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映画「星の子」 「宗教」を信者二世の視点で内側から描いた斬新な一作

2020年9月12日06時39分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:宗教2世
映画「星の子」 「宗教」を信者二世の視点で内側から描いた斬新な一作+
©2020「星の子」製作委員会

第157回芥川賞候補にもなった今村夏子の同名小説を映画化。特異な家庭環境に生まれた15歳の少女の視点を通して、家族とは?宗教とは?という「古くて新しい問い」に、現代的な回答を提示するユニークな一作である。

主演は、かつて「天才子役」の名をほしいままにした芦田愛菜(もはや「ちゃん」とは言えない。立派な女性になりつつある)。その彼女が6年ぶりに実写映画で主演を務めるということでも話題性十分である。監督は大森立嗣。今夏一番の問題作「MOTHER マザー」に次いで、まったく系統の異なる作品ながら、前作と同様に不穏な空気が底流となる世界を見事に魅せてくれる。

子煩悩な夫婦の次女として生まれた主人公ちひろは、生まれてすぐに発症した発疹がなかなか消えず、病弱なまま幼少期を過ごすこととなる。困り果てた両親は、父親の同僚から「ひかりの星」という宗教団体を紹介され、「金星のめぐみ」という「特別な水」を手渡される。その水でちひろの体を拭いてやると、見る見るうちに発疹はなくなっていくのだった。

それ以後、両親は「ひかりの星」に入信し、「金星のめぐみ」を飲んだり、タオルに浸して頭の上に置いたりするようになる。さらに「ひかりの星」関連のグッズを購入したり、多額の献金を教団にささげたりするようになり、ちひろの家は次第に経済的に困窮していく。両親はいつも緑のジャージを着ていて、それ以外に服を持たなく(持てなく)なっていく。そんな生活が嫌になった長女まーちゃんは、ちひろが小学5年生の時に家出してしまい、それ以後家族との交流を絶ってしまう。

映画「星の子」 「宗教」を信者二世の視点で内側から描いた斬新な一作
©2020「星の子」製作委員会

と、ここまで書くと、何と悲惨な話だろうと思われるかもしれない。または、一昨年話題となった漫画『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』みたいに、親の教えの矛盾や愚かさに気付き、そこから自立していく物語を私たちは想像する。だが、本作の主人公ちひろはそうではない。むしろ、そういった環境をそのまま受け入れ、姉が反発して出て行ったことは悲しいけれど、自分も同じようにする気はない。勇気がないのではなく、葛藤はありながらもそんな気になれない、ということなのだ。

だが、周りの人々がそんなちひろと両親を奇異な目で見ていることに変わりはない。例えば、伯父夫婦は、娘の修学旅行の費用も出せない妹夫婦に眉をひそめ、ちひろをそういった宗教から引き離そうとする。また、友人たちの中には「ちひろも信じているの?」とストレートに尋ねてくる子もいる。その時ちひろは、明確な返答ができない。そして明確に返答できない自分にも戸惑いを抱くようになっていく・・・。

映画「星の子」 「宗教」を信者二世の視点で内側から描いた斬新な一作
©2020「星の子」製作委員会

本作は、「宗教」という日本ではかなり特殊な世界の実態を、内部の、しかも若者の目から描いたという意味で新鮮な一作である。従来のスタイルでは、こういった怪しい宗教の非道さや矛盾を突き、そこから脱会するか、またはその魔力によって完全に取り込まれてしまう人々の様をアイロニカルに描くことが多かった。それらは、日本型の「宗教(告発)映画」のある種ステレオタイプである。本作最大の見どころは、これほど特異な家庭環境に生まれ落ちたにもかかわらず、周囲から奇異な目で見られているにもかかわらず、主人公ちひろと両親はどこまでいっても仲良しなのである。対照的に姉のまーちゃんは、その他大勢のステレオタイプを担保する立ち位置で描かれている。そういった意味で、彼らは「マイノリティー」ではあり続ける。

私の人生を振り返るなら、私の中には、ちひろとまーちゃん、その両方が存在していたことに気付かされる。私の母は、四日市空襲によって家族を失い、その喪失感を埋めるためにカトリック信者となった。やがて結婚して愛知県に嫁ぎ、自ら教会を勝手に始めてしまう。後に、その教会に招聘(しょうへい)したのが、プロテスタントのペンテコステ派の牧師であったことから、私も幼少期より必然的に「激しく」「泥臭い」ペンテコステ派の洗礼を浴びることとなった。実際に洗礼を受けるのは小学校4年生の夏だが、その頃のことを振り返ると、ちひろのように、同じ境遇の教会の仲間と結構楽しくやっていたし、同時に、まーちゃんのように、世間の常識とは異なる基準で動く教会内の人々に対して、冷ややかな分析をしていたものだ。

本作は、決して宗教を告発するような映画ではない。怪しげな集団の中にあって、やはり人間としての交わりがあり、その中で一喜一憂する市井の人々の懸命な姿が存在している。物語のラスト、親子で交わされる何気ない会話は、彼らがどんな宗教、どんな神仏を信じているかによらず、「普通の仲睦まじい親子」であることを、さらりと、そして温かく描いている。同時に、世代間の差異もやんわりと提示されている。

映画「星の子」 「宗教」を信者二世の視点で内側から描いた斬新な一作
©2020「星の子」製作委員会

本作は、ある意味「クリスチャン・ジュニアあるある」が満載だ。思春期になり、日本では宗教やキリスト教がマイノリティーであることを知るようになって初めて感じられる「ひりひり感」。「日曜日に何してるの?」と問われ、それに当たり障りない回答をしたときの「後ろめたさ」。そんな心の葛藤を、教会内の人、特に大人や牧師には決して話せない(話しても分かってくれない)ことをいつしか知ってしまう「失望感」。それでいて、なぜか徹底して憎み切れず、毎日曜日ごとに出会うことで深まっていく絆に愛着を感じずにはおれない「もどかしさ」・・・。

クリスチャンホームで育った者なら、これらの感覚を分かってもらえるのではないだろうか。そんなクリスチャン・ジュニアが、熱弁を振るいながら思わず語り合ってしまうことになる「最適な触媒」こそ、本作「星の子」である。上映は10月9日(金)から。東京・TOHOシネマズ日比谷ほかで全国ロードショーされる。

■ 映画「星の子」予告編

■ 映画「星の子」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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