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私にとっての「キリスト教映画」とは? 映画「佐々木、イン、マイマイン」「滑走路」から考察する

2020年12月6日17時10分 執筆者 : 青木保憲
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映画「佐々木、イン、マイマイン」+
映画「佐々木、イン、マイマイン」。11月27日(金)から新宿武蔵野館ほかで全国公開。©「佐々木、イン、マイマイン」

2020年の「新語・流行語大賞」が決まった。「3密」。ノミネートされた言葉の多くがコロナ関連であったことから、容易に想像がつく大賞である。おそらく「今年の漢字」もこのあたりになるのではないか、と勝手に想像している。

今年は、コロナ禍で私たちの生活にも大きな変化、影響があった一年となったが、中でも映画館のラインナップはその最たるもの(と映画関係者は思っているだろう)。ハリウッドのブロックバスター的超大作が軒並み上映延期となり、かつて日本で公開されたアニメや懐かしい洋画がリバイバル上映され、スクリーンを陣取っている。

一方で、そんな人々の鬱屈とした気持ちの反動からか、「鬼滅の刃」がものすごい勢いで動員数を伸ばし続けており、間もなく日本の歴代興行収入トップの「千と千尋の神隠し」を越えるヒットとなろうとしている。

この両極端な現象の狭間にあって、小粒ながら力作である日本映画が注目を集め始めている。コロナがなければ単館上映でひっそりと公開され、DVDへすぐに移行してしまうか、まったく顧みられないまま終わってしまっていたかもしれない。そういう意味では、日本映画にとってこの事態は、いわゆる「代替わり」の絶好の機会ともいえる。

そんな中、先日期せずして同じようなテーマを扱った二作を鑑賞した。内山拓也監督の「佐々木、イン、マイマイン」(以下「佐々木」と表記)と、大庭功睦(おおば・のりちか)監督の「滑走路」である。大内監督はこれが初の劇場長編映画であり、大庭監督はこれが初の商業映画である。

映画「佐々木、イン、マイマイン」
©「佐々木、イン、マイマイン」

「佐々木」は、20代後半に差し掛かった「大人になり切れない若者」の物語である。本作の脚本を手掛け、佐々木役で出演する俳優、細川岳の半生がベースになっており、実際に彼の高校時代の友人(名前は佐々木ではないが・・・)とのエピソードが物語の核となっている。佐々木は、運動も勉強もからっきしなのに負けん気だけは人一倍。そして自らを鼓舞するように、周りに「佐々木コールやってくれ!」とせがみ、はやし立てる仲間が数人集まると、いきなり服を脱ぎ始めるような破天荒な性格である。

そんな高校時代の日常を懐かしく思う映画の主人公、石井悠二は、高校卒業後に東京に出て来て、売れない役者をやり続けている。彼には別れた彼女がいるが、別れているにもかかわらず、同棲をやめようとしない。生活費のほとんどは日雇いアルバイトで稼がざるを得ず、まったく将来が見えない。

中途半端な彼の人生に、振り返ると佐々木が常にいた。そんな彼の過去と現在を行き来する物語である。ラストにとんでもない展開が待っていて、そこが観る者の心を熱くさせるのであろう。不覚にも私も涙してしまった。

映画「佐々木、イン、マイマイン」予告編

一方、「滑走路」は30代前半で命を絶った歌人、萩原慎一郎の『歌集 滑走路』を基にして作られたオリジナルストーリー。タイトルとなっている「滑走路」の意味が分かるラストまで、3人の物語が紡がれていく。そこには、非正規雇用の実態、女性の社会進出、そしていじめの問題が複雑に絡み合う。一見まったく無関係な話が三者三様に展開するが、実はそこに大きな関連があったということが後半に分かる。一種のミステリー仕立てで物語が展開する。時間軸が微妙にずれていることが絵的に説明されるので、決して難解な映画ではない。

しかし、現実社会の矛盾や悲しい現実をまざまざと見せ付けられる展開に、心にずしりと響く社会派ドラマであることは変わりない。後半のいかにも映画的な展開は、少々マンガチックであるが、こういった要素が入ってそこはかとない希望が語られなければ、とても最後まで観ていられなかったであろう。

映画「滑走路」予告編

ストーリーの詳細は実際に劇場で確かめてもらうとして、これら二作品の「物語」に共通しているのは、人間の「過去」はいかに「現在」に影響を与えるか、ということである。特に「滑走路」は、そのような「過去の傷」に今も悩まされ続ける人々の苦悩と煩悶(はんもん)の足跡である。おそらくこのあたりに、志半ばで夭逝(ようせい)した萩原慎一郎のリアリティーがあるのだろう。そして「佐々木」においても、一見「明るく懐かしい高校時代」のように見えて、実はその所々で「抜け出せないどうしようもなさ」が影を落としている。

これら二作品は、決して「キリスト教映画」ではない。キリスト教的要素は皆無といっていいし、製作者側もそんなことを考えて作品を仕上げていないだろう。しかしだからこそ、鑑賞者に響く「福音」を伝えることができるのではないだろうか。私にはそう思わせられる映画であった。なぜなら、これらの作品にはこの世の現実を生きる人々の息遣い、葛藤がリアリティーあふれる演出によって醸し出されているからである。

映画「滑走路」
映画「滑走路」。11月20日(金)から全国ロードショー。©2020「滑走路」製作委員会

とても素晴らしい人生を歩み、難しい決断をした「聖人」のような人々を紹介するというストレートなやり方で福音を伝える映画が、従来は「キリスト教映画」と見なされてきた。しかしそこで欠落しているのは、「どうやって」その難しい決断をすることができるのか、という視点である。もちろんそこに信仰が必要である、というのは言うは易く行うは難しである。現実には、そんな英雄的な行動は取れない心弱き存在が私たちである。あまりに「清く正しい生き方」を示されても、「自分は到底そこにはたどり着けない」と思ってしまうのは、決して私だけではないだろう。一言で言うと、現代日本人にはそこにリアリティーを感じられないのである。

それよりもむしろ、挫折や中途半端な生き方にこそ、人はリアリティーを感じる。その「やりきれなさ」や「どうしようもなさ」を感じることで。

自らを見つめ直す機会こそ、実は「最も福音に近い位置」に自分を置くことになるのではないだろうか。そういった意味で、そういう思いにさせられる映画は、私にとっての「キリスト教映画」となる。

映画「滑走路」
©2020「滑走路」製作委員会

例えば、今回取り上げた二作品で描かれているのは、共に「過去に囚われた生き方」にもがき苦しむ姿である。その主人公の姿に涙することができるとしたら、その人は自ら何かを求め出すだろう。そして隣にクリスチャンの友人がいるなら、おそらく尋ねるだろう。「あなたはこういった気持にならないの?なったらどうするの?」と。ここから先は言わなくてもいいだろう。後は私たちが慣れ親しんだやり方で、丁寧に向き合っていけばいい。

今回取り上げた二作品は、まさにそんな機運を感じさせる秀作であった。

■ 映画「佐々木、イン、マイマイン」公式サイト
■ 映画「滑走路」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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