Skip to main content
2025年6月30日09時21分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

善悪の戦いを骨太で見事な冒険活劇に!「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」

2020年10月25日22時49分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
善悪の戦いを骨太で見事な冒険活劇に!「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」+
©吾峠呼世晴 / 集英社・アニプレックス・ufotable

公開からわずか3日で340万人以上が劇場に足を運び、興行収入の新記録(3日で46億円超)を達成した大ヒット作、それが「劇場版『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』無限列車編」(外崎春雄監督)である。全国403館で公開された本作は、TOHOシネマズ新宿では1日に11スクリーンで計42回も上映されるほどの盛況ぶり。限定グッズ売り場にできた長蛇の列は途切れることなく、入場者に配布されたコミック本は高値でネットオークションにかけられている。

ここまで大勢の人に受け入れられたのはなぜか。これをキリスト教の牧師として分析しないわけにはいかないだろう。いやしくも大衆伝道を最優先事項に掲げている福音派牧師としては、決して捨てて置けない事態、避けては通れない作品である。

物語の世界構造は至極単純。太陽の光のみが唯一の弱点である「鬼」と、彼らを退治するために鍛え上げられた人間の集団「鬼殺隊」との死闘が柱となっている。時代は大正時代。鬼たちは、首を切られなければ死ぬことはなく、たとえ肉体の一部を破損しても程なく再生してしまう。だから鬼殺隊は凄まじい鍛錬を積み、技を磨き、一撃必殺で鬼の首を狙わなければならない。要は、善(鬼殺隊)と悪(鬼)とのガチンコ勝負である。

原作漫画の中でも特に人気のあるエピソードを劇場化した本作は、「責任感」をめぐる物語となっている。前半は、シリーズ全体の主人公である竈門炭治郎(かまど・たんじろう)とその仲間たちが活躍する話である。列車を乗っ取り、乗客を人質(と言っても、鬼が食べるための食料!)にして挑んでくる鬼と、鬼殺隊の一員となった主人公たちの戦いが描かれていく。最後は「友情・努力・勝利」という「少年ジャンプ」漫画の三大原則に則り、見事に鬼を倒す。だが、ここからが本作の本当のクライマックスの始まりとなる。

後半は、主人公たちの先輩格である煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)の物語となっていく。突如現れた鬼のナンバー3相手に、文字通りの死闘を挑んでいくことになる。そして炭治郎たちは、彼らの高レベルな戦いをただ眺めることしかできないのである。

善悪の戦いを骨太で見事な冒険活劇に!「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」
©吾峠呼世晴 / 集英社・アニプレックス・ufotable

この戦いは、圧倒的に人間側が不利である。なぜなら、鬼は何人殺そうとお構いなしだが、鬼殺隊のメンバーは乗客から被害を一人も出してはならない、という縛りが存在する。その上で鬼を倒さなければならないのだから。この縛りは、物語全体を通して人間たちを常に不利な状況に陥らせる。鬼はいくら手や足を切られてもすぐに再生する。しかし人間は、四肢を一度でも食いちぎられるとそうはいかない。

このことを、猗窩座(あかざ)と名乗るナンバー3の鬼は、杏寿郎に語り掛ける。「人間なんてやめろ。俺と同じ鬼になれ。そうしたら、もっと戦える。けがしてもすぐに再生できる」と。その通りである。どんなに傷を負ってもすぐに回復できるなら、どんな無茶な技を繰り出しても傷つくことを気にする必要はない。ダメだったら何度でも回復してやり直せばいいのだから。それはまるで、何度も回復できるシューティングゲームの主人公のようなものである。

だが、鬼殺隊の「柱」(隊全体の幹部クラスの意味)である杏寿郎はこれをキッパリと拒否する。「限りある命だからこそ、尊いのだ」と。

このやりとりを聞いていて、両者の違いは何だろうと思いをはせた。本作最大のクライマックスで詳らかにされたのは「責任感と無責任の相克」である。「人間が異形なるやからと戦う」という物語は、手あかのついた構図である。しかし本作で描かれる対立構造は、人間の心の中の葛藤をメタファー化したものと捉えることができよう。

本作に登場する鬼たちは、基本的に悪行の限りを尽くす。しかも力なき弱き存在を完全に見下し、半ば遊び半分にその命をなぶり殺しにする。炭治郎たちによって退治された夢を操る鬼、魘夢(えんむ)は、終始相手を小ばかにした言動をやめようとはしない。そして、乗客が何人死のうが、まったく意に介さない。なぜなら、彼は何に対しても責任を取る必要がないからである。つまり、無責任なのである。

善悪の戦いを骨太で見事な冒険活劇に!「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」
©吾峠呼世晴 / 集英社・アニプレックス・ufotable

後半に登場する鬼、猗窩座も然(しか)りである。彼は限界の枠内でしか生きられない人間を見下す。そして何度も切り落とされた手足を再生させる。彼は自らの体に対しても「無責任」でいい。ダメなら別の新しい四肢が生えてくるのだから。ここに悪の本質を見た。

鬼が暗闇を好み、太陽の光の下、白日にすべてをさらされることをことさら忌み嫌うのは、彼らの本質に巣食う「無責任」さが露わになることに耐えられないからだろう。そして四肢が何度も再生するのは、悪しき「無責任」がいつの時代にも存在し、いつしかそれが人間の心をむしばんでしまうことを示している。

一方、そんな鬼たちの「無責任」と対照的なのが、鬼殺隊の柱、杏寿郎である。列車の乗客の命を守り、鬼殺隊の後輩である炭治郎らを守り、その上で鬼たちを退治しなければならない。いつ刀を投げ出し、「もうやめた」と言ってもいいはずなのに、彼はそうしない。満身創痍(そうい)になりながらも自らを鼓舞し、後輩たちを「きっと立派に成長できる!」と励まし続ける。その懸命な姿に私たちは涙することになるのだが、その本質は、自らの立場と使命に対する「責任感」である。「責任感」は、何度もやり直しがきく人生では生じてこない。たった一回きり、限りある命だからこそ、どうしてもやり遂げなければならないと思えるし、どんなに劣勢に立ったとしても、守らなければならない人のため、自分に続く後輩たちのため、意志を貫き通そうと思えるのである。

「無責任と責任感」、これは人間の心の中にある葛藤が顕在化したものであろう。つまり、本作に登場する鬼とは人間の悪しき心、キリスト教的に言うなら「罪」の具現化である。それは、禁じられた善悪の知識の木の実を食べたアダムが、神から「なぜこんなことをしたのか」と問われたとき、「この女が私に食べさせたのです」と答えた無責任さと軌を一にするものなのである。

善悪の戦いを骨太で見事な冒険活劇に!「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」
©吾峠呼世晴 / 集英社・アニプレックス・ufotable

一方、杏寿郎の矜持(きょうじ)となった「責任感」は、圧倒的不利な状況で、命を投げ出しても守らなければならない者への「愛」の具現化である。心身ともに鬼よりも弱く、そして簡単に無責任にのみ込まれてしまう市井の人々のために、己のすべてをかけて立ち向かうその姿は、聖書において描かれるイエス・キリストの生きざまを彷彿(ほうふつ)とさせる。

杏寿郎が「柱とはこうあるべし」と身をもって後輩たちに示したことで、やがて炭治郎らは鬼殺隊の立派な剣士となっていく。これは、キリストの弟子たちが「クリスチャン(キリストに倣う者)」と呼ばれるようになった出来事に似ている。

また杏寿郎の姿は、いつまでたっても教勢率1パーセント未満といわれ続けている日本の中で、孤軍奮闘しリバイバルを夢見ながらその生涯を終えた先輩クリスチャンたちの姿とも重なるところがある。炭治郎たちをバカにする鬼に対し「きっと彼らは強くなる。立派な鬼殺隊のメンバーとなる!」と言い切った彼の姿に、私は先輩牧師たちの生きざまを重ねずにはおれなかった。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は、善と悪の戦いを骨太で見事な冒険活劇に昇華させた渾身(こんしん)の一作である。クリスチャンだからこそ感じられるさまざまな刺激がきっとあるはずだ。それを教会の仲間たちと熱く語り合ってみてはいかがだろうか。

■「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」予告編

■「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • 「この世界の片隅に」を見て、キリスト教牧師が思うこと

  • クリスチャンが教会で信仰を育むためのヒントが! 映画「未来のミライ」

  • 映画「若おかみは小学生!」 自分を信じて生きたいと願う全世代に向けたメッセージが込められた秀作

  • これまでに出会った最高のキリスト教映画 「アイ・キャン・オンリー・イマジン 明日へつなぐ歌」

  • 映画「星の子」 「宗教」を信者二世の視点で内側から描いた斬新な一作

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月30日):インドネシア 静かに進む魂の変革

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月26日):北朝鮮 大胆な一歩、北朝鮮で執り行われた秘密の洗礼式(1)

  • サンタ・クロースと呼ばれた人―聖ニコラスの生涯(22)小麦配給の奇跡

  • 賢い時間の使い方「ゆっくり、今すぐに」 菅野直基

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(225)エンディングを伴走して日本宣教を進めよう! 広田信也

  • 花嫁(28)伝道の思い 星野ひかり

  • ヨハネの黙示録(4)死とハデスの鍵 岡田昌弘

  • 全ての人の主イエス・キリスト 万代栄嗣

  • シリア首都で教会狙った自爆テロ、25人死亡 現地のキリスト教徒ら、さらなる暴力懸念

  • ワールドミッションレポート(6月29日):北朝鮮 大胆な一歩、北朝鮮で執り行われた秘密の洗礼式(3)

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(7)人は「単独者」である 三谷和司

  • 日本キリスト教協議会、米軍によるイラン核施設攻撃に抗議

  • ワールドミッションレポート(6月30日):インドネシア 静かに進む魂の変革

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本福音同盟、戦後80年で声明 日本の教会が戦時下に犯した罪の歴史と悔い改めを確認

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • リック・ウォレン牧師、カトリックのイベントで講演 宣教による一致を語る

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 日本キリスト教協議会、米軍によるイラン核施設攻撃に抗議

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.