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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(14)イエス様のお話

2025年3月5日20時34分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

その翌日。ニコラスは子どもの人数よりはるかに多く用意しておいたパンに干し魚を挟んで「お弁当」を用意すると、子どもたちが来るのを待った。10時ごろになると、にぎやかな声がして、やがて子どもたちがテントに押し寄せた。あのネレオもヌンパの手を引いてやって来た。

「よく来たね。待ってたよ」。思わずニコラスは駆け寄って2人を抱きしめた。それから大声で言った。「さあ、みんな。今日はテントの中ではなく浜辺で勉強する日です。二列に並んで私のあとについて来て」

ニコラスは、大きな麻袋に子どもたちに配る「お弁当」を入れて担ぎ上げ、先頭に立って歩き出した。子どもたちは歓声を上げ、互いに腕を組んだり、ふざけて突き飛ばしたりしながら、彼のあとについて歩いた。潮風は心地よく彼らの頬をなで、波の音はゆるやかに音楽をかなでていた。

大きな帆船の所まで行くと、ニコラスはそこで子どもたちをぐるりと円を描くようにして座らせた。「さあ、今日はこの気持ちのいい浜辺で、イエス様のお話を聞きましょう」

「これはね、昔イエス様がこの地上にいらしったとき、お話しなさったものです。『迷子の羊』というお話ですよ」。あのパタラの屋敷の「子ども劇場」が思い出された。あの子どもたちと全く同じように、ミラの貧しい家の子どもも目を輝かせて聞き入っていた。

「ある所に100匹の羊を飼っている人がいました。いろいろな羊がいました。暴れん坊の羊、わがままな羊、飼い主になれない羊、人見知りする羊・・・いろいろでした。そして一番小さくて元気のいい羊“チビ”はいつもピョン、ピョンはね回るのが好きでした」

「ある日のこと。チビは狭い囲いの中で暮らすのがつまらなくなって、広い世界に飛び出していきました。そして野原を駆け回り、その後ろの丘に登り、さんざん遊び回って疲れ、そろそろ帰ろうと思ったときには、さあ大変! もう暗くなっていて、帰る道が分かりません。チビは迷子になってしまったのです」

「メーエ、メーエと鳴きながら、チビは気が狂ったように駆け回るうちに、足を滑らせ、崖から落ちてしまいました。幸い、下まで落ちずに途中の木に首の綱が引っかかり、宙吊りになりました。メエ〜、メエ〜と、チビは悲しそうに鳴き続けました」

「チビがいないことに気付いた羊飼いは、飼っていた99匹の羊を囲いの中に入れて、迷子の羊を捜しに出かけました。そして丘を越え、山道を歩き、谷底をのぞきながら、迷子の羊を捜して歩きました。そして、とうとう崖の中腹に突き出た木に宙吊りになっている羊を見つけました」

「『おう、おう、かわいそうに。もう大丈夫だよ』。羊飼いは険しい岩の角に足をかけて降りていくと、羊を肩に抱きかかえて上に登りました。抱かれて帰る途中、チビはうれしくて飛び跳ねながらメーエ、メーエと鳴きました」

そして、ニコラスは子どもたちの魂に届くように心を込めて言いました。

「このようにね、イエス様はいつも勝手なことをしたり、どこかへ行こうとして迷子になってしまう私たちを捜し出し、安全な所に連れていってくださるんですよ。99匹のおとなしい羊も大事ですけど、手のかかる困った1匹はそれ以上に大切なんです。イエス様は、どんな人も変わりなく愛してくださるのですよ」

それから、皆でニコラスが用意したお弁当を食べてから、砂浜で「追いかけごっこ」をして遊んだ。ひとしきり遊んでから、やがてテント小屋に戻ってきたころには、夕暮れになっていた。

「先生、せがれを預かってくだすって、ありがとうございます」。仕事を終えた漁師がテント小屋を訪れた。マテオという子どもの父親だった。「お父さん。今日ね、ニコラスさんにとってもおいしいお弁当をもらったんだよ。それから、イエス様のお話を聞いたんだ」。マテオは、目をキラキラさせて言った。

「そうか、よかったな」。漁師は日焼けした頑丈な腕で子どもを抱き上げた。その時、網繕いの子ネレオとヌンパが汚らしい手で目をこすって言った。「おじさん、ニコラスさんってどこから来たか知ってる?」「ん? 分からんな」。「ニコラスさんは海からやって来たの。潮風に乗ってきたって皆が言ってるよ」

*

<あとがき>

伝道者となってパタラに遣わされたニコラスは、早速海辺のテント小屋に住み、伝道を始めます。福音はまず子どもの柔らかな心に伝えられねばならないと考えていたニコラスはある日、子どもたちを集めると、お弁当を持って海辺に行きます。そこで「イエス様のお話」と題して「迷える1匹の羊」の話をしたのでした。

憐(あわ)れみ深い羊飼いは、迷い出た1匹の羊を救うために99匹の羊をそこに置いて、危険を冒して捜しに出かけるという物語でした。そしてついにその羊を見つけ、肩に乗せて連れ帰ります。

ニコラスはこの話を通して、イエス・キリストは滅びの淵をさまよう人々を助け出して救うためにこの世に来られたという福音の中核を、分かりやすい物語の形で子どもたちに伝えたのでした。この話は子どもたちの心に残り、やがては小アジアの寒村に住む無学文盲な人たちの中から、迫害にも屈せずに信仰を守り通した立派なクリスチャンを生み出すことになるのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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