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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(10)文明の都アレクサンドリア

2025年1月8日17時31分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

アレクサンドリアは、紀元前333年にアレキサンダー大王がエジプト征服後に建てた都で、エジプト人の他にローマ人、ユダヤ人、エチオピア人、クレネ人、その他多くの民族が住んでいた。そしてここは、ギリシャ文化が絢爛(けんらん)と栄えた文化都市であり、政治や工業、通商などの中心地であった。

この町の名をもう一つ有名にしたのは、中心地に数十万巻の蔵書が収められた図書館があることで、この地で旧約聖書が70人の学者によってヘブル語からギリシャ語に訳され、その書は『セプチュアギンタ』と呼ばれていた。アポロは「キリスト教大学」の学長パンタイノスにニコラスを紹介し、この大学に籍を置くことができるように手続きを取ってくれてから、自分はギリシャに向かって旅立っていった。

「いろいろと貴重なお話を伺うことができて幸いでした。ありがとうございます」。ニコラスが滑り出した船に向かって手を振りながら言うと、アポロも手を上げて答えた。「神様の御心であれば、もう一度私たちは会うことができるでしょう」

しかしながら、後にギリシャから小アジアをそっくりのみ込む「キリスト教徒迫害」という津波にその人生を翻弄され、二人はこの世では再び会うことができなかった。

さて、アポロと別れたニコラスは、この町に落ち着くと、自費で手頃な家を借りて住み、「キリスト教大学」に入学した。そしてこの文明の町に召喚された有名な学長によって哲学や神学を学び、高い知識を身に付けていった。また、他の学問を教える教授たちからもさまざまな知識を伝えられ、心から幸せな思いになった。

彼はまた、授業のないときは、市の中心街にある図書館に行き、あっちの巻き物、こっちの巻き物と手に取って読み、広く深く知識を身に付けていった。ここで彼は素晴らしい書物と出会った。それは、『洗礼者ヨハネの説教集』というもので、それに目を通したとき、ニコラスは伝道者アポロが語ったイエス・キリストこそ旧約の預言で語られている全人類の救世主であることを知ったのだった。

「キリスト教大学」の学長パンタイノスは、豊富な知識を身に付けているだけでなく、その人格においても優れ、人間のみならず、全ての生き物に対して憐(あわ)れみ深く、寛容で町中の人々から尊敬されていた。彼は大学の後ろの広い空き地にテントを張り、そこに親から捨てられたり、死に別れたりした孤児や、奴隷に売られようとしていたのを買い戻した少年、少女たちを引き取って、学生たちにその余暇を用いて世話をさせていた。

また、主人の虐待に耐えかねて逃亡してきた奴隷や行き場のないやもめを宿泊させ、食物や衣類を与えた。この宿舎での奉仕は、この大学から巣立っていく未来の聖職者たちにとってまたとない修業の場となっていたのである。

ニコラスも2年目に、実習としてこの宿舎での奉仕をすることになった。テントの入り口に掲げられた看板には、パンタイノス自らの筆で聖句が記されていたが、それは亡き養父ガイオから家宝として譲られた巻き物に記されていたあの聖句と同じものだったので、思わずニコラスの胸は高鳴った。

父である神の御前できよく汚れのない宗教とは、孤児ややもめたちが困っているときに世話をし、この世の汚れに染まらぬよう自分を守ることです。(ヤコブの手紙1:27)

兄弟か姉妹に着る物がなく、毎日の食べ物にも事欠いているようなときに、あなたがたのうちのだれかが、その人たちに、「安心して行きなさい。温まりなさい。満腹になるまで食べなさい」と言っても、からだに必要な物を与えなければ、何の役に立つでしょう。同じように、信仰も行いが伴わないなら、それだけでは死んだものです。(ヤコブの手紙2:15〜17)

気が付くと、すぐ後ろに学長のパンタイノスが立っていた。彼は言った。「私たち伝道者に求められていることはただ一つだけです。言葉と行いによって、最も小さな兄弟の一人に仕えること――これが主の御心です」

その時ニコラスは、初めてイエス・キリストの救いを信じる信仰と、隣人へ差し伸べられる愛の行為とが、神の御心のうちに表裏一体とされていることを深く悟ったのであった。

*

<あとがき>

古代エジプトの首都であるアレクサンドリアは、ギリシャ文化が栄え、地中海貿易が盛んに行われた一大商業都市でした。この地に既に図書館と共に「キリスト教大学(別名教理学校)」が作られ、伝道者の育成が行われていたことは驚くべきことです。

ニコラスは図らずも、伝道者アポロの導きでこの「キリスト教大学」に入学しました。この大学の学長パンタイノスは、人格的に大変優れており、町の人々にも慕われていたといわれています。

彼は伝道者となるために各地からやって来た学生に、ただ講壇の上から聖書の教理を語るのではなく、後ろの空き地にテントを張り、そこに孤児や寡婦、身寄りのない者や虐待を逃れてきた者などを保護し、学生たちにキリストが語られた通りの愛の実践をさせたのです。

ここに来て初めてニコラスは、イエス・キリストの救いを語ることと、不幸な隣人に愛の奉仕をする行為とが表裏一体をなしていることを教えられたのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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