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ジョージ・フロイド事件、警官に有罪評決 歓声に湧くミネアポリスと残された課題(1)

2021年4月25日06時26分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:ジョージ・フロイド人種差別差別ブラック・ライブズ・マター(BLM)マーティン・ルーサー・キング
ジョージ・フロイド+
「ジョージ・フロイドさんのために正義を」という一文が添えられたフロイドさんの似顔絵を持って抗議をするブラック・ライブズ・マター(BLM)運動の参加者=2020年6月10日、米ニューヨークで(写真:CHOONGKY / Shutterstock)

外出を禁止したり、建物の使用を制限したりと、新型コロナウイルスの感染対策に躍起になっている最中、米国では昨年5月以降、「そんなこたぁ関係ねぇ!」とばかり、人々が集まり、声高にある一人の男性の名を連呼するようになった。その名は「ジョージ・フロイド」。ミネソタ州ミネアポリスに在住していたアフリカ系米国人(黒人)の46歳男性である。経歴などは、ネット(ウィキペディア「ジョージ・フロイドの死」など参照)にさまざまなものが掲載されているが、中には真偽が定かでないものもあるだろう。

フロイド氏は偽札使用容疑で警官に声を掛けられ、その後の逮捕に「抵抗」した(と警察は発表したが、それを否定する防犯カメラの動画なども公開されている)ことで地面に組み伏せられてしまう。当時、現場には警官4人が居合わせたとされ、その1人、デレク・ショービン警官は、フロイド氏に手錠をかけて抑え込んだ後、首に膝を乗せ、8分間余り身動きできない状態にしたという。結果、フロイド氏は頸部(けいぶ)圧迫によって窒息死してしまった。これがいわゆる「ジョージ・フロイド事件」である。近年、ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大切)運動が盛り上がりを見せつつあったため、この事件は人々の大きな関心の的となり、全米各地に波及していった。

この事件の評決が今月20日(日本時間21日)にミネアポリスの州地裁で言い渡された。フロイド氏を押さえ付け、「息ができない」という声を聞きながらも拘束を解かなかったショービン氏に対し、第2級殺人、第3級殺人、第2級過失致死、それぞれの罪状で有罪が言い渡された(量刑は6月に確定する)。ちなみにこのうち第2級殺人は、意図した殺害、つまり殺意を認めるものである。この意味は大きい。今後、警官が被疑者をあやめてしまった場合、前例として第二級殺人が適用される可能性が拡大したことを意味するからである。

この評決を受け、ミネアポリスのみならず、全米各地で歓喜の声が上がり、特に黒人たちは「これでやっと息ができる」などと、フロイド氏の言葉を引用しながら自らの感情を爆発させ、互いに抱き合って喜びを分かち合っているようだ。

リベラルな人権派はこの評決を手放しで喜び、ジョー・バイデン米大統領も「人種的な正義の実現に向けた非常に大きな一歩になる」との認識を示した。確かに、今までの歴史をひもとくなら、警官による黒人への過剰ともいえる暴力が法的に有罪となるケースは非常にまれであった。そのことを踏まえるなら、米国司法の方向性がこれで変わるという見方もできるだろう。

しかし、物事はそれほど単純な構図ではないようだ。まるでハリウッド映画のカタルシス満載のエンディングのような評決が言い渡されたのは事実だが、そこに残された「課題」にもスポットが当てられなければならないだろう。以下、今後の「課題」として見極めていかなければならない幾つかの点を、2回にわたり取り上げたい。

1. 司法は「黒人の命は大切」を保証するものではない

米国は法治国家であるため、法的に権利が保証され、必要な規制が行われることは大切である。しかし、1950年代半ばから70年代にかけての「公民権運動」を見ても明らかだが、法整備だけでは限界がある。マーティン・ルーサー・キング牧師が命と引き換えに成立させた「公民権法」も、それを待ち望んでいた人々に対して、その恩恵に浴したのがごく限られた人々であったことから、さまざまな亜種問題を生み出していったことは、その後の歴史を見れば明らかであろう。

大きな期待を寄せ、そのために犠牲を払った者たちが、報酬といえる恩恵にあずかれないとき、反対のベクトルに大きく揺れるということはあり得る。公民権運動では、それがブラックパワー運動を生み出し、ブラックパンサー党などの過激組織が跋扈(ばっこ)する時代を作り上げたことは否定できない。また、黒人同士の間に格差が生まれたことで、「白人という共通の敵」を前にして一致団結できていた集団内に亀裂が生じたことも事実である。やがてキング牧師に代表されるハイソな「勝ち組」と、その恩恵にあずかれなかった黒人低所得者層などの「負け組」という構図は、今なお根強く米国に残存し、「分断社会」の一要因となっている。

後者は、公民権運動を失敗と見なすようになり、ひいてはキング牧師ら公民権運動指導者らの根幹をなすキリスト教への疑義をも高めていく。公民権運動が残した業績は確かに偉大である。しかし、法的整備のみでは限界があることを示したのも、公民権運動の暗部である。BLM(黒人の命も大切)は司法のみでは決して担保されないし、その完全な保証など「法的に」望むべくもないだろう。

今回の評決が、今後の司法判断に影響を与えるという意味では大いに歓迎されることだろう。しかしそれだけでは対立が新たに激化したり、生まれつつある溝がさらに深まったりする可能性もある。このことは押さえておくべきであろう。

後編へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:ジョージ・フロイド人種差別差別ブラック・ライブズ・マター(BLM)マーティン・ルーサー・キング
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