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生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯

生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(3)30歳までは学問を

2016年8月12日17時11分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:アルベルト・シュバイツァー

1893年6月。シュヴァイツァーはシュトラスブルク大学の入学試験を受ける。その4カ月後、彼はパリに来ていた。ここで彼はこの大都市に住む伯母の紹介でパリ音楽院の教師シャルル・マリ・ヴィドールのもとを訪ねた。運命的な出会いだった。

「で、きみは何が弾きたいのかね?」。ヴィドールはたいして興味もなさそうに言った。「もちろん、バッハです」。そう言って彼は弾き始めた。しばらく耳を傾けるうちに、ヴィドールは、この若者がただ者でないことに気付いた。

彼の前にいるのは、1個の偉大な精神。高い想像力と測り知れない感情の力を持った1人の音楽家。そして不死について深い知識を備えた1人の人間――だったのである。「よろしい」と、ヴィドールは言った。

「新学期に学校に帰るまで2、3回レッスンをしてあげよう。その後は、いつでもパリに来ていいのだよ」。こうしてシュヴァイツァーは、ヴィドールと強い絆で結ばれた。

その年の10月末。シュヴァイツァーはシュトラスブルク大学の入試に合格し、手続きをした。彼は聖トマス教会の学生寮に住み込み、そこから大学に通うことになり、哲学と神学を同時に聴講した。大学生活は素晴らしいものだった。旧約、新約、教会史、教義史、倫理、実践神学など教材は満ち溢れ、優れた教授たちは政府の援助のもとで研究を進めていた。

彼はまた学生仲間と教授の家庭で親交を結び、才能ある者の仲間に加えられた。友人たちは社会学から美術史に至るまで数多い分野を代表しており、それぞれの分野の専門家であった。

ここで彼は、テオドール・ルイスはじめ多くの友人を得た。彼らはシュトラスブルク大学における1つのサークルを作り、一緒に自転車旅行をしたり、政治や社会、文芸について議論をした。それは何と豊かな時間だったことか。

1894年。彼はヘブライ語の予備試験に合格した。この年の4月1日より軍隊勤務に服することになる。中隊長のクルルは理解のある人で、彼の好意によって通常勤務のかたわら大学でヴィンテンバルト教授の哲学史の講義をほとんど欠席せずに聞くことができた。

1896年。バイロイトで「ワグナー祭」があり、伯父、伯母はワグナーの「ニーベルンゲンの指輪」の入場券を送ってくれた。彼は深い感動をもってオペラを見、伯父と伯母には心から感謝の念を覚えたのだった。

(こんなに恵まれていていいのだろうか?)その晩、彼は自分の幸せを噛みしめながら思った。(大学に行きたくても行けない人や、労働に縛られている人がたくさんいるというのに)

この時以来、彼の意識の中で、こうささやく声がするようになる。(お前はその幸せの代償を払わねばならない。幸福を知らない者たちのために、償いをしなくてはならないのだ)

(分かっています。でも、学問をするということも一種の奉仕ではありませんか? そして、芸術だって同様に奉仕でしょう?)(神に祝福された幸福な子らは、直接の奉仕を命じられているのだ)(それは、どんなものなのです?)(心情と手による奉仕。受け取ったものを返済する能力のない人々に対して連日連夜繰り返す絶え間ない自己犠牲だ)

彼はこのような心の声に耐えられなくなった。自分はどうすべきか? 学問を続けるべきか? 奉仕のために自分を投げ出すべきなのか? 彼は悩み苦しみ、引き裂かれそうになったその時、奇跡が訪れた。

それは、彼が久しぶりにギュンスバッハの両親のもとで朝寝を楽しんでいた時だった。目が覚めると、外では小鳥たちが歌っていた。咲き誇るリンゴの白い花とライラックは甘い香りを漂わせ、教会の窓を覆う緑の葉からは若々しい新芽がのぞいている。その時、彼の耳に聖書の言葉が響いてきた。

「自分の命を得ている者はこれを失い、わたしのために自分の命を失う者はこれを得るだろう」(マタイ10:39)

そうです。私は奉仕のために全てをささげます。しかし――と、彼は突然イエスのことを考えた。イエスは30歳まで大工の仕事場で働き、母と兄弟と共に暮らすことを楽しんだのではあるまいか。そしてその後、神と人に全てをささげたのだ。

彼の心に突然光明が差し入った。そうだ。30歳までにはまだ9年もある。その間に十分に学問を積み、芸術を楽しもう。そして30歳になったら、その時こそ全てを捨てて「償い」のための奉仕をするのだ。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:アルベルト・シュバイツァー
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