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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(8)一条の光

2024年12月11日21時40分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

ニコラスは深い悲しみを胸のうちにしまい込み、あえて快活な様子で「施しの日」の準備や、「子ども劇場」で上演する寸劇の台本作りに全力を注いでいた。

(金と娯楽で本当に苦しんでいる人間が救えるのかよ!)あの不幸なアデオダートスの父親の血を吐くような叫びが、まだ耳から離れずにいた。

飢えた人々にパンを与え、生活困窮者に宿を貸し、生活に必要な金を与えること――そうした施しは、養父ガイオが言ったように「隣人愛の実践」として神に祝福されることではないか。

彼は今なおそれを信じていた。しかしながらなぜあの時、アデオダートスに与えた一枚の金貨に悪魔が入り込み、一家を不幸のどん底に突き落としたのだろう。ここのところがどうしてもニコラスには分からなかった。彼は昼となく夜となく苦しみ、問題の解決を求めたが、答えはどこにもなかった。

春が去り、夏がやって来た。そんなある日のこと。彼が市場に出かけ、その帰りに公衆浴場の脇からアルテミス神殿に続く道を歩いていると、近くの野外劇場から、力強く語りかけてくる男の声が響き渡った。

「パタラの皆さん。私は今日あなたがたに希望の言葉を届けるために海を越えてやって来ました。私たち人間は、生まれながらに罪という病気を持っています。この罪のために人は悩んだり、苦しんだり、他人を憎んだりしているのです」

「しかし、罪を知らない方が、私たちを救うためにこの世にくだり、十字架の上でその罪を精算してくださいました。この方――イエス・キリストを信じなさい。そうすれば、救われます」

気が付くと、ニコラスは劇場の石段を下まで降り、その男の前に歩み寄っていた。彼は背が低く、ひげ面で何とも不細工な顔立ちをしていたが、その目はキラキラと輝き、温かさがあふれ出していた。その周囲を5、6人の人が取り囲んで、何やら質問している。男はニコラスに目を留めると、首をかしげて微笑した。

「お話を聞いているうちに、何だか私の背から重い荷物が取り除かれたような気がします」。ニコラスは言った。そして相手の名前を尋ねた。「私はアレクサンドリア生まれのギリシャ人でアポロという伝道者です」。相手は答えた。ニコラスは、この男からもっと話を聞きたくなったので、郷里に帰ろうとしている彼を強いて引き止め、屋敷に泊まってもらうことにした。

その夜、ニコラスはトロピモにありったけの材料を使って料理させ、この伝道者をもてなした。「ご両親は、不幸にして亡くなられたそうですが、その善行は小アジアの町々から海を越えたアレクサンドリアにまで聞こえていましたよ」。アポロは言った。

「本当にお二人は情け深く、貧しい者や生活困窮者、そして孤児や身寄りのない者たちに親切にしておやりになった。これは何よりも神様の御心にかなったことです」

アポロはエジプトのアレクサンドリアで生まれ育った。そこは、彼の一族である離散したユダヤ人(ディアスポラ)が住みついていた地で、彼は成人すると地元の大学で神学や聖書を学んだ。

中でもセプチュアギンタ(七十人訳聖書)は彼の心をとらえ、熱心に学ぶうちに旧約聖書に書かれた預言がイエス・キリストの贖(あがな)いと一致することを知り、既に世界に広まりつつあったキリスト教を信じるようになった。

そして、パンタイノスという人が設立した「キリスト教大学」に入り、さらに深く聖書を学ぶうちに、罪びとである人間を救うために、神様が人となり、十字架について万人を罪から解放してくださったことを信じ、自ら伝道者となってこの福音を地の果てまで伝えて歩こうと決意したのである。

「実は亡くなった養父母も、コロサイの教会のクリスチャンたちと親交があり、その教えを信じていたようです」。ニコラスはこう言って、大切にしている『ヤコブの手紙』の写本をアポロに見せた。

「これは今から200年ほど前に、義人ヤコブと呼ばれたクリスチャンが各地に散らされている信徒たちを励ますために書いた手紙の写本です。あなたの父上は教会に所属しておられなかったが立派なクリスチャンです」。アポロは言うのだった。

*

<あとがき>

アデオダートス一家の破滅は、ニコラスの心に癒やし難い傷を与え、二度と立ち上がる力もないほどでした。貧困のどん底にある一家のために良かれと思って尽くしたことがあだになり、とんでもない悲劇を生むことになったのです。

そんな時、アポロという伝道者がこの町にやって来ました。そして人々を集めて語りかけます。人間は生まれながらに罪びとであること、そしてそんな人間を憐(あわ)れみ、罪から解放し、永遠に生きさせるためにひとり子を世に遣わされたこと――などでした。

ニコラスは、彼からもっと話を聞きたいので、自宅に招き、もてなしながら語り合いました。アポロはアレクサンドリア生まれで、その町にできた神学校に通い、伝道者となり、福音を伝えて各地を旅していました。

ニコラスは、亡き養父が家宝にしていた『ヤコブの手紙』をこの伝道者に見せたところ、それは100年前に義人ヤコブと呼ばれたクリスチャンが書いたものだということでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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