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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(15)不幸な子どもへのとりなし

2025年3月19日20時45分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

こうして2カ月ほどたつうちに、このあたりに住む貧しい家の子どもたちは、すっかりニコラスになつき、町へ出て悪いことをしたり、友達をいじめたりする子は一人もいなくなった。そして、初めはニコラスのことを奇異な目で見ていた町の人々も次第にその心を開き、信頼してニコラスに自分の子どもを預けるようになったのである。

そんなある晩のことだった。彼の耳に細い泣き声が伝わってきた。子どもの声だ。それがだんだん大きくなってきて、彼は全身を揺さぶられるような思いになった。

(ああ、あの子の声だ!)ニコラスは飛び起きて頭を抱えた。救ってやれなかったあの子。父親のために奴隷に売られたアデオダートスの声だった。すると、その声に混じって世界中の不幸な子どもたちの嘆き、苦しみ、助けを求める声が聞こえた。

太陽の光を浴びて元気に駆け回るこのミラの町の子どもを見ているうちに、ついニコラスはあのアデオダートスのように魂を引き裂かれるような思いをしている子どもがいることを忘れてしまっていたのだ。

(そうだ。不幸な子どものためにとりなしの祈りをささげよう)彼は決意した。

早朝4時。ニコラスは身支度をすると、すぐ近くの丘の中腹にあるミラの教会堂に向かった。まだあたりは薄暗い。早朝にもかかわらず、その門が大きく開いていたので、何かに誘われるように、彼は中に足を踏み入れた。そして、ばったりと石だたみに膝をつくと、両手を上に差し上げて祈り始めた。

「憐(あわ)れみ深い神様。全ての子どもは幸せでなければなりません。世界の片隅にたとえ一人でも不幸に泣く子がいることは、あなたの御心ではありません。どうか、大人から虐待されている子どもをお助けください。貧しいために一切れのパンも口にできない子どもをお救いください。全ての子たちがあなたの恵みの翼のともに保護され、その目から光が、その口から笑いが絶えることがありませんように」

ところで、このミラの教会は大きな悩みを抱えていた。ここの司教が亡くなって以来、もう半年近くたつのに司教の座が空白になっていたのである。(大きな教会にはエピスコポスと呼ばれる司教が置かれており、これは監督と同じ意味を持つ教会指導者であった)

これという人材が見つからず、長老たちは頭を悩ましていた。司教の任務は大変な重労働と重い責任を伴うもので、これに耐えられるような者はすぐに見つかるものではなかった。

司教の任務は、次のようなものだった。日曜日には集まった人々の前で説教をし、聖餐式(キリストの贖[あがな]いを記念とするためにパンとぶどう酒を分かち合うこと)を行い、人々の悩みや告白を聞き、助言や忠告を与え、さらに信徒の家を訪問して家族に祝福を与えるというのが主な任務であった。その他に、どこの教会でも負わなくてはならない義務として、貧しい人々の生活を助けるために小麦を分配することや、社会福祉のために、孤児になった子たちを引き取って保護するという役割をも負っていたのだった。

長老会は、これと思う人物を推薦するのだが、皆何かと理由をつけて辞退し、誰も引き受ける者がなかった。そこでついに、長老の一人であるシメオンが、全信徒を集めて「祈り会」を開くことにした。

「皆さん、どうかこのミラの教会に司教が与えられるよう祈ってください」。彼はこのように呼びかけ、一同と共に夜を徹して祈り続けたのだった。「祈り会」は3日続けられたが、その最終日のことである。信徒の一人で羊飼いを職業にしているアペレという若者が駆け込んできた。

「先生がた、聞いてください。私は丘の上で羊の世話をしているうちに、疲れて眠ってしまいました。すると、不思議な夢を見たのです。体つきのがっしりした男の人が、後ろにたくさんの子どもを従えて立っていました。そしてその時、天から声があったのです。『明日の早朝、まだ薄暗い時に教会に来て祈りをささげる人に、司教の座を与えなさい』と」

「おお、それはきっと神様のお告げに違いありません」。長老のシメオンは狂喜して言った。「明日の朝、暗いうちから教会の門を開けておきましょう」。「私らの切なる願いが聞き届けられたのですね」。別の長老ユストも言った。「神様は皆の心をよく知っておられるのです」

そして、彼らはその夜、翌朝のために教会の門を開けたままにしておいた。

*

<あとがき>

聖ニコラスの生涯において、子どもは重要なパートナーでした。子どもなくして彼の人生は考えられないでしょう。彼は伝道者となってミラに赴任してからも、常に子どもたちと関わり、彼らの魂をイエス・キリストに導くために労を惜しみませんでした。

そんなある時、彼の耳に子どもが泣く声が伝わってきました。そして彼は、この世に存在する全ての不幸な家庭の子どものためにとりなしの祈りをささげようと、早朝ミラの教会の門の前にひざまずきました。

実はこの時、不思議な神様の業が始められていたのです。このミラの教会では、前の司祭が亡くなって以来、司教の座に就く人がおらず、困り果てた末、長老たちが「祈り会」を開き、司教を送ってくださいと祈っていたのです。

そして運命の糸にたぐり寄せられるように、未来の司教となるべきニコラスが、不幸な子どもたちへのとりなしのためにこの教会にやって来たのでした。神様のご計画は実に、計り知れないものがあります。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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