Skip to main content
2025年11月7日19時15分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム

最後の5分 佐々木満男

2019年9月2日13時35分 コラムニスト : 佐々木満男
  • ツイート
印刷
関連タグ:佐々木満男

1. 死刑執行直前の5分間

1849年12月、ロシアの犯罪者収容所に、反体制思想犯として死刑判決を受けた28歳の青年が収容されていた。死刑執行の直前、処刑場に引き出された彼は死刑執行官からこう言い渡された。

「お前の最後に、5分だけ時間を与える!」

ついにこの世と決別する瞬間が来た。「ああ、私は5分後にこの世から消え去るんだ。この5分でいったい何ができるだろうか?」

「愛する家族よ、友よ、先にあの世に行くことを赦(ゆる)してください。私のために悲しまないでください・・・」。まず、家族と知人たちへの別れのあいさつの祈りにささげた。

「2分経過!」

その日まで生かしてくださった神に感謝し、他の死刑囚たちへの別れのあいさつを祈った。

「残り1分!」

「ああ、もう一度人生をやり直すことができたら・・・」「生きたい!生きたいんだ!もう少しだ!あと少しだけでも!どうか、わが神よ・・・」。彼は後悔の涙とともに神に嘆願した。

「死刑準備開始!」

「ガチャッ」。銃に弾丸を装填する音が彼の心臓を突き抜けた。まさに、その時だった。

「やめろ!やめろ!その死刑は中止だ!」 政府の急使が大声を張り上げて処刑場に駆け付けた。まさに銃殺の直前、皇帝ニコライ1世の特赦により死刑は中止され、4年間のシベリア流刑に減刑された。

極寒の地での過酷な強制労働の中で、神に与えられた時間の重要性を悟った彼は、「人生は5分の連続だ!」とばかりに創作活動に没頭した。流刑を終え、さらに4年間の兵役を除隊後、1881年にこの世を去るまで、キリスト教人道主義者として、数々の不朽の名作を書き残した。

『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『未成年』『悪霊』『白痴』・・・。死刑執行を直前で免れた彼こそは、後にロシアの大文豪になった「ドストエフスキー」であった。

2. 提出期限直前の5分間

「運転手さん、急いでください! どうしても零時5分前までに東京地裁に着かなければならないんです」。夜の11時40分、渋谷駅近くでタクシーに飛び乗った私は、そう叫んだ。

「お客さん、それは無理ですよ。15分で霞が関の裁判所に行くなんて!」「それでもなんとかお願いします!」「う~ん、とにかくベストは尽くしてみますが、保証はできませんよ」

ある刑事事件の控訴趣意書の提出期限だった。一審で有罪判決を受けた被告人が無罪を主張して、私に弁護を依頼してきた。裁判記録を読み、現場を何度も検証し、証拠を集めているうちにあっという間に日にちが過ぎて、ついに、期限当日になってしまった。

提出時間の午前零時が1秒でも過ぎたら書類は受理されず、弁護側の主張も証拠もまったくないまま裁判が終わってしまう。弁護士としての大失態である。

「お客さん、着きましたよ!ちょうど零時5分前です。これは奇跡ですよ!」 代金を払うと、私は暗闇の裁判所の裏庭を必死に走った。「遅れたらどうしよう!主よ、助けてください!」 心臓が張り裂けそうだった。

ようやくたどり着いてドアを開けると、宿直の若い職員が居眠りをしている。「お願いします、控訴趣意書を提出しに来ました! 今日が期限なんです」。びっくりして目をさました職員があわてて時計を見る。

「ああ、ぎりぎりですが間に合いますよ。あと数秒遅れたらアウトでしたよ!」と言って書類を受理してくれた。

最後の5分の重要性、いや、最後の数秒の重要性に目覚めた瞬間だった。絶対ダメだと思ったのに奇跡的に助かった。その時ほど、神の恵みのタイミングに感謝したことはなかった。

「5分あれば何とかなる!」「いや、最後の数秒が肝心だ!」 それ以後、神から与えられた貴重な時間を感謝し、「最後の5分」「最後の数秒」を大切にしながら生活するようになった。

◇

佐々木満男

佐々木満男

(ささき・みつお)

弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL. M)。インターナショナルVIPクラブ東京大学顧問。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:佐々木満男
  • ツイート

関連記事

  • 「負けるが勝ち」と「負けても勝ち」 佐々木満男

  • 祈りの力 佐々木満男

  • 恐れるな! 佐々木満男

  • 幸福の一手 佐々木満男

  • 私の学生・同窓生伝道 佐々木満男

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • ワールド・ビジョンがクリスマスキャンペーン、教会で酒井美紀さん登場のコンサートも

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 主は生きておられる(241)カレンダーあと1枚 平林けい子

  • 都合の悪いお言葉(その2) マルコ福音書10章1~12節

  • ひと足ひと足、主にすがりて 菅野直基

  • 地球環境の守り人 穂森幸一

  • 聖書が教える「行いによる義」 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(11月7日):スーダンのマディ族のために祈ろう

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

  • カンタベリー大聖堂の「落書き」プロジェクトに批判の声

  • 「電波宣教師」の尾崎一夫氏死去、短波ラジオ・HCJB日本語放送に60年以上従事

  • 【書評】加藤喜之著『福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』

  • 聖書アプリ「ユーバージョン」が間もなく10億インストール 11月に「聖書月間」開催

  • 全ての人に福音伝えるための「イエスのモデル」 WEA総会でリック・ウォレン氏が講演

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(234)神様の思い(計画)が分からないのはありがたい 広田信也

  • 新総主事が就任、国際理事会が新体制に WEA第14回総会「ソウル宣言」採択し閉幕

  • 世界福音同盟(WEA)「ソウル宣言」全文和訳

  • 世界62カ国で宗教的「迫害」や「差別」 2年に1度の「世界信教の自由報告書」発表

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.