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ワールドミッションレポート

ワールドミッションレポート(1月8日):インド 一粒の麦:ハンセン病患者たちに仕えた宣教師一家の物語①

2026年1月8日10時09分 執筆者 : 石野博
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関連タグ:インド

南アジアの熱気に包まれているのが、インドのオディシャ州(旧オリッサ州)だ。1965年、一人の若きオーストラリア人宣教師がこの地に降り立った。グラハム・スチュアート・ステインズ、当時24歳だ。彼の心には、少年時代に一通の手紙を通じて知った「インドのハンセン病患者たちの苦しみ」が、決して消えることなくくすぶっていた。

当時のインドにおいて、ハンセン病は単なる病気ではなかった。それは「呪われた病」とされ、発症した者は家族から捨てられ、社会から抹殺されるのが常である。グラハムが足を踏み入れたマユルバンジ地方も例外ではない。埃(ほこり)っぽい街外れやジャングルの片隅で、指を失い、顔形の失われる人々が、絶望の中で死を待っていた。

グラハムの宣教は、語ることからではなく、彼らの傷口を洗うことから始まった。「グラハムさん、なぜ私たちに触れるのですか? 私たちは呪われているんですよ」。ある患者が、包帯を巻くグラハムの手に涙を落としながら尋ねた。グラハムはほほ笑み、現地語のオディア語で静かに答えたという。「神があなたを愛しているからですよ。私はただ、その愛を届けに来た一人の友人に過ぎません」

彼は単なる支援者ではなかった。34年間にわたり、文字通り彼らと生活を共にした。ハンセン病のリハビリテーションセンターを設立し、医療を施すだけでなく、彼らが社会に復帰できるよう職能訓練も行った。グラハムの手は地元の人々にとって「白人宣教師の手」ではなく「最も信頼できる友の手」となっていったのだ。

1983年、彼は同じ志を持つグラディスと結婚し、2人の間には娘エスター、そして息子のフィリップとティモシーが与えられた。ステインズ一家にとって、マユルバンジのハンセン病キャンプは「家」であり、患者たちは「家族」そのものだった。子どもたちは幼い頃から、病で体が変形した人々の手を取り、共に遊び、共に賛美歌を歌って育ったのだ。

「パパ、あのおじさんの手は、どうしてあんなに温かいの?」息子たちの純粋な問いに、グラハムは「それはね、あのおじさんの心の中にイエス様が住んでいるからだよ」と教えた。彼ら家族が示し続けたのは、教義の伝達ではなく、徹底した「共生」であった。

しかし、その深い愛の働きを、憎しみの目で見つめる者たちがいた。ヒンズー至上主義者らの怒りは頂点に達しつつあった。グラハムの「愛の奉仕」は「不当な改宗工作」という歪んだ解釈で攻撃の標的となっていく。

1999年1月、グラハムはいつものように、ジャングルの奥深くにある村で毎年開催される「ジャングル・キャンプ(聖書修養会)」へと向かった。もちろんこの時、彼らはそのキャンプが、地上生涯で最後のキャンプになろうとは、露ほどにも思わなかったことだろう。(続く)

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■ インドの宗教人口
ヒンズー 74・3%
プロテスタント 3・6%
カトリック 1・6%
英国教会 0・2%
イスラム 14・3%

◇

石野博

石野博

(いしの・ひろし)

2001年より、浜松の日系ブラジル人教会で日本人開拓、巡回伝道者として従事。12年より、奥山実牧師のもと宣教師訓練センター(MTC)に従事、23年10月より、浜松グッドニュースカフェMJH牧会者として従事。18年3月より、奥山実牧師監修のもと「世界宣教祈祷課題」の執筆者として奉仕。23年10月より「世界宣教祈祷課題」を「ワールドミッションレポート」として引き継ぎ、執筆を継続している。

※ この記事は、石野博牧師の「ワールドミッションレポート」を、若干の編集を加えた上で転載したものです。
関連タグ:インド
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