Skip to main content
2025年7月3日23時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(14)イエス様のお話

2025年3月5日20時34分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

その翌日。ニコラスは子どもの人数よりはるかに多く用意しておいたパンに干し魚を挟んで「お弁当」を用意すると、子どもたちが来るのを待った。10時ごろになると、にぎやかな声がして、やがて子どもたちがテントに押し寄せた。あのネレオもヌンパの手を引いてやって来た。

「よく来たね。待ってたよ」。思わずニコラスは駆け寄って2人を抱きしめた。それから大声で言った。「さあ、みんな。今日はテントの中ではなく浜辺で勉強する日です。二列に並んで私のあとについて来て」

ニコラスは、大きな麻袋に子どもたちに配る「お弁当」を入れて担ぎ上げ、先頭に立って歩き出した。子どもたちは歓声を上げ、互いに腕を組んだり、ふざけて突き飛ばしたりしながら、彼のあとについて歩いた。潮風は心地よく彼らの頬をなで、波の音はゆるやかに音楽をかなでていた。

大きな帆船の所まで行くと、ニコラスはそこで子どもたちをぐるりと円を描くようにして座らせた。「さあ、今日はこの気持ちのいい浜辺で、イエス様のお話を聞きましょう」

「これはね、昔イエス様がこの地上にいらしったとき、お話しなさったものです。『迷子の羊』というお話ですよ」。あのパタラの屋敷の「子ども劇場」が思い出された。あの子どもたちと全く同じように、ミラの貧しい家の子どもも目を輝かせて聞き入っていた。

「ある所に100匹の羊を飼っている人がいました。いろいろな羊がいました。暴れん坊の羊、わがままな羊、飼い主になれない羊、人見知りする羊・・・いろいろでした。そして一番小さくて元気のいい羊“チビ”はいつもピョン、ピョンはね回るのが好きでした」

「ある日のこと。チビは狭い囲いの中で暮らすのがつまらなくなって、広い世界に飛び出していきました。そして野原を駆け回り、その後ろの丘に登り、さんざん遊び回って疲れ、そろそろ帰ろうと思ったときには、さあ大変! もう暗くなっていて、帰る道が分かりません。チビは迷子になってしまったのです」

「メーエ、メーエと鳴きながら、チビは気が狂ったように駆け回るうちに、足を滑らせ、崖から落ちてしまいました。幸い、下まで落ちずに途中の木に首の綱が引っかかり、宙吊りになりました。メエ〜、メエ〜と、チビは悲しそうに鳴き続けました」

「チビがいないことに気付いた羊飼いは、飼っていた99匹の羊を囲いの中に入れて、迷子の羊を捜しに出かけました。そして丘を越え、山道を歩き、谷底をのぞきながら、迷子の羊を捜して歩きました。そして、とうとう崖の中腹に突き出た木に宙吊りになっている羊を見つけました」

「『おう、おう、かわいそうに。もう大丈夫だよ』。羊飼いは険しい岩の角に足をかけて降りていくと、羊を肩に抱きかかえて上に登りました。抱かれて帰る途中、チビはうれしくて飛び跳ねながらメーエ、メーエと鳴きました」

そして、ニコラスは子どもたちの魂に届くように心を込めて言いました。

「このようにね、イエス様はいつも勝手なことをしたり、どこかへ行こうとして迷子になってしまう私たちを捜し出し、安全な所に連れていってくださるんですよ。99匹のおとなしい羊も大事ですけど、手のかかる困った1匹はそれ以上に大切なんです。イエス様は、どんな人も変わりなく愛してくださるのですよ」

それから、皆でニコラスが用意したお弁当を食べてから、砂浜で「追いかけごっこ」をして遊んだ。ひとしきり遊んでから、やがてテント小屋に戻ってきたころには、夕暮れになっていた。

「先生、せがれを預かってくだすって、ありがとうございます」。仕事を終えた漁師がテント小屋を訪れた。マテオという子どもの父親だった。「お父さん。今日ね、ニコラスさんにとってもおいしいお弁当をもらったんだよ。それから、イエス様のお話を聞いたんだ」。マテオは、目をキラキラさせて言った。

「そうか、よかったな」。漁師は日焼けした頑丈な腕で子どもを抱き上げた。その時、網繕いの子ネレオとヌンパが汚らしい手で目をこすって言った。「おじさん、ニコラスさんってどこから来たか知ってる?」「ん? 分からんな」。「ニコラスさんは海からやって来たの。潮風に乗ってきたって皆が言ってるよ」

*

<あとがき>

伝道者となってパタラに遣わされたニコラスは、早速海辺のテント小屋に住み、伝道を始めます。福音はまず子どもの柔らかな心に伝えられねばならないと考えていたニコラスはある日、子どもたちを集めると、お弁当を持って海辺に行きます。そこで「イエス様のお話」と題して「迷える1匹の羊」の話をしたのでした。

憐(あわ)れみ深い羊飼いは、迷い出た1匹の羊を救うために99匹の羊をそこに置いて、危険を冒して捜しに出かけるという物語でした。そしてついにその羊を見つけ、肩に乗せて連れ帰ります。

ニコラスはこの話を通して、イエス・キリストは滅びの淵をさまよう人々を助け出して救うためにこの世に来られたという福音の中核を、分かりやすい物語の形で子どもたちに伝えたのでした。この話は子どもたちの心に残り、やがては小アジアの寒村に住む無学文盲な人たちの中から、迫害にも屈せずに信仰を守り通した立派なクリスチャンを生み出すことになるのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(13)浜辺のテント小屋

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(12)新しい人生への出発

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(11)コンスタンティヌスとの出会い

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(10)文明の都アレクサンドリア

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(9)ニコラス伝道者となる

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 同志社女子大学とノートルダム女学院高校、教育連携協定を締結

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • ワールドミッションレポート(7月3日):コンゴ民主共和国 戦火の中、詩篇91篇にすがるキリスト者たち

  • シリア語の世界(27)シリア語旧約聖書の各書名と1章1節の和訳 川口一彦

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(7)人は「単独者」である 三谷和司

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(233)聖書と考える「キョコロヒー」

  • Gゼロ時代の津波石碑(3)日中韓、泥沼化する「桜の起源」論争 山崎純二

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 同志社女子大学とノートルダム女学院高校、教育連携協定を締結

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.