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いのちの道 穂森幸一

2025年12月25日17時04分 コラムニスト : 穂森幸一
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あなたは私に、いのちの道を知らせてくださいます。あなたの御前には喜びが満ち、あなたの右には、楽しみがとこしえにあります。(詩篇16篇11節)

難民と移民の問題は、今や世界を揺るがす課題になっています。人道を口実に欧州で大々的に難民の受け入れが実施されてきました。しかしその背後には、人手不足と人口減少を解決する政治的な思惑がありました。

一部の政治家の野放図な難民政策のために、街には路上生活者が大量に出没し、ゴミが散乱し、悪臭が漂い、古い伝統的な欧州の町並みは破壊されてしまったと嘆く人もいます。福祉国家の代表のように取り上げられていたスウェーデンも、難民のために治安が悪くなり、子女が犯罪に巻き込まれ、被害を受けているといわれます。

英国では一部の地域の学校で、移住者の子どもが9割を占めているともいわれます。当然、文化や伝統の継承も難しくなります。また、移住者の増加は国家財政にも大きな負担となります。欧州旅行に行った人が、フランスもドイツも都市部では、昔の良き面影が感じられず、失望したと言っています。

難民や移民の受け入れは決して悪いことではありませんが、財政事情や住民とのあつれき、あるいは文化の継承などを考慮し、定められた枠の中で、計画的に実施していくものではないでしょうか。

日本でも、一部の町で移民者と住民が衝突するというニュースが報じられることはありますが、まだ欧州ほどではないと思います。今のうちに制限を設け、計画的に実施することが必要だと思います。

実は、日本では欧米とは真逆の移住が進行しています。米国のシアトル、ロサンゼルス、ニューヨークといった大都会から、医療従事者やIT技術者、法律家、リタイアした人々などが、家族を伴って日本に移住しようとしています。米国でも何の不自由もなく生活していける人々が、日本を目指しているのです。

その理由の一つは、治安と安全です。シアトルでも銃撃事件が多発し、幼稚園でも銃撃に備えた避難訓練が行われているのです。ある人は、自分の孫がニュースを見ておびえ、夜中にうなされているのを見て、移住を決断したそうです。私たちが当たり前と思っている安心安全が、外国では保証されないのです。

外国人から見ますと、日本では女性が夜でも外を歩けるとか、弾丸を恐れずに生活できるとか、財布を落としたら返ってきたというのは奇跡だというのです。また、道端にゴミが落ちていないとか、電車に乗っても車内が静かだとか、人々が親切だとか、物価が安いなど、私たちから見たら何でもないことが、彼らにとってはすごいことなのです。

ある男性は、膝の痛みに悩まされていたそうですが、米国では受け付けに1週間かかり、診察は1カ月先と言われ、友人の勧めで日本に来たそうです。そうすると、受け付けも診察もその日で終わり、治療も1週間で済んだと喜んでいたそうです。保険が適用できないので現金で支払ったのですが、それでもとても安いと驚いていたそうです。

縄文時代から弥生時代にかけて、シュメール系、ヘブル系の渡来人が日本を訪れていますが、難民として来日した人々は、ほとんどいませんでした。私は、彼らが最初から日本の国造りに参画しようという意図を持って来ていたと見ています。中国大陸を経て、荒ぶる日本海や東シナ海を命懸けで乗り越えてくるわけですから、並大抵の決意ではチャレンジできません。

特に古代イスラエル系ともいわれる秦氏が大和国にもたらしたものは、とてつもなく大きな影響があり、日本最初の産業革命と言ってもいいと思います。土木、養蚕、機織り、酒造、畜産、建築などの技術をもたらします。

稲作は縄文時代からありましたが、もたらされた土木工事によって大規模な水田が造られ、水稲栽培が普及して食料問題が解決します。また、養蚕と機織りにより、女性も稼ぐことができるようになり、地位向上に貢献したのではないでしょうか。稲作と機織りは、古代日本を支える二本柱になりました。

「イネ」という言葉は「いのちの根」から来ているという説があります。食べ物が安定して、心の余裕が生まれ、社会のゆとりになります。アジア、アフリカの開発途上国といわれる子どもたちの写真を見ると、とても素敵な笑顔があり、目が輝いているのが印象に残ります。しかし、飢餓の時は痩せこけて、絶望の目をしています。これらの写真を見比べると、食べ物がいのちの根であることがよく分かります。

古代ヘブル系の人々は、神社の形とか、ユダヤの習慣や行事は後世の人々に伝えたのに、どうしてユダヤ教やキリスト教という宗教を伝えなかったのかという意見もあります。その答えは、今はまだ分かりません。

しかし、瑞穂の国として食料が安定し、機織りによって経済的に潤ったのは間違いありません。人間性とか精神性は、世界のどの国にも恥じないものが受け継がれてきました。宗教形態としてのユダヤ教やキリスト教の痕跡はあまり残されていないかもしれませんが、キリストの福音を接ぎ木する土台は形成されています。

この国の先駆者たちがもたらした「いのちの道」は、今も脈々と続いています。世界をリードする大きな役割が、日本のクリスチャンリーダーには委ねられています。

指導がないことによって民は倒れ、多くの助言者によって救いを得る。(箴言11章14節)

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◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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