ナッシュビルから本場のゴスペルの風! 来日シンガーが語る親友ホイットニー・ヒューストンの知られざる姿

2016年6月23日20時11分 執筆者 : 青木保憲 印刷
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1日から10日まで、米テネシー州ナッシュビルから来日したクライストチャーチ(Christ Church Nashville)のミュージックチーム4人が、各地でゴスペルコンサートを行った。これは、海外のミュージシャンたちを受け入れるために有志と立ち上げたネットワーク、JAG(Japan Association for Gospels、代表:青木保憲)が主催し、関西圏の各教会、施設で開催された宣教ツアーである。

本稿の執筆者でもある青木は、2011年の震災時にナッシュビルを訪れ、100人以上のゴスペルクワイアを擁することで有名なクライストチャーチに、震災復興のコンサートを行ってほしいと依頼した。それを快諾した彼らが、それ以来5年間にわたって、毎年行っているイベントである。

2014年に大阪城東福音教会に赴任した青木は、彼らを受け入れるための幅広いネットワークの必要性を感じ、JAGを設立して現在に至っている。

今回来日したのは、クライストチャーチの主任牧師にしてシンガーのダン・スコット、ワーシップディレクターでピアニストのクリストファー・フィリップ、マイケル・W・スミスと一緒に活動しているカイル・アーロン、そして南部では有名なゴスペルシンガーであるアンジー・プリムである。彼女は、全米で有名なゴスペルシンガー、ビル・ゲイザーの片腕として、数十年にわたり常に第一線で活躍している。

圧巻は、どの会場でも行われたゴスペルの歴史をたどるコーナー。黒人霊歌からブルース、ジャズ、そしてゴスペルへと至る流れを、その歴史的背景を踏まえながら歌と解説で語ってくれた。

私も米国宗教史の専門であったため、書物や文献で少しは読んでいたが、こんなにも分かりやすいレクチャーはいまだかつてなかった。ゴスペル好きな人々への教材としても最適である。その様子はこちら。

さらに今回のツアーでは、アンジーがあのホイットニー・ヒューストンと親友であったため、テレビや報道では決して聞くことのできない、彼女の真実の姿を垣間見ることができた。

私たちが一般に知ることのできるホイットニーは、才能がありながらもドラッグに溺れて哀れな末路をたどったスーパースターである。しかし、アンジーは彼女のことを「教会の女の子(Church Girl)だった」と繰り返す。

実は、亡くなる前の日まで、ホイットニーは教会にやってきて祈りをささげていたという。みんなと祈るためだけに自家用ジェットで教会へやってきたというのだ。そして(コンサートでは語られなかったが)亡くなった彼女の遺体をバスタブから持ち上げ、棺に入れてあげたのは、ホイットニーの家族ではなく、親友のシーシー・ワイナンズとアンジーであった。

「ホイットニーは孤独でした。ご主人をはじめ、実の家族からも見捨てられてしまったのです。でも、皆さん、知ってください。彼女は神様を愛し、必死で戦い、そして教会に助けを求めていたのです」と語った後、アンジーはホイットニーの本当の気持ちを代弁するように“I Love The Lord”を歌った。

それは、今は亡き親友を思い、彼女のために歌おうとするアンジーのシンガーとしての矜持(きょうじ)と言ってもいい。その様子はこちら。

さて、メーンシンガーは確かにアンジーであった。しかし、忘れてはならないのが、ピアニストのクリストファー・フィリップスである。彼のピアノなくしては、ここまでアンジーの歌が引き立つことはなかっただろう。

そのことを証明するように、なんと彼のピアノCDはわずか2日で売り切れてしまった(わずか30枚しかCDを持ってこなかったことが最大の過ちである・・・)。どんな曲にも対応し、そして叙情豊かに音色を奏でるそのさまは、まさに「神に選ばれしピアニスト」であった。

8日の日本聖公会聖アグネス教会でのコンサートでは、その冒頭で日本人になじみのある「上を向いて歩こう」を演奏し、しっかりと日本人聴衆の心をつかんでいた。

ナッシュビルから本場のゴスペルの風! 来日シンガーが語る親友ホイットニー・ヒューストンの知られざる姿

この最強コンビにさらに強力な助っ人が加わった。バイオリン、ギター、三味線、胡弓など、弦楽器を自在に操るミュージシャン、カイル・アーロンである。彼は無類の日本びいきで、漢字の意味もしっかりと理解しながら会話をすることができる。

彼のバイオリンは、クリストファーのピアノと混ざり合うことで、さらに深い感動を私たちに伝えてくれた。将来的には宣教師として日本に来たいと語っていたカイル。ぜひその日が来ることを私たちも願っている。

最後に「歌って語れる牧師」、ダン・スコットを忘れてはならない。彼は聖公会司祭の資格を持っていて、8日の日本聖公会聖アグネス教会のコンサートでは、カラー付の正装スタイルで登場した。

そして、ブルースの曲調に合わせて教会の歌を歌う、というトーマス・ドーシーが生み出した当時の新しいスタイルの教会音楽を実演してくれた。さらに聖書の中から、短くも分かりやすいメッセージを語ってくれた。

さらに、会場が聖公会ならではの一幕もあった。それは、コンサート途中で「聖なる聖なる聖なるかな」を歌い出したときのこと。これは聖公会にとってはテーマソングのようなもので、ダンが歌い出した途端、会衆がみな日本語で歌い始めたのである。図らずも、ゲストと聴衆が一体となった瞬間であった。その様子はこちら。

そして、ツアー全体のダイジェストは、こちらから。

このような本場のゴスペルシンガー、ミュージシャンらによるコンサートを、今後も提供することができそうである。JAG主催で、10月には白人のゴスペルシンガー2人を迎えて、同じようなゴスペルコンサートを行うことが確定している。

やはり、本物に触れることで、最も伝えたいGospel(良きおとずれ)が最も深く伝わっていくようである。今年は2組の来日となったが、来年はさらに多彩で回数も増えていくことであろう。

彼らが真に願っていることは、この日本で多くの友人を作ることである。そして「宗教としてのキリスト教」という日本人特有の感覚を打破し、生活になじんだ生き生きとしたクリスチャニティーを、音楽を通して私たち日本人に伝えたいと願っているのである。

だから数千人規模の大コンサートやお祭りイベントにはほとんど興味がない。できることなら、顔を突き合わせて直接触れ合うことのできる規模で、良き交わりを築き上げたいと思っているのである。

そんな彼らの思いを、日本側で受け止めようと立ち上げたのがJAGである。「Gospels」とは、少し奇異な表現である。しかし、「ゴスペル」が「良き知らせ」となるなら、幅広い多くの方々が、米国南部からやって来るクリスチャン・ミュージシャン来日の報を聞いて、それを「良き知らせ」と受け止めてくれることを願って、複数形のGospel“s”としている。

もし読者の中で、このJAGに興味があり、自分もこのメンバーとして、来日するゲストのお世話をしたり、一緒に時間を過ごしたりしたいと願われる方、ぜひ下記まで連絡を。また、この働きを具体的に支援くださる方は、振込先を明記したので、そちらにお心をおささげくだされば幸いである。

■ Japan Association for Gospels(JAG)
代表者:青木保憲
連絡先:090・1140・2648 safuyama@yahoo.co.jp
 フェイスブックページ
 ツイッター

■ 支援金振込先
三菱東京UFJ銀行 出町支店
普通預金:0196668
口座名義:ジャグダイヒョウアオキヤスノリ JAG代表 青木保憲

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