活版印刷の発明者であるヨハネス・グーテンベルクの生誕625周年を記念して、ドイツ南西部マインツの大聖堂で「世界最大の聖書のページ」が展示されている。グーテンベルクはマインツの出身で、世界初の印刷聖書である「グーテンベルク聖書」を印刷したことで知られている。
千年以上の歴史があるマインツ大聖堂で展示されているのは、横5メートル、縦7・2メートルに及ぶ巨大な聖書のページ。現在世界に49部しか現存しないグーテンベルク聖書の一つである「シュックバーグ聖書」のヨハネによる福音書の最初のページを拡大印刷した。
シャックバーグ聖書は、マインツ大聖堂の向かいに位置するグーテンベルク博物館が所蔵するグーテンベルク聖書で、18世紀の所有者である英国人ジョージ・シャックバーグ卿にちなみ、この名で呼ばれている。
4月28日には記者会見を開き、マインツのニノ・ハーゼ市長とマインツ大聖堂のヘニング・プリーゼル首席司祭が出席。プリーゼル首席司祭は、次のように述べた。
「グーテンベルク聖書の巨大なページは、マインツ大聖堂の東側聖歌隊席にぴったりと収まっています。これは文字通り、今後数週間にわたり大聖堂と教区博物館で行われる多様な記念イベントの『目玉』となるでしょう」
「ヨハネス・グーテンベルクは、マインツが生んだ偉大な人物です。この大聖堂以外で、世界最大の聖書のページを適切に展示できる場所はあるでしょうか。これは唯一無二のものです。絶対に見てほしいと思います」

ハーゼ市長は、次のように述べた。
「世界最大の聖書のページは、とても印象的です。このページが、展示を通じてマインツ大聖堂でさらに注目を浴びること、そしてマインツ市民や訪問者により、偉大な発明家ヨハネス・グーテンベルクの生誕625周年記念のハイライトとして鑑賞されることを、大変うれしく思います」
この巨大な聖書のページは4月26日、マインツ中心部の広場で開催されたサマーフェスティバルのオープニングイベントで、マインツ国際グーテンベルク協会の印刷職人であるマルクス・コーツさんとそのチームによって、伝統的な活版印刷の技術を用いて印刷された。コーツさんらはコンピュータで加工した木製印刷版にインクを塗り、その上に紙と板を置き、自動車を何度も走らせて圧力をかけることで印刷した。
マインツ大聖堂ではこの他、展示を補完する特別な読書コーナーも設置されている。大人や子ども向けのさまざまな聖書が用意されており、来場者はゲストブックにお気に入りの聖句を書き込むこともできる。
なお、印刷業界の情報サイト「プリント・インダストリー・ニュース」(英語)によると、ギネス世界記録は印刷物の認定にはISBN(国際標準図書番号)を必須としているため、ギネス世界記録には認定されないという。
世界最大の聖書のページは、マインツ大聖堂の東側聖歌隊席で8月31日まで展示される。展示終了後は裁断され、販売される予定。