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生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯

生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(5)大きな体の医学生

2016年9月8日18時41分 執筆者 : 栗栖ひろみ
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関連タグ:アルベルト・シュバイツァー

シュヴァイツァーは医学生になるために、医学部長フェーリング博士に届けを出した。いよいよ絶えざる疲労との闘いが始まったのである。彼は大きな体をこごめるようにして、年下の青年たちと共に解剖学、生理学、化学物理学、植物学などの講義を受けた。その傍ら、今まで通り自分の職務をも全うした。

聖トマス学生寮舎監、聖ニコライ教会副牧師として毎日曜午後の説教、児童礼拝、堅信礼の準備など1日も休むことなく続けたのである。こんな多忙な中にあっても、彼は『パウロ研究』に手をつけていた。

その上、パイプ・オルガンも以前より専念しなくてはならなかった。彼はその年有数の音楽家たちと共に、パリに「バッハ協会」を設立したので、定期演奏会の時にはパイプ・オルガンを受け持たねばならなかったのだ。この年に『バッハ研究』フランス語版が出る。

1906年。シュヴァイツァーは聖トマス学生寮舎監の職を辞す。そのため学生寮から出なくてはならなかったが、聖トマス教会の牧師館の一部に住まわせてもらえることになった。

雨の降る日、学生たちは総出で彼の荷物を新しい部屋に運び入れるのを手伝ってくれた。彼のためにこの部屋を提供してくれたのはフリードリッヒ・クルティウスというアルザスの教区長であり、彼は家族のように彼を迎えてくれた。この人を通してシュヴァイツァーは多くの人と知り合いになった。この年の春『イエス伝研究』が完成。出版された。

あのヘレーネ・ブレスラウとはその後もたびたび会い、ますます親交を深めていった。彼女は、彼の志の良き理解者であった。彼女は、オルガンの練習でも発表でも彼を助けた。1908年『バッハ研究』のドイツ語版が世に出る。

1909年5月13日。この日も雨降りの日だった。シュヴァイツァーは、解剖、自然科学、生理学の試験を受けた。(30歳を超した自分の記憶力は20歳の学生の頃のようにはいかないものだな)。彼はつぶやいた。この頃には体力が限界にきて、彼は倒れそうな疲労を覚え、フラフラした頭で答案用紙に向かった。しかし、試験は予想に反して好成績だった。

1911年11月末。彼は国家試験を受けた。生活に窮していたので、ミュンヘンの「フランス音楽祭」でのオルガン演奏の報酬で受験料を払い、『バッハ研究』のドイツ語版の成功のおかげで残りの勉強を続けることができた。また、『パウロ研究史』完成。彼は、学位論文を書きながら、少しずつアフリカに行く準備を始めたのである。

1912年春。大学教授と聖ニコライ教会の副牧師の職を辞す。もはや講演も説教もしなくなるのだということに胸を締めつけられるような寂しさと悲しい諦めを覚えた。彼は聖ニコライ教会や大学の近くを通ることを避けた。二度と帰ることのないなつかしい働きの場を見るだけでもつらかったのである。

この年の6月。シュヴァイツァーは、ヘレーネ・ブレスラウと結婚した。2人はパリに行く。「熱帯医学」を学ぶためと、アフリカで必要になる医療器具、薬品、包帯などを買い整えるためだった。

そしてこの後、最もつらい仕事が待っていた。募金のために、友人、知人の間を回らなくてはならないことだった。友人たちは理解に苦しみながらも、自分たちの乏しい蓄えの中から献金してくれた。

「ほかならぬきみのためだから」と、親友のテオドール・ルイスは持ち合わせの中から献金してくれて、彼の肩を叩いた。「どこにいても、われわれは友達だということを忘れないでほしい。失敗したら、いつでも帰って来いよ」

各部の教授たちも多くの出費をしてくれた。そして、ジャングルの奥地に行こうとも、この最高学府に籍を置いていたことを忘れるなと口々に言った。

1913年2月。シュヴァイツァーは医学博士の学位を取った。最後にパリの宣教団の許可をもらい、70個の荷物も全てネジで止められ、ボルドーに発送された。3月26日。シュヴァイツァー夫妻は、わずかな手荷物を持ち、ギュンスバッハを去ろうとしていた。最後のわずかな時を、彼らは両親の所で過ごし、やがて牧師館を後にした。

「アルベルト・・・」。その時、母親が後を追ってきて、ためらいがちに引き止めた。そして、両手を息子の肩にかけると言った。「どこにいても、神様はおまえを守ってくださるよ」

思えばこの時、母親は何か運命のようなものを感じていたのではないか――と、後になってシュヴァイツァーは人に語るのだった。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:アルベルト・シュバイツァー
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