようとしている者は、いったいこの中のだれなのかと、互いに議論をし始めた。

また、彼らの間には、この中でだれが一番偉いだろうかという論議も起こった。

(ルカ22:14~24)

彼らの間には、この中でだれが一番偉いだろうかという論議も起こった」(ルカ22:24)

この出来事が福音書に記録されたのは、「主の教会はどんなところから生まれたのか」「主がどんな人たちを選び教会を建てていかれたのか」を見直す上で、非常に意義深さがあります。

この一節も、神の愛のメッセージです。

それは、たとえ争い合うような人間関係でも、キリストはそんな弟子たちの愚かさや弱さを「それではだめだ」と諦めることなく、そんな問題だらけのところから彼らを受け止め、やがては「互いに愛し合う」「主の教会」を建て上げられた憐れみ深い方であることを、この出来事の記録が今日の私たちに伝えてくれているからです。

もし、福音書にこのような記録がなければ、私たちは「もっと立派でなければ」とお互いもっと背伸びして裁き合う関係になっていたことでしょう。この争いは、受難週の木曜日、最後の晩餐の直後に起きた出来事でした。

弟子たちは、イエスが十字架にかかられる前日も、お互いを比べ合い、偉さを競い合い、相手を裁き、さらには言い争いにまで発展していました。この争いは既に度々ありました。

カペナウムに着いた。イエスは、家に入った後、弟子たちに質問された。「道で何を論じ合っていたのですか。」

彼らは黙っていた。道々、だれが一番偉いかと論じ合っていたからである。

(マルコ9:33、34)

しかも、約3年半もイエスと共にいて「互いに愛し合いなさい」とのメッセージを聞きながらも、裁き合う関係性が改善される兆しはありませんでした。後に登場するバルナバのような、関係性を修復する人物(使徒9:26、27)も、この頃はまだいませんでした。

私たちも、身近な人たちや教会の中で、過去あるいは現在、誰かと比べ、優劣を競い、心の中で裁くような体験や心当たりはないでしょうか。あったとすれば、それは、当時の弟子たちも同じような有様でした。けれども、そんなところから神の教会は、神の憐れみによって生まれ育ちます。

【祈り】 神様、私も自分と知人を比べ、また心の中で裁いていました。

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森正行

森正行(もり・まさゆき)

1961年兵庫県西宮市出身。建設専門学校卒。不動産会社、構造建築事務所にて土木・建築構造設計部門を5年間勤務。1985年受洗。関西聖書神学校卒。岡山・岡南教会にて伝道師・副牧師3年間奉仕。1995年より現在、日本イエス・キリスト教団宮崎希望教会牧師。

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