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神学書を読む

神学書を読む(40)聖書の奥深さを体感できる一冊 長谷川修一著『謎解き 聖書物語』

2018年12月28日19時22分 執筆者 : 青木保憲
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神学書を読む(40)聖書の奥深さを体感できる一冊 長谷川修一著『謎解き 聖書物語』+
長谷川修一著『謎解き 聖書物語』(ちくまプリマー新書、2018年12月)

まるでよく熟れた食べごろのフルーツみたい!聖書の奥深さを体感できる一冊!

聖書、特に旧約聖書に関する書籍には、さまざまな視点から語られた良書がある。例えば今年の2月に発刊されたロバート・R・カーギル著『聖書の成り立ちを語る都市』など、今でもよく読み返しているし、大学の授業などでも引用させてもらっている。

ここに新たな秀作が加えられることになる。それが長谷川修一氏の『謎解き 聖書物語』である。「聖書物語」とうたっているが、中身は旧約聖書の有名な記事に関する解説である。具体的には、第1章で「アダムとイブ」、第2章で「ノアの方舟」、第3章で「バベルの塔」、第4章では「出エジプト」、そして最終章では「ダビデとゴリアテ」が取り上げられている。皆どれも有名なエピソードであるため、聖書を知っている方はもちろんのこと、まったくのビギナーであっても理解することは可能であろう。

著者の長谷川氏は、オリエント史、旧約学を専門とされる方で、ほかにも『聖書考古学』『旧約聖書の謎』(中公新書)などの著作がある。考古学的な見地から、そして旧約聖書神学の立場から、さまざまなうんちくが随所に散りばめられている。私は以前からこれらの著書を読んでいたため、本書を書店で発見したとき、踊り上がらんばかりに喜んだ。

内容は、いずれも聖書を「物語」として語るところから始まる。聖書の引用や概要がまず提示され、その文言の背景となる言語の意味、文化的条件、そして神学的方向性がさらりと語られていく。この「さらり」というのが本書最大の特徴といえよう。例えばこんな具合である。

鼻に神が息吹を吹き込んだことによって生きることになった、という描写も、古代の人びとによる人間観察に基づいているのでしょう。神はこうして生きるようになった人間を「アーダーム」と呼びます。

当時の読者は、ここにことば遊びが隠されていることに気づいたことでしょう。「土(アダーマー)から「人(アーダーム)」をつくったのです。(中略)定冠詞がつかないアーダームは固有名詞、すなわち人名ではなく、一般名詞であることを示しているのです。そうなると、「アーダーム」を「アダム」という人名として訳すのはじつは誤っていることになります。正確には「人」と訳すべきでしょう。つまり、神は自分が土のちりでつくり、命の息吹を吹き込んで生きるようになったものを「人」と名づけたのです。(26、27ページ)

お分かりいただけるだろうか?保守的な聖書観を基礎とする「福音派」クリスチャンは、まず「古代の人々による人間観察」に基づいて聖書が書かれたということに戸惑いを感じるだろう。それがヘブライ語(旧約聖書が書かれた言語)に由来していることを踏まえての研究結果であると言われることで、納得できる部分もあろうが。

さらに、最初の人間の名前を「アダム」と思っていた私たちに対し、「アダム」と称している存在は「人」の代表として創世記では登場していることに気付かされることになる。だから「原罪」という概念が私たちをも覆うことになり・・・と、思考はさらに深められていく。

私たちが「当たり前」として受け止めていた神学的概念や、それらの前提となっている世界観が、実は聖書のわずか数行に、こんなにも豊かに含まれていたのかと思わされることになる。しかも、それを小難しい言語研究や分厚い神学書を読み終えなければ理解できないとはせず、平易な文章で語り掛けるようにつづられている。

私は何度も文章を読み返し、聖書を引っ張り出し、言及されている箇所を確認していたら、あっという間に時間がたってしまった。セルフで行える聖書研究にもピッタリの一冊ということになろう。

例えば、聖書の記述に矛盾や疑問を感じられた方、特に旧約聖書の5大トピックス(天地創造、ノアの洪水、バベルの塔、出エジプト、ダビデとゴリアテ)の行間をしっかりと理解したいという方に、本書は最適なガイドとなるだろう。

その際、気を付けておきたいことがある。それは、私たちが今まで聞き知らされてきた「当たり前」を少し横に置いて、素直に長谷川氏の意見を傾聴するということである。まずそれがないと、私たちは自分たちで勝手に埋めてしまった「聖書の行間」を絶対視することになってしまう。それはつまり、勝手に聖書を書き換えたり、ねつ造したりすることにつながる危険が潜んでいるということである。

私たちは信仰年限を重ねれば重ねるほど、このような危険水域に近づくことになる。いつしか自身で聖書の行間を「補完」し、自分の都合の良いように解釈をねじ曲げてしまう。そういった愚行を犯さないためにも、専門家の「さらり」とした筆致に耳を傾ける必要がある。

真摯(しんし)に向き合うなら、本書はまるで食べごろに熟れたフルーツのような豊かさに満ちているといえよう。長谷川氏の解釈や言及している事柄をすべてうのみにする必要はない。しかし、いつしか「当たり前」になりつつある私たちの「聖書の読み方」に、新たな刺激や異なる視点を与えてくれることは間違いないだろう。

年末年始、お時間がある方なら一気に読み通すこともできる。ぜひ手に取っていただきたい。

■ 長谷川修一著『謎解き 聖書物語』(ちくまプリマー新書、2018年12月)

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◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会研修牧師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

関連タグ:青木保憲
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