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生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯

生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(4)神の目くばせ

2016年8月25日07時50分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:アルベルト・シュバイツァー

1898年5月6日。シュヴァイツァーは第一次神学国家試験に合格。そして年額1200マルクの奨学金を受けることができた。その後彼は、テオバルト・ティグラー教授の勧めにより、哲学の学位論文に手をつけることにした。

「きみはカントの宗教哲学を題目にしたらどうだね。いいものが書けると思うよ」

その年の10月末。シュヴァイツァーはソルボンヌ大学で哲学を聴講し、またヴィドールについてパイプ・オルガンの腕を磨くためにパリに出発した。パリに住む伯父と伯母は親切に彼の世話をしてくれた。

1899年3月。シュトラスブルクに戻ったシュヴァイツァーは、論文『カントの宗教哲学』をティグラー教授に提出。この論文は間もなく出版され、彼は哲学の学位試験に合格した。ティグラー教授は哲学科の無給大学講師を薦めたが、彼自身は聖職に就くことを望んだ。住居はそのまま聖トマス学生寮に住む許可が得られた。

また、この年、聖ニコライ教会の副牧師となったシュヴァイツァーは、クニッテル、ゲロルト老牧師の補佐を務める。翌年1900年7月15日、第二次神学試験を通過。「神学得業士」の学位を得た。

彼の役目は毎日曜日の午後、子どもたちのための礼拝を持つことで、中でも「堅信礼」の準備教育に力を注いだ。彼は子どもを教える場合、宿題はできるだけ少なくし、彼らの精神を明るく伸びやかに解放してやることに努めた。それだから、子どもたちはためになる話を聞いたり、一緒に考えたりすることによって、無理な努力をせずに楽しく教理を学ぶことができた。

彼の目的は、子どもが成長した後に困難にぶつかり、人生に絶望したときに「神は必ず守ってくださる」ということを思い出させることにあった。ずっと後になって、多くの人が人生の危機に直面した折に信仰を捨てずに済んだと彼に感謝したのだった。

1902年。『メシア性の秘密と受難の秘儀』という論文で大学講師になり、同時に聖トマス学生寮の舎監となった。また彼はこの頃からイエスの生涯に心引かれ「イエス伝」の研究をも始めたのであった。

ところで、シュヴァイツァーは、学生時代の仲間とのサークルを大切にし、ずっと付き合いを続けていた。彼らと語り合い、時には自転車旅行をし、共に音楽を聴いて楽しんだ。

その仲間の中に歴史学教授の娘ヘレーネ・ブレスラウがいた。彼女は聡明で思慮深く、しかも思いやりのある女性だった。シュヴァイツァーは彼女といろいろ語り合ううちに、2人とも自分たちが恵まれている分、不幸な人々への奉仕に身をささげるべき――という考えが一致していることに驚いた。

2人は互いに心引かれ合うようになる。(あと少しで30歳になるぞ。おまえはいかなる形でつぐないをするのか?)心の声はまたしても彼をせき立てた。しかし、彼はいかなる形で奉仕すべきか、その手口をまだつかんでいなかった。

そんなある日のことである。帰ると机の上に緑色の表紙のパンフレットが載っていた。これはパリの宣教団からの報告書だった。その昔、彼は父が説教壇から読むカザリの手紙に感動したものだが、そのカザリをアフリカに派遣したのはこの宣教団であった。

不思議な縁を感じて、彼はパラパラとそのパンフレットをめくった。――と、その目が1つの標題の上に落ちた。そして読むうちに、内容にとらえられてしまった。それは、フランス領コンゴにおける宣教活動に奉仕する人の不足を訴えていた。そして、原住民である黒人たちが迷信と因習にがんじがらめにされ、あらゆる病気や外傷のために言語を絶する苦痛にさらされている現状が報告されていた。

読み終わったとき、彼はついに自分が生涯かけて奉仕すべき対象と場所を見いだした。神の目くばせであった。

1905年1月15日。シュヴァイツァーは30歳になった。彼はある日、パリで何通かの手紙をポストに投函した。家族と友人に、医者となってアフリカに行く決心を告げたものであった。

この知らせはギュンスバッハとパリにいる彼と親しい者たちに雷のような衝撃を与えた。ロマン・ロランは何も言わずに去って行き、わが子のように愛してくれたヴィドールは、彼を叱り飛ばした。「きみは拳銃1丁を手にして最前線に出て行く将軍のようなものだ」と彼は言った。

両親は驚き、最初彼が気が狂ってしまったのかと心配したが、やがて息子の行動には何か訳があるに違いないと思い、理解した。大学の友人たちは、なぜ前もって相談してくれなかったのかと非難した。

「きみは正気か? そんなことをするのは豚に真珠を投げてやるようなものじゃないか」。彼らはこう言ったのである。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:アルベルト・シュバイツァー
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