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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(9)ニコラス伝道者となる

2024年12月25日18時12分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

その翌日。ニコラスは大広間にこの屋敷で働く全ての使用人を集め、アポロの話を聞かせた。彼らの中には先祖代々別の宗教に帰依する者や、ローマ帝国が禁止するキリスト教に疑惑を持つ者などもいたが、大部分の者はこの教えを受け入れ、イエス・キリストを信じたのだった。

アポロは水盤に水を入れて持ってきてもらうと、ニコラスをはじめ、彼ら全員にバプテスマ(洗礼)を施したのであった。

その2日後。この屋敷を出発するために準備をしていたアポロは、ニコラスを呼び寄せると、思いもよらぬ勧めをした。

「ニコラスさん、あなた、私と一緒にアレクサンドリアに行きませんか。そうしてキリスト教をもっと深く学んでみてはどうです」

ニコラスは、思いがけない言葉に驚いて相手を見つめた。

「もしそういう意志がおありなら、あの都までご一緒して、『キリスト教大学』の学長パンタイノスに推薦してあげましょう。この大学にはあらゆる国の若者がキリスト教を学ぶために来ています」

これは願ってもみなかった言葉で、ニコラスは胸をとどろかせてアポロの勧めに従った。「アルキポ。私はしばらく遠くに旅行に行くから、後をよろしく頼むよ」。ニコラスは執事にこう言うと、突然のことなので相手は目を丸くした。

「それはまた・・・お留守はどのくらいになりましょう」「2年間は帰れないと思う。実はね、このアポロ先生がアレクサンドリアの『キリスト教大学』に私を推薦してくださるそうだ。だからこの大学でしばらく学びたいのだよ」

「分かりました。よろしゅうございますよ。少しは異国の空気を吸いなさった方がいい。後のことはご心配なく」。アルキポはそう言った。「施しの日」のプログラムや「子ども劇場」のことが少し心配だったが、アルキポと息子夫婦、スントケなどが中心になってプログラムを進めていくと言ってくれたので、後を彼らに任せてニコラスは全く新しい体験に足を踏み出すことになった。

こうしてその翌日。ニコラスはアポロと共にパタラの港からアレクサンドリア目指して出航した。帆船はなめらかに水面を滑り、海風が心地よかった。

この旅行の間中、ニコラスはアポロから、罪びとである人間を救うために地上に来られた「人となった神様」イエス・キリストの話を詳しく聞くことができた。

「それにしても、なぜ人間というものはこんなに罪深いのでしょう」。ニコラスがため息をついて言うと、アポロは答えた。「それは、人の心が病んでいるからです。惨めで不幸だからです。神様はそんな人間を憐(あわ)れみ、救うために人となってこの地上に来てくださったのですよ」。「その人となられた神――イエス・キリストのご生涯について話してください」

そこでアポロは、ニコラスにイエス・キリストのことを語り始めたが、その時、船を漕ぐ船員の一人がじっと耳を傾けていることに気付き、船の隅々まで聞こえるように声を張り上げて、イエスがヨセフとマリアの間に生まれたこと。マリアは処女であったが聖霊によって身ごもったこと。イエスは30歳になるまでナザレで両親に仕えて過ごされたが、やがて時が満ちて人々の所に来られて12人の使徒を選び、病人を癒やし、絶望した人に福音を語られた後エルサレムに上られたこと――などを話して聞かせた。

「そして、このエルサレムでイエスは弟子の一人に裏切られて十字架につけられたのです。でも――よくお聞きなさい。イエスは十字架の苦しみの中にありながら、『天の父よ、彼らをお赦(ゆる)しください。彼らは何をしているのか分からないのです』と言って人間の罪をとりなされたのですぞ。こうしてイエスは死んで葬られたが3日目によみがえって天に昇られ、今なお、そして世の終わりまで私たちと共にいてくださるのです。これが福音――良きおとずれなのです」

その時、驚くべきことが起きた。船を漕いでいた痩せた船員がやって来ると、アポロの前に膝をついてこう言ったのである。「先生、私はこのようにありがたいお話を聞いたのは初めてです。私もそのイエス様を信じたいと思います」

するとアポロは自ら水を汲んできて彼の額を浸して言った。「テキコよ、父と子の名によって、あなたにバプテスマを授けます」

*

<あとがき>

人間はしばしば思いがけない人物との出会いによって全く思ってもみない方向に人生を転換させることがあります。心に深い悩みを抱えていたニコラスは、ある日、野外劇場の前で説教するアポロの言葉によって救われます。

アポロは集まって来た人々に、神がその栄光を捨てて人となり、われわれのために十字架で死に、永久にその罪から解放してくださったのだと語りました。その時ニコラスは、初めて悟りました。

貧しい人々にパンを与え、宿を貸す行為は、神から祝福されるものであるが、それ自体が人生の目的ではないこと、そして本当の目的は、罪びとである人間を救ってくださったイエス・キリストの愛を知ることであり、その恵みに対する感謝として不幸な隣人への奉仕があるのだ――ということでした。

そして、ニコラスはアポロの勧めにより、伝道者となる決心をし、アレクサンドリアにつくられた神学校へと旅立ちます。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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