「前進する唯一の方法は赦すこと」 コプト教徒の虐殺に対しアンジェロス主教がコメント

2015年2月23日14時11分 翻訳者 : 木下優紀 印刷
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アンジェロス主教

英国のコプト正教会主教が、過激派組織「イスラム国」(IS)が、21人のエジプト人キリスト教徒を斬首した動画を公開したことを受け、ISの戦闘員のために祈り、赦さなければならないと語った。

「私はキリスト教徒として、このことが私たちの義務で、なすべきことだと考えています。それほど難しいことではないと捉えています」と、アンジェロス主教は述べた。

「もちろん、私たちがなってほしいのと反対に物事が動くこともあります。しかし、キリスト教徒として、私たちは赦さなければなりません。私は、圧政下にある人々の権利を守るよう働き続けますし、自分で発言することのできない人々のために立ち上がります。しかし、それが私たちに対する犯罪という結果に至ってしまったときは、前進する道はただ一つ、赦すことです。もし私たちが赦さないなら、何を持っているのでしょうか。報復、憤り、怒り。そして、解決や終結を見ることはありません」

ISは15日、リビアで拘束されていたコプト正教会のエジプト人キリスト教徒21人を斬首する動画を公開した。

この約5分間の動画は、「血で署名された十字架の国へのメッセージ」と題され、殺害された人々を「十字架の民、敵であるエジプトの教会に従う者」としていた。動画の中で21人のキリスト教徒は砂浜を歩かされ、砂の上にひざまずかされた。

「十字軍」へと宛てたメッセージの中で、ナイフを持った覆面の戦闘員が、これから仲間の戦闘員が「十字架のイリュージョンを持ち込んだ者を斬首する」と言い、そして21人は斬首された。

この犯罪は全世界で糾弾されている。デイビッド・キャメロン英首相は、これを「非人道的な行い」と断罪し、英国は「イスラム過激派による奇怪な行いを掃討する」努力を続けると述べた。キャメロン首相は16日、アンジェロス主教に個人的に連絡を取り、哀悼の意と力強い態度を表した。

しかし、主教はキリスト教徒は攻撃ではなく、祈りで応えることが必須だと述べた。

「非合理的で理解できないかもしれませんが、私たちはこのようなむごい犯罪を行った人のために祈ります。神の創造物と人命の価値は、この犯罪行為より高いことは明白です。この認識があれば、この犯罪行為や他の残虐な行いによって引き起こされた痛みの影響に気づきますし、またそれを避けることもできるでしょう」と、アンジェロス主教は16日の声明でコメントした。

「私たちは、人質を物々交換、取引、交渉の道具として物のように扱い、人間としての尊厳を失わせる行為に終わりが来ることを祈ります」

英国クリスチャントゥデイの取材に対し、主教はさらに殺人行為の残虐性と、「被害者たちがあたかもトロフィーのように砂浜を歩かされた、人間としての尊厳を失わせる行為」について語った。

主教によると、被害者たちは職を見つけるためにリビアに渡り、家族は経済的に被害者に依存していたという。「感情面での影響だけでなく、具体的な物質的影響も」遺された人の上に起こるのだ。

エジプトのイスラム教徒とキリスト教徒は、共にこの事件に対して恐怖を覚えており、どちらのコミュニティーも暴虐な行為に対して共に立ち上がっていると主教は話した。過激派の標的になっているのは、キリスト教徒だけではない。「私たちは、イスラム教徒の漁師たちが依然、ISに拘束されたままだということを覚えておく必要があります」とアンジェロス主教は述べた。

エジプトはこの動画への応答、またこの行為への報復として、すでにリビア領内のISの支配下地域に空爆を行った。しかし主教は、より多くの暴力があることで、平和的な終結には至らないのではないかという考えを示した。

「困難なことだろうと思いますし、アプローチの仕方を変える必要があるかもしれません。ただ私たちが過去に試したことは実効的ではなかったのです。私たちは、新しいことを試し続ける必要があります」と主教は語った。

「解決はありませんが共存の道はあります。どのようにそこに帰結させるか、すぐには私も答えが見つかりませんが、私たちはその答えを見つけるために動き続けるべきです」

主教は、ISの戦闘員も含めて、「全ての命は聖なるもので、全ての死は悲劇」だと断固として主張した。

「この事件や、他の事件で見せつけられたこの残虐性からは、人命軽視と人命の尊厳に対する総体的な誤解、そして全ての人が同じ価値を持つことへの誤解が見て取れます」

「私たちはコプト教徒の兄弟たちと共に、同様の残虐行為により命を落とした他の方々、ジャーナリスト、人道支援活動家、医療スタッフ、宗教的指導者、若いパイロット、ISを受け入れない偏狭な者とされて虐殺されたコミュニティーの方々のことも覚えます」

主教は国際社会に対し、この対立への平和的解決を模索するよう呼び掛けた。主教は、「戦争と暴力は、特に人命に対して破壊的で、命をむだにすることです」と指摘。「私は、キリスト教徒の命が聖戦主義者の命より神聖だとは思っていません。生き方の違い、エネルギーを向ける方法の違いです。しかし、神の創造物という点では等しく神聖なのです。だからこそ、私はさらなる死、さらなる痛みを引き起こさない方法での解決があるよう祈ります」と語った。

※この記事は英国クリスチャントゥデイの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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