世界の一部地域で霊的刷新とリバイバルの報告が相次ぐ一方、最近発表された国際的な大規模調査の結果は、キリスト教に対し厳しい現実を突き付けている。
米シンクタンク「ピュー研究所」の調査(英語)によると、キリスト教は依然として世界最大の宗教グループであるものの、世界人口に占める割合は、2010年から20年にかけて1・8ポイント減少し、30・6%から28・8%となった。これに対し、イスラム教はこの10年で1・8ポイント、無宗教は0・9ポイント増加し、それぞれ25・6%、24・2%となった。キリスト教の減少幅は、0・8ポイント減少した仏教よりも大きく、世界の主要宗教の中では最も大きかった。
調査は、世界117カ国・地域を対象に行われた。これは、10年時点で世界人口の92%をカバーする規模だ。
この調査を踏まえた幼少期の宗教からの離脱に関する分析記事(英語)によると、キリスト教徒として育てられた人のうち、成人後もキリスト教徒を自認する人は83%にとどまる。これは、イスラム教やヒンズー教の99%に比べると大幅に低く、仏教の78%よりは高い。
キリスト教を離れる人の大多数は、他宗教に改宗するのではなく、宗教そのものを放棄する選択をしている。キリスト教徒として育てられた人のうち、他宗教に改宗した人は2%だったのに対し、無神論者や不可知論者、あるいは「特に何も信仰していない」と回答した人を含め、無宗教となった人は15%に及んだ。
この傾向は、より豊かな国・地域で特に顕著だった。国民生活の豊かさを示す国連の「人間開発指数」(HDI)が0・8以上の豊かな国・地域では、宗教的アイデンティティーを変更した人の割合は、中央値で18%に上り、その大半が無宗教に変更していた。一方、HDIが0・55未満の国・地域は、3%にとどまった。
キリスト教国とされる米国も、この世界的な傾向を反映した宗教動向を示している。
ピュー研究所が23~24年に実施した別の調査(英語)によると、対象の米国人成人のうち、最年少のグループ(18~24歳)で、キリスト教徒を自認する人はわずか46%だった。これに対し、最年長のグループ(74歳以上)は80%に及び、世代間で大きな差が見られた。
この調査自体は、米国で減少の一途を辿るキリスト教徒の割合が、この5年(19~24年)は60~64%の間で推移し、横ばい状態にあることを示す内容だった。しかし、高齢世代は依然として宗教的所属意識が強いのに対し、若年世代ははるかに高い割合で宗教から離脱しており、「今後数年で、米国の宗教的状況がさらに衰退する可能性がある」とも指摘している。
AP通信(英語)によると、ピュー研究所のグレゴリー・スミス上級研究副所長は、「米国の宗教が長い衰退期を経て、最近になって安定期を迎えていることは注目に値します」と指摘する。その一方で、「確実には分からないことは、これらの短期的な安定化の兆候が、米国の宗教動向における持続的な変化となるかです」と話している。
世界全体では、宗教を信じる人の割合は20年時点で76%に上る。しかし、それでも10年前と比較すると、1ポイントの減少となっている。これらの変化は主に世代的な要因によるという。
先の分析記事の執筆者であるピュー研究所のユンピン・トン研究員は、「この減少は主に、宗教的な環境で育った人々が、その宗教的アイデンティティーを手放すようになったためです」と述べている。
今回の分析記事の中で注目すべきは、キリスト教が「宗教の変更」により最も大きな減少を経験している点だ。
キリスト教徒として育てられた100人のうち17・1人がキリスト教から離脱したのに対し、新たに入信した人は5・5人にとどまり、全体としては11・6人の減少となっている。仏教は、仏教徒として育てられた100人のうち22・1人が離脱しており、離脱率は最も高い。しかし、入信者は12・3人とキリスト教の2倍以上あり、全体としては9・8人の減少にとどまっている。
イスラム教とヒンズー教は、離脱者と入信者の割合がほぼ同数で、「宗教の変更」による影響は全体としてはほとんど受けていない。無宗教は、無宗教として育てられた100人のうち7・5人が宗教を信じるようになったのに対し、新たに無宗教になった人は24・2人に及び、全体として16・7人の増加となっている。