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聖ニコラスの生涯

サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(12)新しい人生への出発

2025年2月5日20時27分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(1)孤児ニコラス+
聖ニコラスの肖像画(画:ヤロスラフ・チェルマーク)

こうして2年間「キリスト教大学」で学んだニコラスは、教課の全課程を終了し、パンタイノスから按手礼(伝道者を送り出すとき、頭に手を置いて祝福する儀式)を受けた後、教会の監督に任命された。遣わされたのは、彼の故郷パタラから東に80キロばかり行ったミラという港町だった。

そこに住む人々は、漁師や船乗り、そして網を繕って生計を立てている者たちと、丘の向こうで農業を営む者たちに分かれていた。いずれもルキア地方で最も貧しい区域だった。既にニコラスはその人生を貧しい人々にささげる決意をしていたので、このような地に任命を受けたのはうれしかった。

「あなたをミラに遣わします。最も貧しい人々の友となり、彼らを励まし、絶望している人々の心に希望の灯をともしてあげられますように」。パンタイノスはこう言って、ニコラスを送り出した。

彼は任地に赴く前に、ひとたびパタラの屋敷に戻ることにした。「ニコラス様! 2年の間見ないうちに、すっかり立派になられて。お帰りなさいまし」。アルキポは飛び出してきて、彼の手を握りしめた。「留守の間、ありがとう。苦労をかけたね」。ニコラスは彼を抱きしめ、労をねぎらった。

ニコラスが帰ったというので、ルキオ夫妻やスントケ、トロピモ、そして屋敷の使用人たちは大喜びで迎えに出てきた。「お留守が2年なのにすっかり変わってしまわれましたね。立派におなりです」。スントケは誇らしげに彼を眺めて言った。

「もしかしたら、この口ひげかもしれないな」。ニコラスは口ひげをなでながら笑った。「出かける前は生えていなかったけれど、アレクサンドリアで修業をするうちに、こんなに長くなってしまった」。一同はどっと笑った。そして、その晩はニコラスの帰還を祝って宴会が開かれた。

食事が終わり、食後の菓子が配られるころ、ニコラスはおもむろに話し出した。「私は養父母から受け継いだ資産、それから自分名義の預金、その他、屋敷にある全ての財産を、アルキポ――あなたに譲ろうと思います。なぜなら、ニコラスはアレクサンドリの『キリスト教大学』で学び、伝道者となったので、もう自分自身の財産を持てなくなったのです。全てをささげて、主イエス・キリストに従い、隣町のミラに福音を伝えに行くことになりました」

思いがけない言葉に、屋敷の者たちはびっくり仰天し、言葉も出なかった。それからニコラスは、台帳を持ってこさせ、そこに記載された財産を確認すると、譲渡書を作成し、そこに自分の署名をしてから、「家督の権利、および財産をアルキポに譲る」と書き足した。

「これは一体どういうことでございますか。私らはもう年寄りです。このお屋敷や財産を頂くなんて、そんな大それたことを」。屋敷を守り、ひたすら主人の帰りを待ちわびていたアルキポは、泣き出してしまった。

ニコラスは追加の台帳を作り、財産の半分をルキオ夫妻に分け与えること、また彼らがアルキポの職務の一部を補い、これを助けるようにと指示した。こうすることによって、一般的に起こりがちな遺産相続を巡るトラブルを避けたのである。

ニコラスが任地に旅立つ日が迫ってきた。彼は出発を前にして、一つだけ気がかりなことがあった。それは、以前伝道者アポロがこの屋敷に来たとき、屋敷の人たちの大方がバプテスマを受け、クリスチャンとなったので、この屋敷の中で礼拝ができるように「家の教会」の監督が与えられることを願っていたのだった。

さて、いよいよパタラを後にしようとニコラスが旅支度をしていると、コロサイ教会に古くから在籍し、長老の役割を委ねられているヤソンという人が訪ねてきた。

「実は、私はかつてガイオさんと親しくしていた者ですが、先日亡くなられたと伺い、驚くとともに皆様に哀悼の言葉を申し上げたくて参りました」。そこでニコラスは、このパタラの港町にできたばかりの「家の教会」を牧してもらえないかという切なる願いを彼に伝えた。

ヤソンははじめ辞退したが、あまりにもニコラスが熱心に頼むので、ついに承諾してここの監督を引き受けたのだった。

*

<あとがき>

ニコラスは「キリスト教大学」における学びを終え、いよいよミラの教会の監督に任命されて任地に旅立つことになりました。その前に彼は、なつかしい郷里のパタラに帰り、アルキポやルキオ夫妻、料理人トロピモや家政婦のスントケから大歓迎を受けます。

彼は、自分が伝道者となった旨を皆に告げてから、アルキポに家督権を譲り、莫大(ばくだい)な財産を全て彼の手に委ねました。一同は、ニコラスとの別れを悲しみますが、彼の決断を重んじ、心から祝福して送り出すのでした。

翌日、彼が出発の準備をしていると、コロサイ教会の長老であるヤソンという人が訪ねてきました。親しくしていたガイオが不慮の事故で亡くなったことを聞いて哀悼の意を表するために来たのです。

ニコラスは彼と語り合い、このパタラには一つも教会がないので、ここに留まって教会をつくり、皆を導いてほしいと懇願し、ヤソンは承諾したのでした。神様は必要なとき、必要なものを備えてくださるのです。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)刊行。また、猫のファンタジーを書き始め、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。20年『ジーザス ラブズ ミー 日本を愛したJ・ヘボンの生涯』(一粒社)刊行。現在もキリスト教書、伝記、ファンタジーの分野で執筆を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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