東西文明の架け橋がトルコだ。ここはかつて「小アジア」と呼ばれ、使徒パウロが伝道旅行で駆け巡り、ヨハネの黙示録に記された「七つの教会」が存在した場所だ。まさに初代教会の揺りかごであり、キリスト教の歴史において極めて重要な土地である。しかし、現在の霊的状況は、その輝かしい歴史とはあまりにかけ離れている。
トルコ国民の96%以上はイスラム教徒であり、実践的で福音的なクリスチャンは人口の0・01%にも満たないといわれる。この国には「トルコ人であることは、イスラム教徒であること」という強力なナショナリズムが根付いており、キリスト教への改宗は、単なる宗教の変更ではなく「民族への裏切り」と見なされることが多い。改宗者は、家族からの排斥、就職差別、そして、社会的な孤立という高い壁に直面する。
近年の宣教環境は厳しさを増している。政府は治安維持を理由に、長年この地で奉仕してきた外国人宣教師や働き人に対し、事実上の追放(入国禁止措置)を相次いで行っている。多くの霊的な父親・母親を失った現地の小さな教会は、自立を迫られるという試練の時を迎えているのだ。
しかし、神の御業が止まったわけではない。外国人宣教師の退出は、結果としてトルコ人信徒たちが自ら立ち上がり、リーダーシップを担う契機ともなっている。
また、トルコは世界最大級の難民受け入れ国でもあり、シリア、イラク、アフガニスタン、そしてイランから数百万人が逃れてきている。特にイラン人難民の間では、驚くべきリバイバルが起きており、彼らの熱心な信仰が、冷え切ったトルコの教会に聖霊の火を点火しているという報告もある。
さらに、2023年の大地震の記憶は、人々の心にまだ生々しく残っている。あの時、がれきの中で懸命に支援活動を行ったキリスト者たちの姿は、多くのトルコ人の心に「キリストの愛」を刻み込んだ。彼らは、物心の必要に加えて、祈りや福音文書などの霊的必要も提供した。絶望のがれきの中から、今、静かに希望の芽が芽生えつつあるのだ。
トルコのために祈ろう。社会的な圧力の中で信仰を守る少数のトルコ人信徒たちが、聖霊の力によって大胆に福音を語れるように。外国人宣教師が去った後の教会に、力ある現地の指導者が起こされ、かつてパウロが歩いたこの地に、再び福音が力強く響き渡り、多くの人々が「歴史上の宗教」ではなく「生ける救い主」に出会うことができるように祈っていただきたい。
■トルコの宗教人口
イスラム 96・6%
プロテスタント 0・03%
カトリック 0・06%
正教 0・03%
ユダヤ教 0・02%
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